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【MotoGP日本グランプリ】ホンダのペドロサ選手が今季初優勝
ポイントトップのロッシ選手を抑えウェット&ドライのレースを制す
(2015/10/11 21:49)
- 2015年10月11日開催
10月11日、ツインリンクもてぎで、オートバイレースの最高峰「2015 FIM MotoGP 世界選手権シリーズ第15戦 MOTUL 日本グランプリ」(以下日本グランプリ)の決勝レースが行われ、ダニ・ペドロサ選手(Repsol Honda Team)が今季初優勝、19戦ぶりの勝利を飾った。
2位はバレンティーノ・ロッシ選手(Movistar Yamaha MotoGP)、3位はホルヘ・ロレンソ選手(同)で、ロッシ選手が年間ポイント獲得数でロレンソ選手との差を広げ、チャンピオンシップ争いを有利に持ち込んだ。
ウェットとドライがめまぐるしく変わる困難なレースに
前日までの澄み切った秋空から一転、朝から雨が降り続き、もやがかかるレインコンディションとなった11日の決勝当日。予定されていた8時40分からのウォームアップセッションは、ドクターヘリが視界不良で飛べないことから、オフィシャルの判断により天候回復を待つためディレイとなった。
予定より2時間遅れでフルウェットのなかウォームアップセッションが開始したが、午後のMoto3の本選になると、レコードラインの一部には乾いたところも見え始める。その後断続的な雨でMotoGP決勝は再び路面全体が濡れた状態になるも、後半はまた一部でドライになるという難しいレース展開となった。
振り返ってウォームアップセッションでは、前日の予選で6番手だったダニ・ペドロサ選手(Repsol Honda Team)がトップタイム。ポールポジションのホルヘ・ロレンソ選手(Movistar Yamaha MotoGP)が2番時計を記録。バレンティーノ・ロッシ選手(同)、オープンクラスのアンドエア・イアンノーネ選手(Ducati Team)、アンドレア・ドビチオーゾ選手(同)がそれに続くタイムを記録した。
ディレイがあったものの予定通り14時からスタートしたMotoGP決勝では、ロッシ選手がホールショットを決めたものの、オープニングラップはロレンソ選手が制し、レースをリード。レース中盤まで、ロレンソ、ロッシ、ドビチオーゾ、ペドロサ、マルケスの各選手が続く状況となった。しばらく大きな順位変動はなかったが、16ラップ目にペドロサ選手がロッシ選手をオーバーテイク。さらにペドロサ選手は、終盤に入り失速したトップのロレンソ選手を18ラップ目に捉えると、バックストレートで一気に抜き去り、独走状態へ持ち込んだ。
その後、ロレンソ選手はロッシ選手にもかわされ3番手に。結局、ペドロサ選手が19戦ぶりの勝利を挙げ、2位にロッシ選手、3位にロレンソ選手が入った。ケガのせいか本来の速さを発揮できなかったマルケス選手は4位。日本人ライダーは中須賀 克行選手(Yamaha Factory Team)が8位に入る健闘を見せ、高橋巧選手(Team HRC with Nissin、ホンダ)は12位、秋吉耕祐選手(AB Motoracing、ホンダ)は19位だった。
この結果、ポイント争いではトップのロッシ選手と2位のロレンソ選手との差が18となり、ロッシ選手がタイトルに一歩近づいた。2015年のMotoGPは残り3戦、翌週10月18日にオーストラリア・フィリップアイランド、さらに翌週の10月25日にはマレーシア・セパンと連戦が続き、11月8日スペイン・バレンシアで最終戦を迎える。
なお、Moto2クラスは、日本の小山知良選手(NTS T.Pro Project)が13位、高橋裕紀選手(Moriwaki Racing)は14位。フル参戦している中上貴晶選手(IDEMITAU Honda Team Asia)はレース序盤で3番手を快走するも、5ラップ目の最終コーナーでフロントを滑らせ転倒。その影響で最下位に転落し、最終的に22位でチェッカーを受けた。Moto3は、鈴木竜生選手(CIP)が13位で日本人最高位。ワイルドカード参戦の栗原圭介選手(Musahi RT Harc-Pro)が25位。尾野弘樹選手(Leopard Racing)は3ラップ目に転倒を喫しリタイヤした。
ポディウムを獲得したMotoGP 3選手の記者会見のコメント
ダニ・ペドロサ選手:スタートは不安だった。リアにハードタイヤをはいてサイティングラップからグリッドに戻ってきた時はすごく感触は良かった。でも、グリッドで待っている間に他のライダーを見ると、みんなリアにソフトタイヤをはいていたから、メカニックに話してソフトに変えてもらった。ウォームアップラップではフィーリングが全然良くなくて、なんでハードから変えちゃったんだろうと思った。だから序盤ではプッシュできなくてすごく気を使っていた。
僕らのマシンのエンジンはアグレッシブでいろいろコントロールしないとならない。序盤はゆっくり走るような状況だったけれど、ラップタイム自体は悪いってほどではなかった。ただ他のライダーが速かった。だからそのギャップをリカバリーできたのが信じられない。最後は(レコードラインが乾き始めていたので)できるだけウェット部分を走れるようにラインを変えて、いいタイムを維持できた。
バレンティーノ・ロッシ選手:とても難しいレースだった。バイクやタイヤをコントロールするのが難しく、特にメンタルにすごいストレスがかかった。スタートは良くて、最初のラップはホルヘが強かったけれど、その差をキープすることはできた。100%いい感触ではなかったけれど、高いモチベーションと集中力でこの負けられない戦いにトライするべく追いかけた。でも長いレースのなかで状況は刻々と変わる。路面がドライになったり、バイク(タイヤ)の状況も変わる。
レインのソフトタイヤはドライになると(扱いが)難しくなってくるから、ずっとフルウェットだったらもっと良かったかもしれない。2~4ラップはかなり速く走れたし、ダニとはいいペースで戦えた。ここで20ポイント取れたのはチャンピオンシップにとってはすごく重要だ。
ホルヘ・ロレンソ選手:(ウォームアップやスタート直後の走りからは残念な結果だったと思うが、と問われ)たしかに残念だった。雨でも、サポートしてくれたみんなのためにいい結果を出さなければいけなかった。ドライではファステストを出していて、フルウェットになった序盤もコンスタントに速く走れていたけれど、ドライになってきてコンディションが大きく変わった。もしドライになることが分かっていたら、序盤にもっとプッシュしたと思う。みんなも最後までウェットレースになると信じていたんじゃないか。結局は、この難しい状況で4ポイントをただ失ってしまった(ロッシ選手との差が4ポイント広がった)。僕らはチャンピオンシップで勝利できると信じて残りの3戦で勝つしかないし、それができると信じたい。