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写真で見る「ヴィッツ“GRMN Turbo”」

 GAZOO Racingはトヨタ自動車が行っているクルマの楽しさと夢を広げる取り組み。そこから生まれたクルマに付けられるのがGRMNのブランドで、「M」は人(the Meister)、「N」は道(Nurburgring)を表す。つまり、人の感性と厳しいシチュエーションによって鍛えられたクルマというワケだ。

ヴィッツ“GRMN Turbo”プロトタイプ

 GRMNではこれまでにiQベースのコンプリートカー2モデルをリリースしており、第3弾となるのが「ヴィッツ」ベースとなる「ヴィッツ“GRMN Turbo”」だ。同様のコンセプトモデルは2007年から発表されており、この1月に開催された東京オートサロン2013ではより進化を遂げ「GRMN Vitz Turbo Concept」として出展されている。今回、紹介するのは、より市販モデルに近いプロトタイプとなる。

 ベースとなったのは現行ヴィッツのRSグレード。ただし、カタログモデルの5ドアではなく国内未導入の3ドアで、オーストラリア仕様をアレンジしたもの。

 エンジンは直列4気筒1.5リッター、可変バルブタイミング機構を備える1NZ-FE。ノーマルのスペックは最高出力80kW(109PS)、最大トルク138Nm(14.1kgm)とごくフツーの数字。だが、ヴィッツ“GRMN Turbo”ではその名のとおりターボチャージャーを追加することで112kW(152PS)/6000rpm、206Nm(21.0kgm)/4000rpmと50%近い上乗せを実現している。

 それに合わせてボディーおよび足まわりにも手が加えられた。ピストン径アップなどを施した専用チューンのショックアブソーバー、フロントブレーキには対向4ピストンキャリパー、専用LSDと専用チューンのVSCを備えるなど、パーツ単位での見直しを実施。さらにブレース類の追加や高剛性のフロントロアアームの採用、さらにフロア下を中心にスポット増しまで行われているなど、ユーザーレベルでは作業的にもコスト的に難しいレベルまでキッチリチューニングされているのだ。

 今回撮影した車両はプロトタイプ。車重は市販バージョーンで1070kgとなり、そこに2.0リッターNAエンジン並の強心臓を搭載。さらにキチンとチューンされた足まわりが備わるのだから、ファンな走りが楽しめるのはもはや必然。

 もちろん、走りだけでなく専用バンパーやLEDランプ付ヘッドライトといったエクステリア、専用スポーツシートや専用メーターといったインテリアなど、内外装もキッチリ差別化されている。所有する喜びや満足度も高そうだ。

 と、魅力一杯のヴィッツ“GRMN Turbo”だが、気になるのはその価格と販売台数。8月25日21時から先着順でWeb限定の商談申込みを受け付け、9月下旬に全国のネッツ店のAREA86を通じて200台限定で発売する。価格は270万円。販売はGAZOO.com内の専用サイト(http://gazoo.com/GRMN/Vitz_Turbo/)からとなる。

国内未導入の3ドアはヴィッツRSより全長が+15mm、全高が-10mmとバツグンのスタイル
専用フロントバンパーは逆台形の開口部がアグレッシブ
バンパー下のスパッツも大型化
リアフェンダー前にはiQ同様、プレスによるGRMNのロゴが入る
リアのルーフエンドにはスポイラーを装備。撮影車両は赤にペイントされていたが市販バージョンはボディー同色になる
リアバンパーはディフューザー風の造形
バックドアにはGRMNのバッジも
ヘッドライトはLEDポジションランプを組み合わせたもの。わかりづらいが上のスリット部分も点灯している
リアコンビランプはRSと同じ造形だがサイド部分がブラックアウトされた専用アイテム
ターボが後付けされたとは思えないスッキリとしたエンジンルーム。タービンはバルクヘッド側の見えない位置にある
赤いカバーの下にはインタークーラー
フロントにはストラットタワーバーも
変わっているように見えるがマフラーはノーマル
タイヤはブリヂストンのポテンザ RE050A、サイズは215/45 R17を装着。ホイールはBBSで5穴化されている
フロントブレーキは対向4ピストンキャリパー、ブレーキパッドは前後とも変更されている。市販モデルはこの写真のように未塗装になる
サスペンションも専用チューンに
フロント&リアともに専用のブレースを追加。ノーマルとは形状が異なる
フロントのロアアームも強化パーツに。こちらがGRMN版で両端の丸め処理、あて板など見るからに強化されているのが分かる
フロントのロアアームも強化パーツに。こちらはノーマルモデル
インパネはRSと変わらないイメージ
ステッチのカラーがRSがオレンジなのに対しこちらはレッド
メタル調のメーターパネルも専用アイテム。タコメーターが中央に配置されているのも特長
スターターはボタンタイプ
ミッションは当然5速マニュアル。シフトブーツはステアリングと同じレッドステッチ
ペダルだけでなくフットレストもアルミタイプに
フロントシートはサポートに優れた専用のスポーツタイプ。リクライニングがレバー式なのも便利
専用表皮を採用するリアシート。ノーマルのシートバックは6:4分割だが、こちらは一体式とすることで軽量化を実現

Gazoo Racingレース参戦車両

 今年のニュルブルクリンク24時間耐久レースに参戦したトヨタ「86」とレクサス「LFA」も展示されていたので簡単にお届けしておく。

総合136位、SP3クラス2位となった136号車
タイヤはブリヂストン ポテンザRE-11S。サイズは215/45 R17
レギュレーションのためエンジンルームはほぼノーマル
ドライバッテリーとオイルキャッチタンク
エキマニにはサーモバンテージ
オイルフィルター下にはオイルクーラー用のブロック
軍手……、ではなく専用カバー
クスコ製のピロアッパー
フェンダー横の「86」バッジがある部分をくり抜き冷却効率をアップ
運転席側から
助手席側から。24時間レースを戦ったくるまとは思えないほどキレイ
ガズーレーシングロゴ入りのステアリング。ホーンボタンが可愛い
インパネ中央には追加メーターやスイッチ類が並ぶ
シフトノブはTRDの丸形
ABCペダル。アクセルペダルは市販前のプロトタイプと同じ形状
モリゾウ選手もステアリングを握ったレクサスLFA79号車。順位は総合37位、SP8クラス2位
フロント収まる4.8リッターV10の1LR-GUEユニット。最高出力は500ps以上
どこもかしこもカーボンパーツ
市販車と異なりFマークが赤くペイントされている
エンジンには組み上げた「匠」のサインが入る
インテーク部分は市販モデルとは異なりカーボンパーツに。右下のアルミパーツはレギュレーションの最高速度を守るため空気量を絞り出力を抑制するリストラクター的なアイテム
大型のディフューザーなどエキゾーストまわりは市販車とはディティールが大きく異なる
アルミホイールはBBS製。タイヤサイズは330/40 R18
インテリア。86と異なりハーネスが複雑に絡み合う。ただ、制御はノーマルのECUを使っておりデータのみ専用に書き換えているという
ステアリングは86と同じバックスキンタイプ
パドルやライトスイッチなどは市販車のまま
オルガン式のペダルもノーマルのまま
複雑な形状のロールケージ
インパネ中央に増設されたスイッチパネル。アタマの数字はヒューズの容量?
ドアもほぼカーボン製。グリップ用のストラップはレクサスではなくTOYOTAロゴ入り

(安田 剛)