ニュース

三菱自動車、パイクスピーク2014に新車両「MiEV Evolution III」で参戦

パイプフレームの軽量化、高出力化、空力性能向上でクラス優勝を目指す

2014年のパイクスピークに挑む新参戦車両「MiEV Evolution III」
2014年6月2日発表

 三菱自動車工業は6月2日、米国コロラド州で開催されるモータースポーツイベント「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」(6月23日~29日)に今年も参戦すると発表した。電気自動車改造クラスに2台体制でエントリーしており、これで3年連続3回目の挑戦となる。

 今回のパイクスピークには、昨年の「MiEV Evolution II」を改良した進化型の競技車両「MiEV Evolution III」で挑む。MiEV Evolution IIIでは、構造の合理化と材料置換によって軽量化を行った専用パイプフレーム、高出力化したモーター(4基合計450kW。MiEV Evolution IIは400kWだった)、大径化タイヤ(従来の260/650-18から330/680-18に変更)、風洞実験によりスポイラーなど細部の形状を最適化し、ダウンフォースを増大させた新デザインのカーボンカウルなど、動力性能と旋回性能の向上を目的とした改良を実施。

 こうした改良を行ったうえで、車両運動統合制御システム「S-AWC」の制御も進化させ、トラクションコントロール性能を向上させるとともに、限界付近での車両挙動を緻密に制御することでスピンを抑制し、卓越したハンドリング性能を実現しているという。

 このMiEV Evolution IIIを操るのは、ダカールラリーで日本人初の2年連続総合優勝を果たしている増岡浩氏(監督兼務)と、昨年に電気自動車クラスで3位に入賞したグレッグ・トレーシー氏(米国)。

監督兼ドライバーの増岡浩氏

 増岡氏は「三菱自動車のパイクスピーク挑戦は、今回で参戦3年目となります。2012年の『i-MiEV Evolution』は、市販車である『i-MiEV』のモーターやバッテリーなどの量産部品を多用し、初出場ながら電気自動車クラス2位に入り、厳しいレースの世界でも三菱自動車の電動車両技術が通用することを証明しました。そして2年目となった去年は、将来の量産車への技術フィードバックを目的に、先行開発品を数多く盛り込んだ『MiEV Evolution II』を投入し、三菱自動車が得意とする車両運動統合制御システム「S-AWC」を採用して大幅な性能向上に成功しました。レース本番では残念ながらスタート直前に突然降った強い雨で用意していたスリックタイヤが使えず、惜しくもクラス2位となり優勝は逃しましたが、電動車両技術の向上という本来の目的は十分に達成することができました。そして迎える今回の3度目の挑戦は、電気自動車改造クラスでの優勝を狙います。去年のマシンを改良した『MiEV Evolution III』はモーター、エアロダイナミクス、そしてタイヤの性能向上等により格段にコーナリング性能が高まっています。それにも関わらず以前よりも安心して思い切り走ることができるのは、「S-AWC」がさらに進化したためです。特にワインディングロードでの安定性が著しく向上し、パイクスピークのように156ヶ所のコーナーが続くコースで『MiEV Evolution III』は高いポテンシャルを発揮してくれるでしょう。去年に引き続きチームメイトとなるトレーシー選手とともに、電気自動車改造クラス優勝目指して全力で戦いますので、どうか応援よろしくお願いします」とコメントを発表している。

 なお、6月2日には三菱自動車のパイクスピーク2014年大会への取り組みに関するさまざまな情報を発信する特設サイト(http://www.mitsubishi-motors.com/jp/events/ppihc/2014/)を開設している。

MiEV Evolution IIIスペック
全長×全幅×全高(mm)5190×2000×1485
駆動方式4モーター電動4WD
モーター(明電舎製)搭載数(基)搭載数(基)
モーター最高出力(kW)450(112.5kW×4基)
バッテリー(LEJ製)総電力量(kWh)50
シャシースチール製パイプフレーム
カウルカーボン製
サスペンション(フロント)ダブルウィッシュボーン
サスペンション(リア)ダブルウィッシュボーン
ブレーキ(ENDLESS製、フロント)φ380ローター+6ピストンキャリパー
ブレーキ(リア)φ330ローター+4ピストンキャリパー
タイヤ(ダンロップ製)330/680-18
ホイール(エンケイ製)18インチ×13J
制御系(dSPACE製)量産i-MiEV用ECU+MicroAutoBoxII

(編集部:小林 隆)