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トヨタ、期間限定発売の「ランクル70」を展示した「70 COME BACK セレモニー」

「信頼性こそ本来の4駆の魅力。着飾らない、もっともランクルらしいクルマが70」と開発責任者の小鑓氏

メガウェブで開催された「70 COME BACK セレモニー」
2014年8月25日開催

 トヨタ自動車は8月25日、東京・お台場にあるアミューズメント施設「メガウェブ」において、歴代ランドクルーザーの展示などを行う公式ファンイベント「ランドクルーザーモーターショー2014」を開催した。

屋外には特設の同乗試乗コースが用意された

 同イベントは、ランドクルーザー(以下、ランクル)ファンによるランクルファンの祭典として行われたもので、歴代モデルやラリー車、オーナー所有のカスタマイズモデルなど27台を展示するもの。このイベントそのものは当日限定となっているが、歴代車両やラリーカーなど7台は8月31日まで延長展示が実施される。特に「トヨタジープBJ型」は日本に数台(一説によれば3台)しか存在しないとされる貴重な車両。ファンならずとも一度は見ておきたい。

 このイベントの目玉となったのが、10年ぶりの再販が決定した「ランドクルーザー70」の復活を祝う「70 COME BACK セレモニー」。アンベールが行われた後に登壇した開発責任者の小鑓(こやり)チーフエンジニアは「ランドクルーザーシリーズは60年を超えるトヨタでもっとも長い歴史を持つクルマ。累計790万台以上が生産され、世界中のお客様からもっとも信頼されているクルマであり、トヨタという自動車メーカーのイメージを形成したモデルでもある」と、ランドクルーザーが同社の中でいかに重要なモデルであるかをアピール。

ランドクルーザーシリーズの開発責任者となるトヨタ自動車製品企画本部チーフエンジニア 小鑓貞嘉氏(写真左)と、ザ・ランドクルーザーファンクラブ代表の寺田氏によりコンテナがオープン
中から70バンが登場
右ソデではピックアップがアンベールされる
「ランドクルーザーは世界でもっとも信頼されているクルマ」と語るチーフエンジニアの小鑓氏
ランクル70には最新SUVとは違った魅力があると小鑓氏

 警察予備隊への納入を前提に開発されたトヨタジープBJ型をはじまりに、ランドクルーザーの名を冠し世界への輸出を行った「20系」、24年間生産が続けられ世界の道を走ったベストセラーモデル「40系」、そして1984年に後継車となる「70系」が生まれたことを紹介。「(70系は)日本国内では2004年に販売が終了したが、海外では2007年にマイナーチェンジ。2009年、2012年と追加設定や意匠変更などの改良を実施。今でも新興国を中心に人気があり、販売は伸び続けている」と語り、その秘密は「丈夫で壊れない信頼性、耐久性、修理がしやすいなどの点で支持を得ており、道なき道を走り続ける走破性は群を抜いている」とした。

 その後、オーストラリアの森林警備隊などで活躍していることに触れ、「過酷な使用環境でも24時間、365日フル稼働できるのはランクルの高い耐久性と、シンプルな構造によるメインテナンスのしやすさが評価されている」と、実際の現場を紹介。

 そして「なぜ今ランクル70を復活させるのか」という疑問に対しては、「復活を望むたくさんのランクル70ファンの声に応える」「2014年はランクル70が30周年を迎える」「ランクル本来の魅力を日本でも実感していただきたい」と3つのポイントを挙げ、「最新のSUVとは違った魅力をお届けできると確信している」と説明。そしてランクル70については「世界でもっとも頼りになるクルマだと思っている。もし命を預けなければならない環境があるなら70に乗りたい、そう思っていただける信頼性こそ本来の4駆の魅力であり、おもしろさ、愉しさでもあると思っている。それをダイレクトに感じることができる着飾らない、もっともランクルらしいクルマが70です。皆さんにも楽しんでいただければ何よりです」と締めくくった。

日本国内での販売終了後も世界生産台数は右肩上がり
ランクルの魅力は信頼性、耐久性、走破性にある
ランクルは世界はもとより日本国内にもファンが多いクルマ
ランクル70を復活させることになった3つのポイント

「今回搭載している1GR-FEは最強のエンジン。楽しんでいただけると思っている」

ランクル70バンと小鑓氏

 その後行われたトークセッションには小鑓チーフエンジニアのほか、ゲストとして冒険家のホーボージュン氏、ラリードライバーの三橋淳氏、ライターの寺田昌弘氏が登場。「私とランクル」「これからランクルでしたいこと」と2つのテーマに沿ってトークを展開。その中で小鑓氏は、「ランクルは信頼性、耐久性、悪路走破性にこだわって時代とともに進化してきた。その中で大切なのが人間の夢でもある“行きたいところに必ず行ける”が実現できること。それには壊れたらダメだし、もし壊れたとしても何とか直して帰ってこられることが大切。夢を叶えることができるクルマ、それがずっと変わらないランクルの開発思想」であると語った。また、「世界中どこに行ってもこのクルマがない地域はない。困った時には同じクルマから部品を取って利用することができる。これが信頼性の高さにも繋がる」と、長く作り続けていることのメリットも紹介した。

トークショーでは小鑓氏とゲスト3人によるランクル談義に花が咲く

 事前に受け付けた質問に答えるコーナーでは、「なぜディーゼル車を販売しないのか」「なぜ期間限定販売なのか」と2つの質問が用意された。前者については「今のところ国内で採用できるディーゼルエンジンがない」としながらも「世界的に見れば8割、9割は今回搭載している1GR-FE。最強のエンジンなので楽しんでいただけると思っている」と答えた。後者については「世界各地で30周年記念車の設定を考えており、その一環として日本への導入を決めた。そのため1年限定となっている」とした。

 その後、会場から「ピックアップはシングルキャブの方が欲しかった」との意見には、「当初はバンタイプとショートホイールベースモデルを考えていた。ただ、ショートは国内の規制に対応するのが難しかった」と本音も。そこで、こちらも希望の声が多かったダブルキャブを設定したと舞台裏を明かしたところで時間となり、イベントは終了した。

ランドクルーザーモーターショー2014には多くのランクルが展示された
日本に数台しか現存しないとされるトヨタジープBJ型
シンプルなデザインで視認性、操作性もよさそう
インパネ中央には小計のアナログメーターが並ぶ
床から“生えている”ペダル類
ウインカーは手で操作するアポロタイプ
コーションプレートと燃料計
一段高い位置に配置されるリアシート
タイヤは6.00-16サイズのいわゆるゲタ山タイヤ
ボンネットから飛び出すラジエターキャップ
日本仕様のランクル70後期モデル。グリーンのモデルが1990年~1999年のHZJ77V、もう1台は1999年~2004年のHZJ76
ステーションワゴン系モデルの元祖となる50系
海外仕様のGRJ78。2ドアロングボディーの変わり種
40系のロングホイールベースモデルFJ45V。ボディーは1963年製
1984年製のFJ45
ランクル70のラリーモデル
ランクル200のラリーモデル
いまや貴重なカタログなどの展示も。オリジナルはガラスケース入り
複製は自由に閲覧が可能だった
屋外にはモーグル、キャンバー、シーソーなどが設けられた特設の同乗試乗コースが用意された
観覧車が見えるお台場らしいシチュエーション
トランスファーのアップ
キャンバーの角度は約25度
室内から見るともっと傾いているように見える
マッドセクションも用意

 メガウェブでは、トヨタシティショウケース1階において、11月末までの予定でランクル70の特別展示を実施。バンモデルが8月26日から展示されるほか、9月中旬からはモデリスタバージョンの展示も予定されている。

 また、シティショウケース ライドワン(1.3km/2周、300円)では試乗用としてピックアップを用意。期間は休館日を除く8月29日、9月3日、9月5日~11月末の予定となっている。

(安田 剛)