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三菱自動車、2017年度にPHEVの「新小型SUV」、2019年度にEVの新型「RVR」を発売

「ランサー」次期型は開発中止、「パジェロ」は改良しつつ継続販売

2016年2月3日発表

2020年に向け、三菱自動車工業はSUVと電動車両のラインアップを強化。2017年度には「アウトランダー」と「RVR」のあいだに位置するPHEVの「新小型SUV」を発売予定

 三菱自動車工業は2月3日、東京都港区にある同社の本社で2015年度第3四半期の決算発表会を実施。この席で、2016年度中に公開を予定する新しい中期経営計画の発表に先立ち、2020年度までに同社が目指していく今後の商品展開の考え方について明らかにした。

 この発表では、2015年10月に開催された東京モーターショー2015のプレスカンファレンスで三菱自動車工業 取締役社長兼COOの相川哲郎氏が宣言した「SUVと電動車両への注力」をさらに推し進め、電動車両のラインアップを強化するため、2017年度にPHEVの「新小型SUV」を新規投入、2018年度にPHEVをラインアップする「アウトランダー」をフルモデルチェンジ、2019年度にEVをラインアップする新型「RVR」を発売することが発表された。また、SUVのラインアップ強化については、2017年度に「デリカD:5」の次期型モデル、インドネシアで生産を行なう新型「小型MPV」の市場投入が実施される予定。全体としては2017年度から2020年度にかけて14車種の新型車を導入して、カーラインアップをSUVと電動車両の比率を高めた陣容にシフトさせていくという。

SUV市場はグローバルで成長を続けており、2020年には小型SUVセグメントが約60%増になるとの市場予想
2015年12月のCOP21では世界の平均気温上昇を2℃未満に抑える目標が掲げられ、今後は新興国市場でも環境規制の強化が進んでいく
環境性能の高いEVやPHEVは、2014年比で2020年には需要が約5倍になるとの予想
変化する市場環境に対応するため、PHEVをラインアップする新しい小型SUV、RVRのEV追加などを実施
事業の効率化に向け、2020年度には4つの主要プラットフォームで90%以上のモデルをまかなう計画
2020年度までに新型車14車種を投入するという計画。SUVテイストの「小型MPV」はインドネシアの新工場で生産され、周辺のASEAN各国の市場でも販売する予定
三菱自動車工業株式会社 取締役社長兼COO 相川哲郎氏

 発表会に出席した三菱自動車工業 取締役社長兼COOの相川哲郎氏は集まった記者からの質問に対し、具体的な数値目標などは2016年度中としつつも、SUVと電動車両中心のカーラインアップへのシフトにより、販売台数、収益性ともに向上する計画であると語った。また、このタイミングで新しい全体計画を明らかにした理由については、これをもって開発部門も含めた全事業所をまわり、とくに千数百人にのぼる管理職を集めてこれからについての話しをすることで、社員のモチベーションを上げることが狙いだったとしている。

 2モーターEVとエンジン搭載車を同時にラインアップすることになる次期RVRは大きく内容がことなるが、それでも並立させていくことの意義に対する質問には、「グローバルに展開しているRVRは、実は当社の現時点で一番売れているクルマであります。その意味では、仕向地によってはまだ内燃機関であるという判断です。ガソリンエンジン、仕向地によってはディーゼルもあります。そしてピュアEVもある。これから電池の性能が非常に向上するということを見越して、レンジエクステンダーではなく、ピュアEVでも十分な1充電航続距離が得られるであろうという見通しです」と相川氏は説明している。

SUVと電動車両に開発リソースを集中させるため、ランサーは次期モデルの開発が中止となり、パジェロはモデルチェンジを行なわず、現行モデルを改良して販売していく

 一方、限りある開発リソースをSUVと電動車両に集中させるため、「ランサー」の次期モデルの自社開発取りやめ、「パジェロ」の現行型車両の継続販売についても合わせて発表されている。グローバル販売しているランサーは、現行モデルを仕向地の法規に適合するあいだは販売を継続。その後については、台湾でランサーを生産している中華汽車に開発委託を行なって一部地域に供給することなどを今後検討していくとのこと。

 このほか、2020年度時点でのラインアップ表で「検討中」と注釈が付けられた「軽EV」について質問され、相川氏は「軽のEVについては日産(自動車)さんとジョブシェアを含めて協議しているところです。ただ、軽EVの市場については今後必ず大きくなっていくと考えていますので、基本的には投入の方向で検討しています」と回答した。

今後の商品展開として「SUVと電動車で『期待を超える』クルマ作り」を推し進めていく
2015年度第3四半期決算について報告する三菱自動車工業株式会社 常務執行役員 経理本部長 野田浩氏

 なお、三菱自動車の2015年度第3四半期決算では、売上高は1兆6620億円(前年同期比5%増)、営業利益は1020億円(前年同期比1%増)、純利益は767億円(前年同期比22%減)となった。また、第3四半期の累計期間の実績や直近の経済状況、市場動向などをふまえて、2015年度通期の売上高予想の一部を修正。売上高を200億円減の2兆2600億円としたが、そのほかに販売台数(105万3000台)、営業利益(1250億円)、経常利益(1300億円)、純利益(1000億円)はぞれぞれ前回予想から増減なしとなっている。

純利益の767億円には、2015年11月末に米国子会社MMNA(ミツビシ・モーターズ・ノース・アメリカ・インク)の生産を終了したことに関連する特別損失153億円を計上した数値となっている
日本市場は税制が変更された影響から軽自動車が減少。北米や西欧で販売台数を伸ばしたが、全体では1万9000台の減少となった
「アウトランダー」「RVR」などが販売台数を伸ばして車種ミックスが改善されたこと、コスト低減活動への取り組みなどが功を奏し、販売台数は微減ながら12億円の増益となった
2015年度の通期販売台数は105万3000台となる見通し。アジア市場ではタイの税制変更によって販売台数が下がるとの予想
営業利益の項目内訳にある「市場措置費用」の155億円は、ほとんどがタカタのエアバッグリコール問題に関連する費用
2015年度の推移
2014年度と2015年度の4〜12月実績の比較
為替変動、タカタ関連の市場措置費用を含むその他の費用などに影響され、2015年度の営業利益は109億円減となる見通し
2015年度の地域別見通し。売上高は793億円増だが、営業利益は109億円減
設備投資や研究開発費などは増額
発表内容のまとめ
三菱自動車工業株式会社 常務執行役員 経営企画本部長の黒井義博氏(写真中央)は、タイでの税制変更による需要低下による市場の厳しさを認めつつ「いい商品が出るとお客さまはついてくるという状況。(10月からデリバリーをはじめた)パジェロスポーツなんかは非常にいい売れ行きで、税制変更の駆け込み以上にたくさんのお客さまがついてきてくれた。我々にとっては非常に頼もしい結果で、単に需要の動向だけでなく、いいものを出して買っていただくという回転はまだあるのかなと見ております」と語った

【お詫びと訂正】記事初出時、新しい中期経営計画の発表を2017年としていましたが、正しくは2016年度中になります。お詫びして訂正させていただきます。

(編集部:佐久間 秀)