三菱自動車、MIVECエンジンを刷新、アイドリングストップ機能「AS&G」開発 一部改良を行った「RVR」「ギャラン フォルティス/スポーツバック」に搭載 |
三菱自動車工業は10月20日、新型MIVECエンジンとアイドリングストップ機能「AS&G(オートストップ&ゴー)」を開発したと発表した。
同エンジンとAS&Gは、同日に一部改良を行った「RVR」「ギャラン フォルティス/スポーツバック」に搭載する。価格はRVRが178万5000円~246万円(ROADESTは230万円~270万1500円)、ギャラン フォルティスが183万8000円~299万3000円、ギャラン フォルティス スポーツバックが222万6000円~302万4000円。
■新型MIVECエンジンとAS&Gで約12%の燃費向上
今回新たに開発された新型MIVECエンジンの型式は「4J10 MIVEC」。従来の直列4気筒DOHC16バルブ 1.8リッターエンジン「4B10 MIVEC」の後継となり、総排気量、ボア×ストロークは同一となるが従来のツインカムからシングルカム化されるとともに、圧縮比を10.5から10.7に高めた。
同社は可変バルブタイミング機構「MIVEC」を1992年から実用化。これまではエンジン回転数に応じてバルブリフト量と開弁期間を切り替える方式と、開弁タイミングを連続的に可変する方式の2種類を展開してきた。従来型の4B10 MIVECは後者を採用していた。
新型となる4J10 MIVECでは、バルブリフト量、開弁期間、開弁タイミングを単一の機構で機械的に連動する構造とし、同時かつ連続的に可変させることができる。これにより、理想的な吸気弁の開閉タイミングに制御して吸入時の損失(ポンピングロス)を低減でき、燃費を向上させることができたと言う。
また、シングルカム化によって部品点数を削減でき、結果としてシステムの軽量化とコンパクト化を実現している。
4J10/4B10エンジン諸元 | ||
エンジン型式 | 4J10 MIVEC | 4B10 MIVEC |
弁機構・気筒数 | SOHC 16バルブ 4気筒 | DOHC 16バルブ 4気筒 |
内径×行程 | 86.0×77.4mm | |
総排気量 | 1798cc | |
圧縮比 | 10.7 | 10.5 |
最高出力 | 102kW(139PS)/6000rpm | |
最大トルク | 172Nm(17.5kgm)/4200rpm |
アイドリングストップ機能のAS&Gについては、すでに欧州向けの「ASX(日本名:RVR」「ランサー(日本名:ギャラン フォルティス)」などのマニュアルトランスミッションで採用されている機構だが、新たにCVT搭載車向けに開発されたものとなる。
三菱自動車の開発陣に聞いたところ、同社とアイドリングストップの関わりは深く、1999年に発売したコンパクトカー「ピスタチオ」で初採用している。それから開発・研究を進め、今回のAS&G発表に至っている。なお、ピスタチオに搭載されていたアイドリングストップ機構は「ASG(オートマチックストップ&ゴー)」と呼ばれていた。
AS&Gでは、エンジン、CVT、ASC(アクティブスタビリティコントロール)、エアコンなどを制御する既存のシステムに、AS&G制御用のコントロールユニットを追加して車両の総合制御を行っている。それに伴い、エンジン再始動時のオーディオの音切れやカーナビのリセット発生を防ぐためにDC/DCコンバーターとともに、耐久性を向上した12Vバッテリーを採用している。
■RVRは新MIVECエンジンの採用とともに安全面を強化
コンパクトSUV「RVR」は、新MIVECエンジンを搭載するなど一部改良を行い、10月20日に発売する。また、特装車「RVR ROADEST(ローデスト)」についてもベース車と同様の改良を反映している。
なお、今回の一部改良にあわせてEグレードの4WD車を廃止している。
モデル | エンジン | 変速機 | 駆動方式 | 価格 |
E | 直列4気筒DOHC 1.8リッター | CVT | 2WD(FF) | 178万5000円 |
M | 直列4気筒SOHC 1.8リッター(AS&G付) | 2WD(FF) | 198万5000円 | |
4WD | 220万5000円 | |||
G | 2WD(FF) | 224万円 | ||
4WD | 246万円 | |||
ROADEST M | 2WD(FF) | 230万円 | ||
4WD | 252万円 | |||
ROADEST G | 2WD(FF) | 248万1500円 | ||
270万1500円 |
RVR G |
今回の改良では、Mグレードをのぞくすべてのモデルに新MIVECエンジンとAS&Gを搭載。これにより、10・15モード燃費を従来から1.8km/L向上させて2WD車が17.0km/L(JC08モード:15.8km/L)、4WD車が16.8km/L(同:15.4km/L)となり、平成22年度燃費基準+25%を達成。エコカー減税により自動車取得税、自動車重量税が75%軽減される。
また、走行安定性の向上を図るため前後ショックアブソーバーの減衰力の最適化を図ったほか、電動パワーステアリングの特性を見直して操舵フィーリングを向上した。
エクステリアにおいては、E/Mグレードで新デザインの16インチホイールカバーを採用。インテリアでは全グレードのシート生地を一部変更するとともに、Gグレードのメーターリング部、オートエアコン操作ダイヤル、ドライブモードセレクター(4WD)にクロームメッキをあしらっている。
一方、安全装備面での強化も図っており、アクセルとブレーキを同時に踏んだ際にブレーキを優先する「ブレーキオーバーライドシステム」を全モデルに採用したほか、M/Gグレードの2WD車にスリップを防いで安定走行をサポートする「ASC(Active Stability Control)」と、坂道発進をサポートする「ヒルスタートアシスト」を標準装備(4WD車はいずれも従来から標準装備)。
さらにシフトポジションを「R」にすると、ルームミラー内蔵の3.3インチカラー液晶モニターが後方を映し出す「リヤビューモニター付ルームミラー(自動防眩機能付)」をオプション設定した。
そのほか、人気の高いメーカーオプションをパッケージ化した「ベーシックパッケージ」「ラグジュアリーパッケージ」「プレミアムパッケージA」「プレミアムパッケージB」「フルパッケージA」「フルパッケージB」を新たに設定している。
■ギャラン フォルティス/スポーツバックは内外装を変更
「ギャラン フォルティス」「ギャラン フォルティス スポーツバック」は、RVRと同様に新MIVECエンジンを搭載するとともに内外装の変更を行い、10月27日に発売する。
この一部改良にあわせ、ギャラン フォルティスの「SPORT」、ギャラン フォルティス スポーツバックの「TOURING」は廃止となっている。
●ギャラン フォルティス
モデル | エンジン | 変速機 | 駆動方式 | 価格 |
EXCEED | 直列4気筒SOHC 1.8リッター(AS&G付) | CVT | 2WD(FF) | 183万8000円 |
4WD | 204万8000円 | |||
SUPER EXCEED | 2WD(FF) | 209万円 | ||
4WD | 230万円 | |||
RALLIART | 直列4気筒DOHC 2リッターターボ | 6速デュアルクラッチ SST | 4WD | 299万3000円 |
ギャラン フォルティス SUPER EXCEED |
●ギャラン フォルティス スポーツバック
モデル | エンジン | 変速機 | 駆動方式 | 価格 |
SPORT | 直列4気筒SOHC 1.8リッター(AS&G付) | CVT | 2WD(FF) | 222万6000円 |
4WD | 243万6000円 | |||
RALLIART | 直列4気筒DOHC 2リッターターボ | 6速デュアルクラッチ SST | 4WD | 302万4000円 |
ギャラン フォルティス スポーツバック SPORT |
いずれのモデルも新MIVECエンジンとAS&Gを搭載し、10・15モード燃費を従来から1.8~2.0km/L向上させ、2WD車は17.0km/L、4WD車は16.8km/L。JC08モード燃費はギャラン フォルティス/スポーツバックの2WD車はともに15.8km/L、4WD車は前者が15.4km/L、後者が15.0km/L。新MIVECエンジン搭載車は平成22年度燃費基準+25%を達成し、エコカー減税により自動車取得税、自動車重量税が75%軽減される。
また、ブレーキオーバーライドシステムを全モデルに採用したほか、新MIVECエンジン搭載車にヒルスタートアシストを装備(RALLIARTは従来から採用)。リヤビューモニター付ルームミラーをオプション設定している(ギャラン フォルティス EXCEED除く)。
エクステリアでは、ギャラン フォルティス RALLIARTおよびギャラン フォルティス スポーツバック全車に新デザインの18インチアルミホイールを、ギャラン フォルティス EXCEEDに新デザインの16インチフルホイールカバーを採用。また、ボディーカラーにはギャラン フォルティスのSUPER EXCEED/EXCEEDと、ギャラン フォルティス スポーツバックのSPORTにチタニウムグレーメタリックを、SUPER EXCEED/EXCEEDには加えてウォームシルバーメタリックを新たに設定した。
インテリアでは、全車のフロントドア&リアドアトリム中央部に上質なソフトレザーを採用。また、インストルメントパネルからドアトリムを横断する、アクセントパネルとフロアコンソールパネルのカラーとともに、シート生地を変更。
さらにギャラン フォルティス EXCEEDに、リッド付きセンターコンソールボックスやアクセサリーソケット(DC12V)を装備し、SUPER EXCEEDと同仕様に仕上げている。
アクセントパネル/フロアコンソールパネルカラー | |
ギャランフォルティス EXCEED | ダークシルバー |
ギャランフォルティス SUPER EXCEED | 木目調ライトブラウン |
ギャランフォルティス RALLIART | グロスブラック |
そのほか、人気の高いメーカーオプションをパッケージ化した「ベーシックパッケージ」「スポーティパッケージ」「ラグジュアリーパッケージ」「プレミアムパッケージ」「フルパッケージ」「RALLIARTパッケージA」「RALLIARTパッケージB」を新たに設定している。
(編集部:小林 隆/Photo:堤晋一)
2011年 10月 20日