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スバル、8年目の挑戦となるニュル24時間決勝レース直前リポート
初参戦の山内英輝選手、コースを熟知したティム・シュリック選手とともに辰己英治総監督が意気込みを語る
(2015/5/18 15:23)
- 2015年5月14日~17日(現地時間)開催
2008年からニュルブルクリンク24時間レースにスバル(富士重工業)とSTI(スバルテクニカインターナショナル)がタッグを組んで出場を行ってきた「NBRチャレンジ」。今年で8年連続出場となり、2011年と2012年には2年連続してクラス優勝を獲得してきた。
マシンを新型の「SUBARU WRX STI」にチェンジした昨年は、夜半の不慮のクラッシュや駆動系のトラブルによりクラス4位という悔しい結果となり、今年は雪辱を果たすためにニュルブルクリンクに乗り込んだ。
車両は昨年にも使用したSUBARU WRX STIになるが、ステアリングの位置は左になり、外観のエアロパーツを大幅に見直し、タイヤも新しいコンパウンドを採用するなど、さまざまな対策と変更が行われた。
ドライバーラインアップも変更となり、昨年にドライブしたカルロ・バンダム選手とマルセロ・ラッセー選手に加えて、SUPER GTでSUBARU BRZをドライブする山内英輝選手、地元のティム・シュリック選手の2人が新たにステアリングを握ることになった。
新たにチームに加わった山内英輝選手に練習走行前に話を聞いてみたところ、「ニュルブルクリンク24時間レースの事前に開催された耐久シリーズでは数周しか走っていないのですが、クルマは安定感があって非常に乗りやすく、AWD特有のトラクションの高さも感じています。ただ、コースを走った経験が少ないので、多少の不安を持っていることは事実です。ですが、ドライバーとして乗せてもらう以上は、目標のクラス優勝に向けてやり遂げなくてはならないと思っています」と、事前の耐久シリーズで周回数を稼げなかったことに対して不安を覚えていたが、練習走行と予選で5ラップほど走行した後に話を聞いてみると、「ニュルでの走行経験が豊富なカルロ・バンダム選手やマルセロ・ラッセ選手とも同等のタイムで走れたのは自信につながりました。ニュルに入ったときにような不安な感覚はまったくないです。ニュルブルクリンクの北コースは、シミュレータで何度も走り込んだので慣れていますし、実際に走ってみても違和感はなかったです。あとは与えられた仕事をしっかりとこなすだけです」と、表情も引き締まった様子だった。
もう1人のNBRチャレンジに初参加するティム・シュリック選手は、10年以上にわたりニュルブルクリンク24時間レースの参戦経験を持つドライバーになる。2003年が最初の参戦で、ポルシェのカップカーやアストンマーティンなどのハイパワー車両にも乗ってきた経緯を持っている。普段はTV番組でドライビングを披露するなどジャーナリストとしても活躍しているほか、ニュルブルクリンクでドライビングのコーチも行っているそうだ。
スバルに対するイメージを聞いたところ、「昔からWRCで活躍しているレガシィやインプレッサに憧れていました。スバルはモータースポーツの名門だと思っていますし、そんなチームからオファーを受けられたことを嬉しく感じ、非常によい経験ができるとワクワクしています」と、NBRチャレンジへの参加を喜んでいた。
このように、新たなドライバーを迎えて戦うことになった予選は、セッティングが煮詰められていないので苦戦するかもしれないというコメントもあった。だが、5月15日(現地時間)の午前中に行われた2回目の予選で9分8秒037のタイムを記録し、総合43位で見事にクラストップタイムとなった。
まずは幸先のよい予選となったことに関して辰己総監督は、「練習走行と予選の1回目を全員のドライバーが走行を実施し、セッティングの方向性が見えてきました。そこで2回目の予選は、エースのカルロ・バンダム選手に2ラップのアタックを行ってもらい、クラストップタイムを記録できました。途中でトラフィックに引っかかったので、もう少しタイムアップは望めるようです。今年はコース上に制限速度区間が設けられたことや、ウェットな場所もあったので昨年と比較はできませんが、コーナーのスピードなどを見ると明らかに戦闘力は上がっています。シャシーの強化やタイヤ、空力などを見直した効果が出ていると思います。予選トップということに関しては、ライバル勢のアウディTTがタイムが出なかっただけで、実力はあるので油断はしていません」と、マシンの進化は確認できたようだが、想定していたタイムよりは劣っているそうで、表情から余裕を伺うことはなかった。
練習走行開始前は、万全の状態で望めているわけではなかったが、周回数を重ねることでチームとドライバーに自信が付き、全体の雰囲気も明るくなっていた。