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10月9日~11日開催の「MotoGP日本グランプリ」の見どころは?

好調なヤマハのロッシとロレンソ。ブリヂストン最終年にスズキが帰ってくる

2015年10月9日~11日開催

入場料:自由券 大人9300円。中学生以下無料

2014年のMotoGP 日本グランプリ決勝レースの様子

 10月9日~11日に栃木県芳賀郡にあるツインリンクもてぎで、オートバイレースの最高峰「2015 FIM MotoGP 世界選手権シリーズ第15戦 MOTUL 日本グランプリ」(以下MotoGP日本グランプリ)が開催される。MotoGPがツインリンクもてぎで開催されるのは今年で13回目となるが、2015年はこれまでとはちょっと異なり、さまざまな面で節目のレースとなる。果たしてどんなところが見どころとなるのか解説しよう。

ロッシが逃げ切るか、ロレンソが逆転するか

 MotoGPはオートバイレースにおいて最高峰の世界シリーズ戦。9月27日には鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で自動車レースの最高峰であるF1日本グランプリが開催されたばかりだが、位置付けとしてはそのオートバイ版と言ってもよい。2015年は世界各地で全18戦が開催され、日本グランプリはその15戦目。残すところあとわずか4戦だが、今シーズンは例年になくトップ争いが熾烈だ。このタイミングでの日本グランプリは、チャンピオンシップの行方を占ううえで重要な1戦となる。

 今のところワールドチャンピオンの筆頭候補と言えるのが、ポイント争いでリードするバレンティーノ・ロッシ選手(Movistar Yamaha MotoGP)。MotoGPクラスでは、500cc時代を含めて86回という現役最多の勝利数と7回のワールドチャンピオンを獲得している世界的なスーパースターであり、日本国内でも人気の高い選手だ。

ロッシ選手(奥)と3年連続王者のマルク・マルケス選手(手前)

 Yamahaチームに2004年から2010年まで所属して数々の勝利を収めてきたものの、その後ドゥカティに移籍してからは苦戦続き。しかし、2013年に再び現在のYamahaチームに戻ると、年を追うごとに調子を上げてきた。2015年の今年は以前の強さを完全に取り戻し、4回の勝利を手にしているほか、全戦に渡って安定した走りを見せて上位でチェッカーを受け、チャンピオンシップをリードしている。

 ロッシ選手が日本グランプリで優勝すれば、実に2009年以来6年ぶりのワールドチャンピオンに大きく近づくことになる。ただし、不安要素がないわけではない。これまでもてぎでの成績はあまり振るわず、Yamahaチームで優勝したのは2008年の1回のみ。それ以外のシーズンは上位に入れないことも多く、今の好調を日本でも維持できるかどうかがカギとなりそうだ。

前戦アラゴングランプリでも優勝し、勢いに乗るロレンソ選手

 ロッシ選手を追うのは、チームメイトであるホルヘ・ロレンソ選手(Movistar Yamaha MotoGP)。2015年シーズンは6回もの勝利を挙げており、ここ一番の速さは目を見張るものがある。前戦アラゴングランプリでも優勝を果たし、ついにロッシ選手と14ポイント差まで迫った。ロレンソ選手にとってもてぎは、2013年と2014年の2年連続で優勝している相性のよいサーキットだ。

 その後ろにつけるのが、昨年まで3年連続王者のマルク・マルケス選手(Repsol Honda Team)。2015年は中盤戦でミスなどが重なり勝ち切れないレースが続くも、終盤に差しかかってようやく持ち前の速さを発揮し始めた。と思いきや、前戦では痛恨の転倒リタイヤ。ロッシ選手から79ポイントの差が開いたことで優勝争いから1歩遠のいた感もあるが、日本グランプリでは独自の肘まで擦るダイナミックな走りでファンを魅了してくれるはずだ。

鈴鹿8耐を優勝した中須賀選手がスポット参戦

鈴鹿8耐で見せた中須賀選手の走り

 日本人選手としては、7月の鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)で見事に優勝を飾った中須賀克行選手がMotoGPクラスにスポット参戦することが決定している。全日本選手権で圧倒的な速さを見せている同選手が、世界を相手にどう戦うのか期待が高まる。また、同選手がまたがるYZR-M1のみ、ヤマハ創立60周年を記念した伝統あるイエロー+ブラックの「スピードブロック」グラフィックを採用するスペシャルなカラーリングが施される点にも注目だ。

Moto2にフル参戦している中上貴晶選手

 そして、MotoGPと合わせて開催される600ccのマシンで争われるMoto2クラスにも、数名の日本人選手がフル参戦している。そのなかでも中上貴晶選手(IDEMITSU Honda Team Asia)は、第13戦サンマリノグランプリで36戦ぶりに表彰台を獲得したこともあって、日本グランプリでもトップ争いに加われるかどうか、来シーズンに向けて本来の実力を発揮できるかどうかに注目が集まる。

MotoGPでのブリヂストンの活動が見られる最後のチャンス!

 2015年は、日本のMotoGPシーンにおいて「来る者」と「去る者」が同居する節目の年でもある。「来る者」は、2011年でいったんMotoGPにおけるレース活動を終了し、2015年の今年から再び本格復帰したスズキ(Team SUZUKI ECSTAR)だ。日本グランプリでは4年ぶりにその姿を見ることができるわけだが、3年間のブランクはやはり大きいのか、これまでのところ決勝レースでは目立った成績を残せていない。もてぎではなんとか来年以降につながるレースを見せてほしいところ。

Team SUZUKI ECSTARのアレイシ・エスパルガロ選手

 一方で去る者は、2001年からMotoGPにタイヤ供給を始め、2009年からはワンメイクルールのもと独占供給してきたブリヂストン。既報(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20150904_719567.html)のとおり、ブリヂストンは2015年を最後にMotoGPへのタイヤ供給を終了する。今回の日本グランプリは、MotoGPで活動するブリヂストンと、ブリヂストンのタイヤで走るMotoGPマシンを日本で見られる最後の機会ということになる。MotoGPのレースでは、これまでにもタイヤを巡ってさまざまなドラマが繰り広げられてきたこともあり、各ライダーのタイヤアロケーション(ソフト、ミディアム、ハードなどのスペック)のチョイスに目を光らせるのも、レースの楽しみ方の1つだろう。

充実のレースと盛りだくさんのイベント

 さて、ここまでMotoGPの見どころを中心にお伝えしてきたわけだが、MotoGP以外にも前出のMoto2、250ccのバイクで争われるMoto3というクラスがある。10月9日は午前と午後に各クラス1回ずつの練習走行が行われるほか、10月10日は午前にフリー走行、午後に公式予選とMotoGPの2回目のフリー走行が実施される。10月11日の決勝当日は、午前にウォームアップ走行、午後に決勝レースの予定となっている。3日間の各走行の合間にはピットウォークの時間も設けられているなど、スプリントレースとは言えみっちり予定が詰まった充実の内容だ。

Moto3のレースの様子

 また、10月10日には、道の駅もてぎからツインリンクもてぎまで自分のバイクでパレード走行できる「グランプリロードR123パレード」や、ライダーや芸能人によるトークショー「前夜祭“MotoGPクラブナイト!”」が行われ、10月11日にはオープニングセレモニーとして航空自衛隊 百里基地 第7航空団所属の練習機「T-4」がコース上空をフライトする。

MotoGP 日本グランプリ、10月11日のオープニングセレモニーで航空自衛隊「T-4」が歓迎フライト展示

http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20150804_714858.html

 さらに決勝レース後は、伝説のライダーとされるケニー・ロバーツ氏とフレディ・スペンサー氏の2人がそれぞれ最新スーパーバイク「RC213V-S」と「YZF-R1」でデモランを実施。現役ライダーによるサイン会なども予定されていて、ファンなら見逃せないイベントが目白押しだ。そのほか、サーキット併設の「モビパーク」や「ハローウッズ」では、大人から子供まで楽しめるミニバイクレースイベント、アウトドアイベントなども行われ、MotoGPのレース以外でも楽しめるポイントは数多い。

世界中の食やイベント、マシン展示などを楽しむことができた2014年のホスピタリティガーデン
2015年のホスピタリティガーデンのイメージ

 会場となるツインリンクもてぎは、東北自動車道、北関東自動車道、常磐自動車道の3路線から近く、関東圏からは比較的アクセスしやすいサーキットでもある。3日間通しの前売り観戦券は、自由席が大人9300円からで中学生以下は無料となっており、家族一緒でもリーズナブルに観戦できる。10月9日から11日まで、ぜひとも予定を空けて訪れてはいかがだろうか。

(日沼諭史)