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ミシュラン、フォーミュラ Eレースタイヤ直系の新スポーツタイヤ「パイロット スポーツ 4」発表会
「パイロット スポーツ 3」から最速ラップタイムを1.7%、平均ラップタイムを2.3%短縮
(2016/2/25 00:07)
- 2016年2月24日 開催
日本ミシュランタイヤは2月24日、3月24日に発売する新スポーツタイヤ「PILOT SPORT 4(パイロット スポーツ フォー)」の発表会を都内で開催した。
今回発表されたパイロット スポーツ 4は、従来の「パイロット スポーツ 3」で用意される17インチ、18インチに入れ替わる形で新投入されるスポーツタイヤ。同社は電気自動車(EV)のフォーミュラカーを使った世界シリーズ「FIA フォーミュラ E選手権」に公式サプライヤーとしてタイヤを供給しており、パイロット スポーツ 4はそのフォーミュラ Eで使われるレース用タイヤの技術を応用して開発されたものとなる。
SUPER GTは世界で唯一ブリヂストンと競うことができるシリーズ
発表会ではまずポール・ペリニオ代表取締役社長が登壇して2015年の実績について振り返り、「新興国市場が冷え込むなか、ヨーロッパ、北米などの成熟市場で堅調な伸びを維持した結果、ミシュラングループ全体で販売をトンベースで3.2%伸ばした。また、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)の発表によるとリプレイスタイヤ市場は4輪、2輪、特殊車両の合計で2014年対比で約4%下がったが、そのような市場のなかでも日本ミシュランはグループ同様に堅調な伸びを示すことができた。これはミシュランのすべての性能に妥協を許さない製品づくりがしっかりと消費者から評価された結果だと考えている」とコメント。
また、乗用車のリプレイス市場についても前年の販売本数を堅持し、とくに17インチ以上のサイズで大きく販売本数を伸ばしたと述べるとともに、「これは2013年から続けている『満足保証プログラム』が購入の後押しになっているだけでなく、実際に製品を使用されたお客様が『ミシュラン・トータル・パフォーマンス』をしっかりと感じ取り、ミシュランの製品に満足をいただいている結果だと考えている」とした。
そして2016年にはすでに発表している製品を含めて3製品をリリースするとし、「今回の新製品はミシュランが得意とするスポーツタイヤ。2015年はSUPER GTシリーズでミシュランタイヤ装着車が2年連続でシリーズチャンピオンを獲得するという素晴らしい結果があった。さらにこの5年を振り返っても実に4回もチャンピオンを獲得している。このSUPER GTは、現在のところ世界で唯一ブリヂストンさんと競うことができるシリーズで、今年も簡単ではない競争だが、ミシュランタイヤの素晴らしい性能を証明したい。ミシュランにとってコンペティションは新たな技術の研鑽の場でもあり、コンペティションで培った技術が皆さんのクルマの足下を支えることになる。ご存知のとおり、コンペティションは冬の凍った路面からアスファルトも溶けるような暑い夏の路面、突然の雨の中でも開催される。競技の場所もサーキットはもちろんのこと、市街地を封鎖した一般公道サーキットや舗装されていない路面など走る場所を選ばない。そのような厳しい環境のなかで鍛え抜かれた技術が『ミシュラン・トータル・パフォーマンス』の基礎となりお客様に提供されていくのです」と述べるとともに、新製品のパイロット スポーツ 4については「皆さんにコンペティションからの最先端のフィードバックと『ミシュラン・トータル・パフォーマンス』を実感できるタイヤであることをお伝えしたい。この新製品をもって、我々はスポーツタイヤシリーズの販売本数において対前年比2ケタ(10~20%)成長を目指す。ミシュランが自信をもって発売するこの新製品が、世界でももっとも厳しい評価を下す日本のお客様からどのように評価されるか楽しみです」と自信を覗かせた。
パイロット スポーツ 3比で最速ラップタイムを1.7%、平均ラップタイムを2.3%短縮
パイロット スポーツ 4導入の背景については日本ミシュランタイヤ PC/LTタイヤ事業部 マーケティング部 ブランド戦略マネージャーの成瀬朋伸氏が、製品概要についてはPC/LTタイヤ事業部 プロダクトマーケティングマネージャーの平野哲也氏がそれぞれ紹介。
パイロット スポーツ 4の製品コンセプトは「直感的な走りを愉しむダイナミックグリップスポーツタイヤ」で、「高揚感が得られるダイナミックなドライビングを愉しむ人」を開発ターゲットとした。ここでいう“ダイナミックなドライビング”に必要な性能とは、同社が実施したアンケート調査によれば「乾いた路面での高いグリップ性」と回答した人がもっとも多く、以下「レスポンスのよさ」「ハンドリング」「濡れた路面での高いグリップ性」「乾いた路面での高いブレーキ性能」「濡れた路面での高いブレーキ性能」「高速運転時の安定性」と続き、これらの項目を実現するタイヤが“ダイナミックなドライビング”を実現すると位置づけた。
こうしたニーズに応えるべく開発されたパイロット スポーツ 4では、「レースタイヤのトレッドパターンを応用した広い接地面とグリップ力」「コントロール&応答性:路面と密着する技術」「プレミアムタッチデザイン:コントラストが鮮明なベルベット加工」の3点を特徴とした。
先に述べたとおり、パイロット スポーツ 4ではフォーミュラ Eで得られたノウハウをもとに、レースタイヤに近いトレッドパターンを採用。具体的には、シリカとの結合を高めたエラストマーを使用した新コンパウンドによってウェット路面でのグリップ力とブレーキング性能を向上させるとともに、進行方向に刻まれた4本のストレートグルーブによって縦方向の排水性を高め、さらに横方向の排水性を高める「アンチ・サーフ・システム」を採用。また、同社のハイパフォーマンスカー向けスポーツタイヤ「Pilot Super Sport(パイロットスーパースポーツ)」にも使われる、高強度で耐熱安定性に優れた「ハイブリッド・アラミド/ナイロンベルト」など路面と密着する技術の採用によってコントロール性と応答性を高めた。
これらにより、ウェット路面で従来のパイロット スポーツ 3との比較実験をGKN ドライブラインジャパンが所有する全長1036mのテストコースで行なったところ、最速ラップタイムを1.7%(パイロット スポーツ 3:60.0秒、パイロット スポーツ 4:59.0秒)、平均ラップタイムを2.3%(パイロット スポーツ 3:60.93秒、パイロット スポーツ 4:59.53秒)それぞれ短縮することに成功した。このことについて平野氏は、「このタイム短縮について少ないと思われるかもしれないが、全長1036mのコースで1秒短縮するとだいたいクルマ3台分の差がつく。いかにグリップの高いタイヤであるかお分かりいただけると思う」と、その性能について自信を覗かせた。
また、パイロット スポーツ 4ではサイドウォールにベルベット加工により生み出された独創的なデザインが施されたのも大きな特徴となっている。この技術は、1月のデトロイトショーで公開されたレクサス「LC500」が装着していたランフラットタイヤのコンセプトモデル「パイロット スポーツ Concept ZP」でも採用されており、平野氏からは洗練されたプレミアムな外観を実現していることが紹介された。