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ニュル24時間レース、アウディのニューマシンAudi R8 LMSが総合優勝
スバルは3年ぶりにクラス優勝、GAZOO RacingはLexus LFA Code Xで2年連続クラス優勝
(2015/5/19 00:00)
- 2015年5月14日~17日(現地時間)開催
今年で43回目の開催を迎えるニュルブルクリンク24時間耐久レースが、5月16日~17日(現地時間)に掛けて競われた。
昨年は6月末に開催されたが、今年は例年通りスケジュールが5月に戻った。日程の変更とともに、24時間レースの前に行われる耐久シリーズ(VLN)で発生したクラッシュにより、コースの3個所で制限速度が設けられたことが大きなレギュレーション変更といえる。
GT-Rが宙を舞ってしまうショッキングな事故があったフラッグプラッツは200km/h、その先のシュべーデンクロイツが250km/h、グランプリコースと北コースをつなぐ最後のロングストレートとなるドッチンガー・ホーエは250km/hと、各所で最高速が制限され、速度違反を犯すと約1分半のペナルティストップが義務付けられることになった。
ニュルブルクリンク24時間耐久レースのスターティンググリッドの決め方は、木曜日夜の予選(1回目)と金曜日朝の予選(2回目)の結果に加え、シード権を持つ計30台の車両がトップ30予選に進出する。この30台が再度タイムアタックを行い、正式なポジションを決めることになっている。30位以降については、1回目と2回目の計測結果を採用する。
ポールポジションを獲得したのはBMW Sports Trophy Team Marc VDSのZ4 GT3で、タイムは8分17秒394。昨年はマクラーレンMP4-12C GT3が8分10秒台をマークしていたので、制限速度の影響を受けた結果となった。日本勢はGAZOO RacingのLexus LFA Code Xが23位、Nissan GT Academy Team RJNが31位、SUBARU WRX STIが43位、GAZOO RacingのLexus RCが88位からのスタートとなった。
Audi R8 LMSが総合優勝
16日(現地時間)16時にスタートしたニュルブルクリンク24時間耐久レースの決勝。序盤はBMW Z4 GT3勢がトップ3を形勢しレースを引っ張っていった。開始から2時間が経過するとコースの西側で雨が降りはじめ、各車がウエットタイヤを装着するまで雨量が増えていった。この時期のドイツは、22時くらいにやっと陽が暮れるほど日中の時間が長く夜が短い。夕方から降り始めた雨は夜を迎えるとやや強くなり、各車ともに危険の潜むノルドシュライフェ(北コース)に入っていく。
序盤はZ4 GT3に続きSLS AMGなども速さを見せていたが、0時を回るころには昨年のチャンピオンチームとなるAudi Sport Team Phoenixなどアウディ勢がレース巧者ぶりを見せ、トップ3を締める時間帯もあった。
アウディ、BMW、メルセデス・ベンツ、ベントレーなどのGT3車両は各車の1スティントが5~6周でタイヤ交換と給油を行うなかで、ラップタイムこそ劣るがポルシェ GT3Rだけが燃費がよく、1周多く走る戦略を取っていた。
早朝5時には夜が明けはじめ、路面はドライとなった。レースは13時間を経過し後半戦を迎える。この時点でのトップは、夜間に順位を上げていたAudi Sport Team WRTのR8 LMS(28号車)で、2位はBMW Sports Trophy Team Marc VDSのZ4 GT3(25号車)、3位はFalken Motorsportsのポルシェ GT3R(44号車)となり、トップ5までが同一周回で走行していた。上位3台は、その後も同一周回の中ハイペースでラップを重ねていき、レースが終盤を迎えた17日の正午を過ぎてもトップ3に順位変動はなく、タイム差も1分~3分ほどで接戦のバトルが繰り広げられた。
夜明けから12時間以上も続いたトップ3によるバトルは、順位変動のないままAudi Sport Team WRTのR8 LMS(28号車)が16時のチェッカーを迎え、見事に第43回のニュルブルクリンク24時間耐久レースを制した。アウディは今年から新型マシンを導入しているが、昨年もR8 LMSが優勝しているので2連覇を飾ったことになる。
日本勢も安定したレース運び。トヨタとスバルがクラス優勝
一方の日本勢は、3年ぶりのクラス優勝を目指したSUBARU WRX STI、2年連続のクラス優勝を狙うGAZOO RacingのLexus LFA Code Xともに安定したレース運びを見せた。
SUBARU WRX STIは、直前のドライバーラインアップ変更やテスト走行不足などから不安な要素も多かったのだが、練習走行や予選でドライバーやエンジニアが最大限の働きをすることで、不安要素を払拭していった。決勝はクラストップからのスタートで、ドライバーはエースのカルロ・バンダム選手が乗り込んだ。カルロ・バンダム選手、山内英輝選手、マルセロ・ラッセ選手、ティム・シュリック選手という順番でドライバー交換をしていき、1スティントは8周となっていた。
レース開始からクラストップを走行するSUBARU WRX STIは、夕方に雨が降り出したときもAWDの真価を発揮し、スリックタイヤのままで走行。クラス2位以降を大きく引き離すことに成功した。その後も安定したラップを重ね、2回目に山内選手がドライブした夜半に雨が強くなり、インターミディエイトに交換。結果からみると、このタイヤ交換のピットストップのみがイレギュラーで、そのほかは最初に決めたドライバーの順番を守りルーティンのピットストップを重ねた。
クラス2位との差を大きく引き離して迎えたチェッカーの瞬間は、スタッフやメカニック、ドライバーが全員で歓喜の表情をみせ、3年ぶりのクラス優勝の奪還を喜んだ。結果は総合18位でクラストップ、周回数も143周と、これまでのNBRチャレンジの中ですべて最高の成績を収めることとなった。
また、GAZOO RacingのLexus LFA Code Xは、レース中の接触やペナルティこそあったものの、こちらも盤石のレース運びをみせて総合14位でクラス優勝を獲得した。終盤までクラス2位を走っていたLexus RCは残り1時間でトラブルが発生し総合39位、クラス4位でレースを終えた。
国産では唯一のGT3車両として参戦したNissan GT Academy Team RJNは、レギュレーションの影響によってレースペースこそ他のマシンに比べて劣ってしまった。だが、トラブルなく安定したレース展開を見せ、総合9位に輝いている。