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MotoGPの日本グランプリに向けてマルケス選手&ペドロサ選手らが記者会見
10月10日~12日に開催される日本グランプリでの活躍をファンの前で誓う
(2014/10/8 19:45)
- 2014年10月8日開催
レプソル・ホンダ・チームは10月8日、東京 青山にある本田技研工業 本社で同チームのスペイン人ライダー マルク・マルケス、ダニ・ペドロサ両選手と、チーム代表のリビオ・スッポ氏による公開記者会見を行った。10月10日からツインリンクもてぎで開幕する「2014 FIM MotoGP 世界選手権シリーズ第15戦 MOTUL 日本グランプリ」に向けた意気込みを、足を運んだ大勢のファンの前で語っている。
最高のシーズンを送っているレプソル・ホンダ・チーム
多数のファンが駆けつけた公開記者会見では、MotoGPのテレビ中継で解説を担当している宮城光氏が司会・進行役となり、マルケス選手、ペドロサ選手、スッポ氏の3人に質問していく形で進行した。
2014年のMotoGPクラスでは、マルケス選手が開幕から10連勝。14戦を終えた現在までに11勝を達成する圧倒的な強さを見せてチャンピオンシップを独走している。続く2位には75ポイント差でペドロサ選手がつけているが、展開次第ではこの日本グランプリでマルケス選手の2年連続となる年間チャンピオンが決まる可能性があるという状況だ。
最初にスッポ氏が今シーズンを振り返り、「ここまではチームとしては信じられないくらい順調だった。最初のレースのポールトゥウインから始まり、今までの長いレースを戦い抜いてくれたことをライダーの2人には感謝したい。マシンもすばらしい出来だった。今のところチャンピオンシップでも1位、2位を独占しているのはうれしい限り」と述べた。
レプソル・ホンダ・チームとしては最高のシーズンになっているとも言えるが、マルケス選手自身も「自分にとってよい戦いができている」と口にする。「いくつかミスしたところもあるけれど、それでもチャンピオンシップをリードできているし、バイクもいい方向に仕上がっているし、いろいろ楽しめている。シーズン終わりにファンに最高のプレゼントができるようにするのが目標」と語った。
一方、「決してベストなシーズンを送っているとは言えない」のがペドロサ選手。「シーズン序盤はコンスタントによいレースができていなくて、表彰台に上がれたり上がれなかったりだったけれど、その後に(第11戦チェコグランプリで)1勝できたのはうれしかった。ベストではなくても、常によいレースをしたい」と、ランキング2位をキープしつつも苦しんでいる様子がうかがえた。
前戦アラゴンの悪夢を前向きに捉える3人
チームとしては順調に見えるが、直前の第14戦スペイン アラゴングランプリでは散々な結果となったのが記憶に新しいところ。レース途中から降り始めた雨が次第に強くなり、終盤にレインタイヤを装着したマシンにチェンジするタイミングを探るなかで両選手とも痛恨の転倒。最終的に完走はしたものの、マルケス選手は13位の3ポイント、ペドロサ選手は続く14位の2ポイントを獲得するに止まった。
一方で、ランキング4位につけるモビスター・ヤマハ・MotoGPチームのホルヘ・ロレンソ選手が今季初優勝を飾り、同3位のチームメイト バレンティーノ・ロッシ選手とともにペドロサ選手をポイントランキングで猛追。マルケス選手の優位は動かないものの、年間1位、2位独占を狙いたいレプソル・ホンダ・チームとしては、アラゴングランプリは手痛い結果となった。
これについて宮城氏に問われたスッポ氏は、「2人とも勝てるレースをしていたから、アラゴンでは2周前にレースが終わっていれば完璧だった(笑)。非常にトリッキーな天候になったのが不運。レース中は少し雨が降ったりしていたものの、タイヤ(マシン)チェンジせずに走りきれると考えていたが、後半に雨が強くなってしまい、2人とも転倒した。ただ、一番よかったのは怪我がなかったこと。このレースを通じて、我々がいつでも勝てるポテンシャルがあることを証明できたと思う」と余裕の表情。
マルケス選手は、雨になったときのことを事前にチームと話しており、自分の判断でピットインすることに決めていたとのことだが、「あれは完全にミスだった」と述懐。「最後の4ラップか3ラップで雨が強くなったところで、このまま走り続けるか、マシンチェンジするかでどれくらいタイムロスになるのか考えるのは難しかった。完走できたが、タイヤが思った以上に冷えてしまったことに考えが及ばなかったのが最大の失敗」と反省しきり。ただ、「重要なのは経験が得られたこと。自分のしたことの何がわるかったのかを理解できたし、今後に活かせる」と強気を崩さなかった。
ペドロサ選手もマルケス選手と似た状況だったと言うが、「終わったあとで“あのときどれくらいセーブして走ればよかったか”と言うのは簡単。もし雨が降らなかったり、あるいは雨が途中で止んでいれば、我々のどちらか1人はヒーローになっていたかもしれないけれど、レースはえてしてこういうもの」と淡々。加えて、「ミスから学び、次に向けてもっと賢くなりたいが、そういう天候において正しい判断を下すのは難しい」とも語った。
スズキとアプリリアの参戦を歓迎
2015年シーズンからの参戦が決定と報じられたスズキとアプリリアをどう思うかについて、記者から質問があった。
スッポ氏は、「2社がMotoGPに参戦するのは、チャンピオンシップとしても、競技としても歓迎すべきこと。スズキは2013年からテストを重ねていて、アグレッシブなライダーをそろえてきているから強そうだ。アプリリアについてはよく把握していない。ニューマチックバルブやシームレストランスミッションを搭載したスーパーバイクの進化版を投入するらしいということは分かっているが、来年は我々が彼らについて学ぶシーズンになるだろう。2016年はレギュレーションが変わる。全チームが同一のECUソフトウェアを使うことになり、タイヤも(現在のブリヂストンから)ミシュランになる。いずれにしろ面白い戦いになるのではないか」とコメント。
マルケス選手とペドロサ選手も、「多くのメーカーが参戦するのはチャンピオンシップにとってよいこと」と口をそろえ、「乗れるバイクが増えるから、ライダーにとってもありがたい」というライダー視点のメリットも同じように口にした。
ファンに向けて「アリガトウ、ガンバッテ」とマルケス選手
翻って日本グランプリは、マルケス選手にとってチャンピオン決定がかかる大事なレースとなる。マルケス選手は「ベストを尽くして、ダニとバレンティーノの前でフィニッシュしたいと思うが、彼らは安定して速いから難しいだろう。僕らとしても、ファンのためにもドライのレースを望みたいが、とにかくホンダのホームレースで少しでもポイントを取ることが大切」と冷静な姿勢を見せた。
ペドロサ選手は「もてぎでは過去、125ccや250cc時代も含めてよいレースができているから、週末は楽しみ。昨年は難しいコンディションだったから、今年はよい天気であってほしい。結果を出して、ファンのみなさんに楽しんでもらえるレースにしたい」とコメントした。
最後にファンに向けて、ペドロサ選手が「朝早くから集まってくれたということで、ファンのみなさんにはお礼を言いたい。日本にはなかなか来られないので、いつもみなさんに会えるのを楽しみにしている。週末にもてぎでお会いしたいと思っています」と話すと、マルケス選手は「ダニの言ったことと同じだけれど、また日本に来られてうれしい。シーズンの最後にはよい報告ができるようここに戻れれば。そのためにも全てにおいてよい週末を迎えたい」と述べるとともに、「アリガトウ、ガンバッテ」と日本語で感謝の気持ちを表した。