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おかやま次世代自動車技術研究開発センター、インホイールモーターを採用した実証実験車「OVEC-TWO」

研究に協力する三菱自動車本社で公開

2016年1月11日公開

 おかやま次世代自動車技術研究開発センターは1月11日、後2輪にインホイールモーターを採用した実証実験車「OVEC-TWO」を三菱自動車工業本社で公開。同研究に協力する三菱自動車の役員らが試乗などをして研究の成果を確かめた。

 公開された「OVEC-TWO」は三菱自動車「i-MiEV」をベースに、後2輪にインホイールモーターを採用。実車を見ると純正ホイールの内側にモーターが配置され、ダブルウィッシュボーン構造のサスペンションを持つことが分かる。

 開発を担当する岡山県産業振興財団 おかやま次世代自動車技術研究開発センターのセンター長 吉田寛氏は、「インホイールモーターのメリットは3つあり、まずはドライブシャフトなどが不要となり機械的なロスが少なく効率が上がります。2つ目に車両の重心が下がるとともに、左右のタイヤを独立して制御できるなど車両の運動性能にも貢献します。3つ目に車両側にモーターを搭載するよりスペース効率が上がり車両形態の自由度が増します」と、インホイールモータを採用する車両の特徴を示すとともに、インホイールモーターの将来的な実用化に向けた課題については「信頼性がどこまで確保できるのか確認することが重要」との考えを述べた。

 同センターは岡山県内の自動車関連産業の発展を進めるべく2011年度に開設された組織で、主にインホイールモーターEVの研究開発を行なっており、三菱自動車も協力している。吉田氏は「ご存じの通り、世界で初めてEVの量産が三菱自動車の岡山県水島製作所で開始されました。将来的に電動化が進むとエンジンなどの部品を製作する周辺の部品メーカーの仕事が減少するのでは、という危機感から、県としてそういった企業を支援しようと約6年くらい前からEVの研究を開始しました」とコメント。

 加えて、「第1期プロジェクトではギャラン フォルティスを4輪インホイールモーター化したOVEC-ONEで4輪を自由に制御するインホイールモーターの将来の姿を示しました。今回の第2期プロジェクトでは、より現実的に市販のi-MiEVと比較してインホイールモーターにどのようなメリットがあるのかを検証します」と、同プロジェクトの狙いを話した。

 今後、同センターは東京ビッグサイトで開催される「オートモーティブワールド2016 EV・HEV駆動システム技術展」(会期:1月13日~15日)に参加し、「OVEC-TWO」に採用された「アウターロータ式インホイールモータ」「インバータ」「リヤサスペンション」を出展、詳細な技術情報を公開する。

重量物であるモーターを左右のホイールに配置することで、車両の重心を低くする効果があるという
ダブルウィッシュボーンタイプのサスペンション構造が採用されている
後輪に採用されたインホイールモーターやインバーター以外、バッテリーや内装部分などはほぼベース車両のi-MiEVのまま
同研究に協力する三菱自動車工業の役員が実証試験車を試乗して研究の成果を確認した

(編集部:椿山和雄)