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NTT、「ぶつからないクルマ」のデモを「NTT R&Dフォーラム2016」で公開

CES2016の出展内容を国内公開。リアルタイム通信・情報分析で“ぶつからない”を学習

2016年2月18日〜19日 開催

 NTTは、東京都武蔵野市にあるNTT武蔵野研究開発センタで2月18日〜19日に開催している「NTT R&Dフォーラム2016」の会場で、トヨタ自動車、Preferred Networksと共同で研究開発を進めている「ぶつからないクルマ」コンセプトの実動デモンストレーションを公開している。

 この技術については、1月に米国ネバダ州ラスベガスで開催された「CES 2016」のトヨタブースですでに実動デモンストレーションを公開しており、今回のイベントで国内公開が行なわれた。

トヨタ、Preferred Networks、NTTの持つコンセプトや技術を持ち寄ることで実現

実動デモは「プリウス」のラジコンカーを使って実施

 NTTは将来的なIoTインフラの提供に向け、自動車・交通分野でエッジコンピューティング技術を活用した研究開発を推進しており、トヨタ、Preferred Networksとともに「ぶつからないクルマ」のコンセプトについて研究開発を実施。実動デモンストレーションが行えるまでになった。

 複数の無線アクセス方式を組み合わせて確実にデータをやり取りし、高い信頼性と低遅延性を持つIoTサービスの基盤技術を確立することがNTTの命題。一方で自動車分野において安全な走行を提供するためには、車両が持つセンサー類の情報に基づいた自律的判断、注意喚起などを行なう運転支援だけでなく、車車間通信や路車間通信の設備、歩行者の持つ端末などとの連携による周辺状況の情報共有や活用が必要となる。そのことから、トヨタ、Preferred Networks、NTTの3社がコンセプトや技術を持ち寄るってコンセプトを表現する実動デモを作り上げた。

表示されていたプレゼンテーションは基本的にCESで公開したもので、解説は英語だった。走りまわるプリウス(模型)の軌跡をリアルタイムでモニタリング

 トヨタの考える「人工知能を使った運転支援のコンセプト」を、NTTの「エッジコンピューティング技術」と「無線技術」、Preferred Networksの「ぶつからない事象を学習するディープラーニング技術」と「分散処理技術」で実現したデモは、プリウスのラジコンカーを使用し、各車が走行することで変化する周囲環境に対し、衝突を回避するための行動をエッジサーバ上で動作するPreferred Networksの人工知能により学習。さらに複数の車両の学習状態を共有することで、それぞれの学習に必要な時間の短縮も実現している。サーバと車両との通信では複数の無線アクセス方式を使うことで信頼性が保たれ、送られた学習結果を用いてそれぞれが自律的にぶつかることなく走行できる技術となっている。

クラウドとエッジでの通信遅延の比較では、200ms対40msと大きな違いがあり優位性をアピールしていた
Preferred Networksのディープラーニングテクノロジーで実現したミドルウェアは、クラウドからエッジデバイスまで動作可能。機械学習などに必要な分析機能やインターフェイスを提供する

 実動デモでは複数のプリウスのラジコンカーが用意されたコース内を実際に走行しながら、ほかのプリウスが走路を横切ったり前方で止まっている状況などに対応して適切に対処。実動デモを見ている限りでは「自動運転も遠くない将来に実現できるのでは?」と感じてしまうほどだが、会場にいた解説員に現在の課題について質問したところ「複数の無線通信を用いて安全性や正確さを実現しているが、多くの車両が複数の通信帯域を使用するにはまだ難があるので、少ない無線通信でも確実に動作するようにしないといけない」との返答だった。

NTT R&Dフォーラム2016で公開された「ぶつからないクルマ」デモ(21秒)

高度な運転支援のために情報を提供できるインフラ技術の確立を目指す

実動デモは多くの来場者が足を止めて見学していた

 NTTでは、将来はエッジサーバ上に送られる複数のクルマやインフラ側設備のデータなどから「周辺でなにが起きているのか?」といった動的で精密な交通空間情報を作成したり、交通渋滞の分析・学習・予測、緊急時や災害時に車両の通行優先度の設定を行なうなど、リアルタイムに高度な運転支援をするために必要となる情報を提供するインフラ技術の確立を目指しているとのこと。安全運転のための支援システムやインフラの確立など、今後の開発に期待したい。

(酒井 利)