STI、今年もWRX STI S206でニュル24時間にチャレンジ
SUPER GTに出場するBRZもシェイクダウン

ニュルブルクリンク24時間レース参戦メンバー。STIのスタッフほか、ディーラーメカニックも参加する

2012年2月18日開催



 STI(スバルテクニカインターナショナル)は2月18日、5月17日~20日に開催される「第40回 ADAC Zurich 24時間レース(ニュルブルクリンク24時間レース)」に、同社の「WRX STI」で昨年同様ST3Pクラスに出場すると発表。富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)でシェイクダウンの模様を公開した。また、前日に雪のため延期になっていたスバル「BRZ」のSUPER GT(GT300)参戦車輌のシェイクダウンの模様も合わせて公開された。

富士スピードウェイで行われた記者発表ニュル24時間の監督は引き続き辰己英治氏が務めるSUPER GTの本島監督、山野選手も急遽記者発表に参加

 ドイツのニュルブルクリンクは、北コース(ノルドシュライフェ)20.8kmと、F1も開催されるグランプリコース5.1kmで構成される。とくにノルドシュライフェは路面状況が多岐にわたり、高低差が約300m、またさまざまなタイプのコーナーが170以上あり、世界の多くの自動車メーカーが高性能車のテストコースとして利用している。

 スバルおよびSTIは、昨年に初のクラス優勝を飾った。そして連覇を狙う今年の参戦チーム体制は、辰己英治氏が引き続き監督を努め、ドライバーも吉田寿博選手、佐々木孝太選手、マルセル・エンゲルス選手(ドイツ)、カルロ・バン・ダム選手(オランダ)と、昨年の優勝メンバーが続投する。

昨年に続き4ドアボディーで参戦
 マシンは昨年に続き4ドアボディーを使用し、ベース車両は昨年に限定発売された「S206」となる。各部を軽量化しているが、現時点ではレースの規定最低重量である1200kgより軽くなっているため、これからレースに向け重量バランスを考慮しつつ、さらなる低重心化を見据えて規定重量まで合わせ込んでいくとのこと。また、ボディーカラーはこれまでラリー以外では採用されることのなかったスバル伝統のWRブルーが採用された。

ボディーサイズは4605×1835×1375mm(全長×全幅×全高)、ベース車両はWRX STI(GVB)。昨年限定発売されたS206と比べ全長は同じだが全幅は40mm広く、全高は90mm低い
昨年同様、タイヤはダンロップ、ホイールはBBSの鍛造18インチブレーキはAP製でフロント6ピストン、リア4ピストン。ダンパーはビルシュタイン製マフラーはフジツボ製を採用する
搭載するEJ20エンジンは最高出力340PS、最大トルク47.0kgmを発生ピアノブラック塗装パネルにS206の面影を残すインパネロールケージが張り巡らされた室内

 外観においては一部を除きほとんどのパーツがカーボン化され、そのすべてが2012モデル用に作り直されたとのこと。内装では、センターコンソールに並ぶ数多くのスイッチが昨年モデルと較べカラフルに塗り分けられ、またそのレイアウトに変更が見られる。こうした細かい改良点の積み重ねが、マシンの完成度の向上に繋がるのだろう。またインパネのピアノブラック塗装パネルにS206の片鱗を見ることができる。

辰己英治氏はチーム監督と同時に車両開発も担うニュルは6回目の挑戦となる吉田寿博選手SUPER GTにおいてもスバルに勝利をもたらしている佐々木孝太選手

 昨年優勝したとは言え、フォルクスワーゲンやアウディといったライバル勢に実力で勝ったと思われていないと考えている辰己監督は、「そのハードルは高くとも2連勝してこそスバルの力を世界に示すことができる」と抱負を語った。

 また、余談であるが、吉田選手も佐々木選手もニュルブルクリンクのコース確認にPlayStation3のゲームソフト「グランツーリスモ」を活用しているとのこと。現実には路面状況が変わるニュルブルクリンクのコースをゲームで完全に再現はできる訳ではないが、面白いことに現実のコースを走りこんだ後にゲームをプレイすると、確実にタイムアップすると2人は口を揃える。グランツーリスモ恐るべし。

富士スピードウェイでテスト走行するS206レースカー

SUPER GT仕様の「BRZ」がシェイクダウン
 前日のテストが雪で中止になったため、ニュルブルクリンク参戦発表と同日のスポーツ走行枠でのシェイクダウンとなった、SUPER GT仕様の「BRZ」。すでに東京モーターショーや東京オートサロンでその姿を見た人も多いと思うが、走行シーンは初披露となる。昨年までのレガシィB4同様、R&Dスポーツからの参戦で、山野哲也選手、佐々木孝太選手、そしてチームスタッフもほぼ昨年と同じ布陣で今シーズンを戦う。こちらもニュルブルクリンク24時間レースに出場するS206レースカーと同様に、昨年までのシルバー基調のカラーリングからブルーのボディーとなった。

 記者会見上でR&Dスポーツの本島伸次チーム監督はSUPER GTの今年のレギュレーションに触れ、「欧州とレギュレーションを揃える形となったFIA-GT車輌のストレートでのトップスピードの速さに対し、小排気量ターボのBRZはコーナーリング性能で対抗することになるだろう」と、今シーズンの見通しを述べた。

 また、山野選手は「基本パッケージは近いとは言え、まったく新しい車での参戦となるので、レガシィB4でのスタートで苦戦したように、また1つ1つセッティングを詰め仕上げていくことになると思うが、それでもコーナーリング性能を武器に菅生や鈴鹿といったコーナーの多いサーキットでは勝ちに行くつもり」と語った。

ドライバーは昨年同様、山野選手と佐々木選手雪のため、前日(2月17日)のテストは中止になった佐々木選手もこの雪じゃお手上げ!?
前日に走行できなかったBRZが再び富士スピードウェイに登場期せずして実現したスバル最新マシンの2ショットピットレーンが凍結のため使えず、ピット裏の駐車場からのスタートとなった
富士スピードウェイを疾走するSUPER GT仕様のBRZ

(高橋 学)
2012年 2月 20日