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NEXCO中日本、代表取締役社長が金子剛一氏から宮池克人氏に交代
新社長の宮池克人氏は浜岡原発の建設にも携わった工学博士
(2014/6/25 20:14)
NEXCO中日本(中日本高速道路)は6月25日、代表取締役社長CEOの就任・退任記者会見を愛知県名古屋市にある本社で実施した。
この人事は同日に開催された株主総会での議決によって行われたもので、2010年から代表取締役社長CEOを務めてきた金子剛一氏が退任し、新たに宮池克人氏が同職に選任された。このほか、取締役会長、再任4人を含む取締役5人、監査役4人による新執行体制となっている。また、金子氏は退任後も相談役として同社の業務に関与していく。
記者会見で金子氏は、「私は2010年6月に就任して以来、2期4年間に渡って“世界一の高速道路会社を目指す”という企業ビジョンを掲げて今日まで務めてきました。この4年間を振り返るとさまざまな課題を背負い、さまざまな経験をしてきましたが、やはり2012年12月の笹子トンネルにおける天井板落下事故が一番大きなできごとでした。この事故により9名の方が亡くなられ、多くの方に迷惑をおかけしました。あらためて9名の方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族のみなさま、被害に遭われたみなさまに深くお詫び申し上げます」と述べた。
さらに事故後には再発防止に向け、安全最優先という企業文化の再構築に務め、再発防止と安全向上に向けた取り組みによって、ユーザーや地域住民などの信頼回復に全力を尽くしており、2013年7月に安全性向上に向けた「3カ年計画」を策定、今年4月には取り組みを強化するために組織改革を行っている。金子氏は「私たちは2度とこのような悲惨な事故を起こすことのない会社を構築しなければなりません」と語っている。
このほか、新社長になる宮池克人氏、新会長になる茶村俊一氏について「両氏とも中部電力、J・フロントリテイリングなどで要職を歴任され、人格、識見、力量が素晴らしい方々であり、安心して弊社の舵取りをお願いできると考えています」と紹介している。
新社長となった宮池克人氏は、まず株主総会と取締役会で選任された新執行体制を紹介。さらに就任の挨拶で「関東、中部、北陸、近畿といった大都市を結ぶ大動脈であり、日本経済を牽引する中部地区の製造業や観光業に欠かせない高速道路事業を運営する会社の社長をお受けすることになり、身が引き締まる思いです」と語り、「金子社長からバトンを受け継ぐことになり、まず第一に取り組むべき課題は、安全・安心して走れる高速道路をお客様に提供することだと考えています」と表明。安全最優先の企業文化を根付かせたいとしている。
また、新規路線の建設や関連事業を推進し、現場の声を聞きながら、お客様サービスの向上とNEXCO中日本グループの発展に全力を尽くしたいと述べており、会見後半の質疑応答でも笹子トンネルでの事故に関する質問の中で、昨今取り上げられている大規模修繕・更新に注力することが大切であるという持論を紹介。さらに新しく建設している高速道路を早く完成させなければならないとも語るなど、土木の専門家であると自認する宮池新社長は道路建設に注力していく姿勢を見せた。
このほかに質疑応答では、宮池新社長に対してこれまでの経歴でNEXCO中日本の事業に生かせる部分について問いかけられ、「私はこれまで40数年、電力会社に勤めてきましたが、道路事業も電力や水道などと同じように都市生活になくてはならないライフラインだと思います。ここで共通するのは、安全に、安定して、安価に提供する必要がある部分。さらに環境に配慮して、お客様に快適に選んでいただくというところが共通するポリシーになると思います。そんなところで、これまで電力で経験してきたことを役立てていきたい」と回答。
また、金子前社長には在任4年間での誇るべき実績について質問され、金子前社長は2012年4月に新東名高速の静岡県エリア162kmが開通したことを挙げ、完成まで19年がかかった事業で社員の苦労は大変だっただろうが、この開通に立ち会えたことが大変嬉しいことだったと語っている。
中日本高速道路の新執行体制
●取締役
茶村俊一(さむらしゅんいち) 取締役会長(新任)
宮池克人(みやいけよしひと) 代表取締役社長(新任)
高松隆久(たかまつたかひさ) 取締役(再任)
廣瀨輝(ひろせあきら) 取締役(再任)
小室俊二(こむろとしじ) 取締役(再任)
猪熊康夫(いのくまやすお) 取締役(再任)
樺島徹(かばしまてつ) 取締役(新任)
●監査役
田宮道衞(たみやみちえい) 常勤(再任)
岡山弘(おかやまひろむ) 常勤(新任)
白石真澄(しらいしますみ) 非常勤(新任)
水尾健一(みずおけんいち) 非常勤(新任)