BMW、「i3」「i8」を国内初お披露目 「BMW i」はサステイナビリティと未来を志向するサブブランド |
ビー・エム・ダブリューは24日、第42回東京モーターショー(一般公開日:12月3日~11日)に出展する「i3」「i8」のコンセプトカーを、東京 八重洲のBMWグループ・スタジオで報道関係者に公開、独から来日したBMW iの関係者が、「BMW i」ブランドについて説明した。
■EV専用に「ライフ・ドライブ・アーキテクチャー」を開発
既報のとおり、「i3」は都市向け電気自動車(EV)、「i8」はプラグイン・ハイブリッドの4シータースポーツカーだ。BMW iブランドのキャッチフレーズ「BORN ELECTRIC.」(生粋の電気自動車)が表すように、どちらも、EVのために専用に開発された車両だ。
その大きな特徴は、パワートレーンやバッテリーを収めたアルミ製の「ドライブモジュール」と、CFRP製のパッセンジャーセル「ライフモジュール」を結合した、「ライフ・ドライブ・アーキテクチャー」を採用し、軽量化と安全確保を図っている。またi3は、都市での利用を考慮し、観音開きのドアや、左右から乗り降りできるベンチシートを採用している。
i3。右に立っているのはBMW iのインテリアデザイン責任者であるダニエル・スタルク氏 | ||
ヘッドライトとテールランプはU字型 | 大径のタイヤ。ちなみにタイヤはブリヂストン エコピア。グルーブに青いペイントが入る | 給電口 |
前後ドアは観音開き | 4シーターだが前後席はベンチシートになっており、左右どちらからでも乗り降りしやすい | ラゲッジルーム |
BMW iのインテリアデザイン責任者、ダニエル・スタルク氏 |
■ホフマイスター・キンクはストリーム・フローに
エクステリアデザインも専用のものとなるが、BMWのアイコンであるキドニーグリルは継承。しかしキドニーグリルの縁をはじめ、バンパーやサイドシルなど車体の各部に青いアクセントラインを入れている。
また、もう1つのBMWのアイコンであるホフマイスター・キンク(Cピラー付け根のキックアップ)は、後方へ狹まりながらリアエンドまで続くウインドーグラフィックになり、呼び名も「ストリーム・フロー」に変わった。
しかしストリーム・フロー・デザインの機能は、i3とi8では異なる。i3ではリアクォーターウインドーになっており、乗員の視界を広げ、都市部で自転車や歩行者を認識しやすいようにしている。i8では、ボディーから離された外板をストリーム・フローに整形することで、空力パーツとして機能している。
またBMW iならではのデザインの要素として、U字型の前後ランプ、ボディーを前後に貫くピアノブラックのエリア、大径で幅の狭いホイールなどが与えられている。
i8。i3同様に前後灯火はU字型で、キドニーグリルは青く縁取られる |
リアのストリーム・フロー部が空力パーツになっているのが分かる。プラグイン・ハイブリッドなので、右のリアホイールハウスの前部に給油口がある | |
タイヤはやはりエコピア | ボンネットにある給電口 |
プロジェクトiのマネージャー、マルティン・アールト氏 |
■ライフサイクル全体でCO2削減
前述のとおりカーボンとアルミが多用されているi3とi8だが、「アルミの80%はリサイクルされているか、再生可能エネルギーで生産されている」と、プロジェクトiのマネージャーであるマルティン・アールト氏は言う。また熱可塑性プラスチックの25%も同様にリサイクルされた素材であり、インテリアにもリサイクル素材が多用されている。
さらに、米国モーゼスレイクのCFRP生産工場はCO2排出量を従来より50%削減し、独ライプツィヒの組み立て工場は100%再生可能エネルギーで運営され、消費するエネルギーや水の削減も図られている。
このようにBMW iブランドでは、走行時だけでなく、生産段階を含めたライフサイクル全体でCO2排出量の削減が配慮されている。
開発、生産の段階でもCO2排出量を削減している |
BMW iのブランドマネージャー、ウヴェ・ドレーヤー氏 |
■自動車を持たない層にもサービスを提供
i3、i8とともに、BMWは「BMW i」というサブブランドを立ち上げた。BMWには「M」というパフォーマンス志向のスポーティーなサブブランドがあるが、「i」はサステイナビリティを重視し、未来のモビリティと新しいプレミアムを志向するブランドとなる。その一方で、BMWの「走りの歓び」を追求する姿勢は継承している。
また、現在でも世界の人口の50%以上が都市に住み、都市生活者の割合が増えていくことから、BMW iは都市志向のブランドでもある。都市内で使用するi3と、都市の外へ移動するためのi8というラインアップも、大都市のモビリティ・ニーズを満たすためのものだ。
さらにBMW iは車両を開発・製造・販売するだけではなく、カーシェアリングや、クルマとクルマ以外の交通手段の組み合わせなどの、モビリティ・サービスを提供する。これらは自動車を持たない人々も対象となる。
BMW iのターゲットとする顧客層は2種類。1つは「責任ある顧客層」で、社会的な責任を意識したライフスタイルを持ち、サステイナビリティや環境への意識が高い層。もう1つはEVをステータスシンボルとする「革新を求める顧客層」で、デザインや技術革新に関心があり、サステイナビリティも意識しているが、犠牲を払ってまでは追求しない層と言う。
i3とi8は都市のモビリティ・ニーズを満たす両極モデル | 各種モビリティ・サービスも提供する |
(編集部:田中真一郎)
2011年 11月 24日