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NEXCO東日本、「第7回 アクアライン探検隊」開催

過去最大規模の350人を募集。アクアラインの裏側や海自特務艇を見学

日ごろは見られないアクアラインの裏側を探検
2013年8月8日開催

 NEXCO東日本(東日本高速道路)と東京湾横断道路は8月8日、海ほたるPA(パーキングエリア)で「2013 サマーフェスティバルin海ほたる」を開催し、このなかで恒例行事となっている社会見学イベント「第7回 アクアライン探検隊」を実施した。

 このイベントは、日ごろは通りすぎるだけのアクアラインを、緊急時には避難用としても利用される管理用通路を使って通常は利用者の目に触れることのない裏側にあたる部分を見学できるという内容。さらにアクアラインや海ほたると関連が深い海上保安庁や海上自衛隊の艦艇の見学という見どころを持ちながら誰でも無料で参加できることで高い人気となっており、今年度は募集定員を350人に増加。募集期間中に4702人から参加申し込みが寄せられた。

 当日は参加者を25人ごとにチーム分けし、約2時間の構成で見学を実施。参加者は海ほたる内にある技術資料館「うみめがね」で集合して解説スタッフから注意事項などを説明されたあと、東京湾アクアライン管理事務所長から「アクアライン探検隊」宛に出された「指令書」を受け取って見学をスタートした。

海ほたるの1階・千葉側にある「うみめがね」。入場無料で年中無休。オープン時間は9時~18時
うみめがねからスタートする前に見学の概要や注意事項などが説明され、クイズ形式の「指令書」を配布。アクアラインが持つ「4つのなぞ」を解き明かすという内容
うみめがねではパネルや模型などのほか、アクアライン建設で実際に使用された道具などを展示。参加者はこれから始まる見学内容について予習できる
建設で使用されたシールドマシンのカッタービット(刃)やボーリングサンプルを展示。アクアラインが通る東京湾の海底下は水分が多い軟弱な地盤で工事が難航した
海ほたるとアクアラインの紹介模型。パネルでは詳細な情報が掲載されている

 管理用道路は海ほたるの臨時駐車場として設定されている木更津側スペースの奥に設置されており、壁を1枚隔てたすぐ脇にはアクアラインの下り車線が走っていることから、管理用道路の序盤は常に自動車の走行音が響く状況。しかし、なだらかな下り坂を歩いていくと道幅が狭くなって走行音もしだいに遠くなっていく。鋼鉄製の防護扉を身を屈ませて通過していくと、いかにも「探検隊として潜入している」という雰囲気が漂い始めた。

管理道路を進む参加者一行。持参したカメラで写真や動画の撮影をする人も多かった。
何枚もの防護扉が設置され、安全管理が徹底していることを感じさせる
無骨なコンクリート剥きだしの景色は、いかにも外部の目を意識していない「裏側」という雰囲気

 管理用道路で最初の見学ポイントになったのは、上を走るアクアライン本線車道で事故などが起きた場合に避難者が降りてくる待機所スペース。9.5km以上の海底トンネルを持つアクアラインだけに、内部で事故などのトラブルが起きた場合の対応は重要な課題。そこでアクアラインでは300mおきに非常口を設置。合計で33カ所の非常口から下側の管理用道路にアクセスできるよう設計されている。それぞれのポイントにはS字形状のスロープが設置されており、子供や高齢者、足の不自由な人などでも安全に素早く避難できるようになっている。今回の見学では想定とは逆に、下側から参加者が上っていって本線道路を自動車が走行する状況を確認していた。

海ほたるのある木更津側に一番近い「1」と書かれた待機所スペース。管理用道路と避難用のスロープはコンクリート製の壁で仕切られている
トンネルの傾斜を避けるS字形状として全長を伸ばし、角度をゆるやかにした避難用スロープ
待機所スペースの逆側には、横幅が広く、角度が急なもう1つのスロープを設置。こちらは緊急時に消防隊員などが下側から上の問題発生ポイントにアクセスするための通路。消火用のホースや救出機材などを持って上がるために幅が広くなっている。また、スロープの脇には給水栓や消火器などが設置されている
展示パネルを使ってアクアラインの概要や構造に与えられた意味などを説明。解説スタッフとして参加者を案内しているのは東京湾アクアライン管理事務所 副所長の鍵山泰三氏
この「1」待機所スペースは海ほたるに近く、定期的に今回のような催しで利用されているため展示パネルが常設されている
避難経路案内図の解説。全体図と現在地、最寄りの出口が記載されているので避難時に混乱せずにすむ
非常電話も300mごとに設置。緊急時の連絡が必要な部署にボタン1つで繋がるように設計されている
地下での見学は待機所スペースだけということで、管理用道路の脇にある階段を使って次の見学ポイントがある地上まで移動。180段という長い階段の途中には、“平均水面”からの距離が定期的に表示され、自分たちが地下の深い場所にいたことを再確認させられる

 2つめの見学ポイントは、海ほたる1階の川崎側に設置されている巨大モニュメントの「カッターフェイス」。海底トンネルの掘削時に使われたシールドマシンのドリルをイメージして造られており、直径は14.14m。こちらは海ほたるに来た人なら誰でも見学できるモニュメントだが、解説スタッフの鍵山氏によって装着されているカッタービットの素材などの説明を受け、カッターフェイスについてより深く知ることができた。

東京湾を行き交う船舶や羽田空港に離発着する飛行機などといっしょに眺められるカッターフェイス。地面に設定された円も同じ14.14mになっており、巨大さを実感できる
カッターフェイスについて解説する鍵山氏。すぐ脇には解説プレートも設置されている
モニュメント本体はレプリカだが、カッタービットはすべて実際に使われたものを装着。この刃によってアクアラインが掘られたのだ
NEXCO東日本の交通管理隊による日常業務やパトロールカー、装備品などについての説明。市販品の3倍の燃焼時間を持つ発煙筒や何個でも連動させられるフラッシュライトなど、道路管理のエキスパートならではといった装備品が紹介された
子供たちによるパトロールカーの乗車体験。サイレンや拡声器の使い方が交通管理隊のスタッフからレクチャーされた
アクアラインでは専用の消防車を3台保持。管理用道路を走れるよう車幅の狭いモデルが選ばれている

今年度から体験乗船は停泊中の船内見学だけに変更

 このあと、やはり日ごろは関係者以外は入れない桟橋に停泊している海上自衛隊の特務艇「はしだて」、または海上保安庁の巡視艇「たかたき」の船内見学が行われた。昨年度までは海上保安庁の巡視艇「あわなみ」に乗船してアクアラインやトンネルの換気施設である「風の塔」を海から見学するプログラムも行われていたが、今回から停泊中の船内見学に統一されている。

 この理由について質問したところ、海上からの見学は天候によって実施できない可能性があることが変更の理由と説明された。実際に昨年度では、午前中はなんとか出港できたものの、午後になって風が強まり乗船だけに変更されている。海上からの見学を楽しみに参加した人を落胆させる可能性があることから、今回はプログラムから外したそうだ。

特務艇「はしだて」

特務艇「はしだて」

 はしだては「迎賓艇」とも呼ばれる海上自衛隊の艦艇でも特殊な存在。国内外の来賓を招いて行う式典などで使われるほか、災害発生時には被災者の収容や救護などにも利用される。

南桟橋に停泊するはしだてにタラップを上って乗船
広々としたはしだてのアッパーデッキを見学。さまざまな用途に利用されることが説明された
はしだてのブリッジ
細かな微調整が可能となっている操舵席のシート。奇抜な色遣いのシートは、艇長(艦長)の席
会議などが行われたときに利用される休憩室
パーティなどにも利用されるため、艇内には木製のベンチシートが多数設置されている
サーチライトと双眼鏡
羅針盤
船名の入った救命浮輪
参加者には記念品などのほか、はしだてが作れるペーパークラフトがプレゼントされた

巡視艇「たかたき」

巡視艇「たかたき」

 巡視艇「あわなみ」の後任として今年2月に配備された巡視艇の「たかたき」。船底から海水を吸い上げて4基装備された放水銃から毎分1万6800L放水可能。

4基の放水銃を備え高い消防能力が与えられたたかたき。また、火元に近づいて消火作業を行うときにブリッジを火災の熱から守るため、ブリッジ前方に垂直に放水する機能も備えている
たかたきは船体後方にウォータージェット機関を備えており、力強い加速と細かな姿勢制御を両立する
船名の入った救命浮輪
たかたきのブリッジ
操舵輪など要所にロールス・ロイスのエンブレムを設置している
計器パネルとシート
天井にもスイッチ類を多数配置する
羅針盤

 最後の見学ポイントである船内見学の終了後に、うみめがねで配られた「指令書」の答え合わせを実施。参加者全員に「アクア博士認定証」と記念品が贈られて見学イベントは終了となった。

「4つのなぞ」の回答と見学の総括を行う様子
全員に「アクア博士認定証」が贈られた
イベント内容に対するアンケートも実施
人気のマスコットキャラクターが多数集合

 このほか、「2013 サマーフェスティバルin海ほたる」では福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県、新潟県、長野県といった7つの県による観光案内、各県のブースでの名産品販売、マスコットキャラクターによるPRタイムなどが実施された。

福島県の「八重たん」
茨城県の「ハッスル黄門」
栃木県の「とちまるくん」
群馬県の「ぐんまちゃん」
各県のPRブースでは名産品の試食や販売、観光パンフレットの配布などを実施。千葉県のブースではブルーベリー、群馬県のブースではニジマスの「ギンヒカリ」をアピール

(編集部:佐久間 秀)