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【MotoGP日本グランプリ】予選、ヤマハのロレンソ選手がポール獲得

チームメイトのロッシ選手とのバトルでサーキットレコード1分43秒台連発!!

2015年10月9日~11日開催

ホルヘ・ロレンソ選手(Movistar YAMAHA MotoGP)

 10月10日、ツインリンクもてぎにて「2015 FIM MotoGP 世界選手権シリーズ第15戦 MOTUL 日本グランプリ」の予選が行われた。ワールドチャンピオンを巡って争うMovistar YAMAHA MotoGPチームのバレンティーノ・ロッシ選手とホルヘ・ロレンソ選手が、予選から激しいつばぜり合いを繰り広げ、翌日11日の決勝レースはロレンソ選手がポールポジションを獲得した。

抜かれては抜き返す展開で、サーキットレコードを塗り替える

MotoGP日本グランプリ予選

 MotoGPの予選は2013年から新しい方式になり、初日のフリー走行2回と2日目のフリー走行1回、計3回で出したベストタイムの上位10名が「Q2」に、それ以下のライダーは「Q1」に進出する。下位のライダーが出走するQ1では、タイムの最も良かった上位2名だけがその直後に行われるQ2に参加でき、Q2では合わせて12名が予選上位を目指して戦うことになる。

 下位のライダーが争うQ1のエントリーは17名。ただし、アレックス・デ・アンジェリス選手(E-Motion IodaRacing Team、ART)が直前に行われた4回目のフリー走行で転倒しドクターヘリで搬送された(その後、肺挫傷や骨折などの重傷を負ったことが明らかにされた)ことから、16名で争われることになった。15分間の走行でトップ2となったのは、マーベリック・ビニャーレス選手(Team SUZUKI ECSTAR)とスコット・レディング選手(EG 0,0 Marc VDS、ホンダ)。

マーベリック・ビニャーレス選手(Team SUZUKI ECSTAR)
スコット・レディング選手(EG 0,0 Marc VDS、ホンダ)

 Q2では、チームメイトのバレンティーノ・ロッシ選手(Movistar YAMAHA MotoGP)とホルヘ・ロレンソ選手(同)が抜きつ抜かれつのデッドヒート。ロレンソ選手は4回のフリー走行で全てトップタイムを記録する圧倒的な速さを見せつけていたが、このQ2で最初に1分44秒222をマークしトップに躍り出たのはロッシ選手。しかしその直後にロレンソ選手が44秒を切る、1分43秒990で抜き返した。

ホルヘ・ロレンソ選手(Movistar YAMAHA MotoGP)
バレンティーノ・ロッシ選手(Movistar YAMAHA MotoGP)

 タイムリミットが迫る最後の1周、ロッシ選手が気迫の1分43秒871を出し、土壇場でロレンソ選手をかわす。ところが、さらにその数十秒後ろを走っていたロレンソ選手がセクタータイムを塗り替えつつコントロールラインに飛び込み、1分43秒790で逆転、ロレンソ選手がポールポジションを獲得した。

 2位にロッシ選手、3位にはマルク・マルケス選手(Repsol Honda Team)が続き、4位と5位にはオープンカテゴリー(※)であるDucati Teamの2人、アンドレア・ドビチオーゾ選手とアンドレア・イアンノーネ選手が続いた。

アンドレア・ドビチオーゾ選手(Ducati Team)
アンドレア・イアンノーネ選手(Ducati Team)
ホルヘ・ロレンソ選手

 ポールポジションのロレンソ選手は、予選終了後に記者会見で、「チームがバイクを改善してくれたおかげで、バイクを信頼でき、速いラップタイムにつながった。今後のためにも、もっとクレバーになるために少しずつ学んでいかないとならない」と話し、今季の最多ポールポジション獲得ライダーとして「ポールポジションアワード」を受賞しながらも、翌日の決勝に向け気持ちを切り替えていた。

以前骨折した鎖骨を、9月末のトレーニング時に痛めたホルヘ・ロレンソ選手。記者会見前は患部を冷やしていた
ロレンソ選手がポールポジションアワードを受賞
記者会見に登場した面々

 なお、日本人選手としてMotoGPクラスに参戦しているのは3人。鈴鹿8耐で優勝し、この日本グランプリにスポット参戦している中須賀 克行選手(YAMAHA Factory Racing Team)は5位となり、決勝は15番グリッド。同じくスポット参戦している高橋巧選手(Team HRC with Nissin、ホンダ)は19番グリッド、秋吉耕祐選手(AB Motoracing、ホンダ)は26番グリッドからのスタートとなった。

中須賀 克行選手(YAMAHA Factory Racing Team)
高橋巧選手(Team HRC with Nissin、ホンダ)
高橋選手と、追走する中須賀選手
秋吉耕祐選手(AB Motoracing、ホンダ)

 また、Moto2クラスの予選も同日に行われた。日本人選手の中上貴晶選手(IDEMITSU Honda Team Asia)は7番グリッド、高橋裕紀選手(Moriwaki Racing)は25番グリッド、小山知良選手(NTS T.Pro Project)は29番グリッド。Moto3クラスは尾野弘樹選手(Leopard Racing)が日本人最高位の12番グリッドだった。

Moto2クラスの中上貴晶選手(IDEMITSU Honda Team Asia)
高橋裕紀選手(Moriwaki Racing)
小山知良選手(NTS T.Pro Project)
Moto3クラスの尾野弘樹選手(Leopard Racing)

※オープンカテゴリー:MotoGPでは全ての車両が共通のECUハードウェアを使用するが、ファクトリーチームをはじめとする一部チームでは「ファクトリー・オプション」として独自のECUソフトウェアを使用することが許可されている。一方で、「オープンカテゴリー」に分類される車両は共通のECUソフトウェアを使うことになりカスタマイズの自由度が失われるが、その代わりタンク容量やエンジン使用回数、エンジン開発の制限が緩和され、ある意味燃費や耐久性を度外視してパワーを上げやすいマシン作りができるようになっている。

(日沼諭史/Photo:Burner Images 佐藤安孝)