レクサス、“スポーツ”と“環境性能”を兼ね備えた「CT200h」発表会 |
発表会会場ではスペシャルゲストとしてアーティストの野崎良太氏(左)、一級建築士の中村拓志氏(中)、モデルの杏さん(右)が登場。司会はレクサス アンバサダーの知花くららさんと森理世さん(奥) |
2011年1月12日開催
レクサス(トヨタ自動車)は1月12日、同日発売したプレミアムコンパクトハイブリッドカー「CT200h」の発表会を都内で開催した。
ファッションショーさながらの演出がなされたCT200hの発表会 |
CT200hの詳細は関連記事に詳しいが、グレードはCT200h、CT200h“version C”、CT200h“F SPORT”、CT200h“version L”の4モデルで、いずれのモデルもプリウスと同じ直列4気筒 DOHC 1.8リッターアトキソンサイクルエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載し、システム全体で100kW(136PS)を発生する。
ベースモデルのCT200hは、10・15モード燃費で34.0km/Lを実現。いわゆる“エコカー”的な雰囲気も漂わすが、アンダーフロア全体やフロントスプリングサポート周辺、リアサスペンションタワー周辺、ドア開口部の高剛性化や、車体の左右を連結するパフォーマンスダンパーの採用、新開発のサスペンション、エンジンフードやバックドアにアルミ材を使用するとともにハイテン材(高張力鋼板)を積極的に使用したことなどにより、俊敏な操作性と上質な乗り心地を両立させた。環境性能に優れるだけではなく、スポーツ性能も兼ね備えたハイブリッドカーというわけだ。
エクステリアデザインは低重心でどっしりと構えた佇まいとし、張り出したフェンダーなどと相まってスポーティな仕上がり。また、車高を低くして前面投影面積を小さくするとともに、後方に向かうに従って絞られたキャビン形状、フロア下の空気抵抗の低減などにより、Cd値は0.28となった。
一方、インテリアはディスプレイゾーンとオペレーションゾーンを明確に分離するとともに水平基調のインストゥルメントパネルの採用により、タイトなコクピットと室内空間の広がりを両立させた。
後席は6:4分割可倒式となっており、シートをダイブダウンさせることで奥行き1500mmのスペースが出現する。また、ラゲッジルーム下はハイブリッドバッテリーを搭載するが、小型化とともに低い位置に搭載することで、375Lのスペースを確保する。
CT200h“version L”(インテリアカラーはウォーターホワイト) |
CT200h“version L”(インテリアカラーはアイボリー。オーナメントパネルはバンブー(竹) |
CT200h“F SPORT” |
発表会は、レクサス アンバサダーの知花くららさんと森理世さんが司会を務め、特別ゲストであるモデルの杏さん、一級建築士の中村拓志氏、アーティストの野崎良太氏がCT200hのコンセプトを表現するパフォーマンスやトークショーを実施。それとともに、CT200hのチーフエンジニアを務めた定方理氏、チーフデザイナーの田名部武志氏も登壇し、CT200hの魅力を語った。
定方氏によれば、CT200hは「意のままに走れる高いハンドリング性能」と「静かで、地球にやさしい環境性能」という二律双生(二面性)を持ち合わせていると言う。高いハンドリング性能はボディーの高剛性化などによるもので、その一方で前後のアンダーボディーに車体の左右を連結するパフォーマンスダンパーを装着することでたわみや微振動を吸収し、上質な乗り心地、上質な操作感を実現したと語る。
また、「ノーマル」「エコ」「EV」「スポーツ」からなる「ドライブモードセレクト」機能は、ノーマル、エコ、EVの選択時はメーター内が青い照明に、スポーツ選択時はメーター内が赤い照明になることを例に挙げ、「お客様の気持ちに合わせCT200hも性格を変える」(定方氏)と紹介。
このモード切り替えにより、スポーツモードではハイブリッドシステムの駆動電圧が最大で650Vまで昇圧し、加速性能が最大限になると同時に、TRC(トラクションコントロール)、EPS(電動パワーステアリング)の制御も変更され、よりステアリング操作がダイレクトになると言う。なお、EVドライブモードではフル充電の場合、約40km/h以下で2km程度連続走行できる。
CT200hは「意のままに走れる高いハンドリング性能」と「静かで、地球にやさしい環境性能」という二律双生(二面性)を持ち合わせる | 高いハンドリング性能はボディーの高剛性化などによるもの |
パフォーマンスダンパーを装着することで上質な乗り心地、上質な操作感を実現した | |
メーター内の照明は「お客様の気持ちに合わせCT200hも性格を変える」 | |
パドル&シーケンシャルシフトにより切れ目とショックのない加速を実現 |
田名部氏は、CT200hで用意される9色のボディーカラーや、上質感を演出するオーナメントパネルについて触れ、ボディー塗装は塗装の肌つやを美しくみせるため、水をかけながら下地塗装を磨き上げる水研磨と呼ばれる手法が採られており、こうした緻密な作業について「日本人の感性と技術が発揮されている」と述べた。
オーナメントパネルは標準装備のブラックのほか、オプションでバンブー(竹)、アッシュパール(本木目/マットフィニッシュブラウン)を用意し、“F SPORT”はメタル(金属調フィルム)を専用装備することなどを紹介した。
ボディーカラーは全9色 | オーナメントパネルは4種類 |
シート柄は洗練されたもので緻密なものとした | インテリアはディスプレイゾーンとオペレーションゾーンを明確に分離 |
商品開発本部 製品企画 主査 包原功氏 |
発表会会場で、CT200hについて商品開発本部 製品企画 主査を務める包原功氏に話を伺ったところ、開発時はとくに燃費性能の改善に苦労したと言う。
空気抵抗の低減するため、1450mm(ベースグレード。シャークフィンを含むため、実際には1430mm程度)という全高を維持しながら居住空間を確保するべく、前後席のシート位置を下げることを目的に、快適性を損なわないことを意識しながらシート厚を薄くする努力をしたと述べる。
また、エンジンやモーターはプリウスと共通ながら、これらを制御するECUの最適化、吸排気系の改善などにより、燃費と走行性能の両立を図ったと言う。
このほかにも、冷却水を排気熱で温めることで暖機時間を短縮し、外気温が低い状況で燃費向上に一役買うという排気熱再循環システムの採用や、エンジンの負担を低減するためにハンドルヒーターやシートヒーターなどを装備し、エアコンの風量を抑えることで積極的にエンジンを停止させ、結果的に燃料を無駄に使わないようにするといった工夫がなされる。エアコンについては、フロントガラスに新型の湿度センサーを採用して内外気の切り替えを自動で行い、ガラスが曇らない範囲で内気循環の比率を積極的に増やすことで、暖房効率を向上させていると言う。
CT200hの魅力について包原氏は「ハイブリッドと聞くと、“節約”といったイメージがわいてしまうが、走りがすごくよい。またドアを閉めてもらえれば、すぐに静粛感が高いことが分かっていただけると思う。走りを忘れたくない方、やすらぎ感を求めている方にCT200hをぜひ体感していただきたい」と述べていた。
そのほか、「トヨタのなかで1番の出来」(包原氏)というフロントシートは、各グレードで素材は異なるものの形状は同じだと言い、腰の落ち着く位置をフラットに、そこから前方に向かうにつれ座面を少しずつ上げるとともに、太ももと脇のサイドサポートを広げつつ立てることで、ゆとりとタイト感を両立させたと言う。その出来映えについて、「ワインディング走行時に助手席にいても、どこかに捕まらなくてもそのまま座っていられる」と紹介していた。
(編集部:小林 隆)
2011年 1月 13日