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アウディ、SUPER GTのテストが行なわれる富士スピードウェイで新型「R8」を披露

サブブランド「Audi Sport」についてや2016年のSUPER GT参戦チーム体制の発表も

2016年3月26日 開催

 アウディ ジャパンは3月26日、新型「R8」とAudi R8 LMSでSUPER GTに参戦するチーム体制の記者発表会を、SUPER GTの公式テストが行なわれている富士スピードウェイで開催した。あわせてサブブランド「Audi Sport」の事業戦略概要発表や、新型R8とSUPER GT参戦車両も含めた形でデモランが行なわれたので、その模様をリポートする。車両の概要については別記事を参照いただきたい。

R8 V10 plusは0-100km/h加速3.2秒、最高速330km/hをマーク

斎藤氏は「アブダビのヤス・マリーナ・サーキットで行われた勉強会で新型R8を試乗したが、ウェットコンディションでも楽しくワクワクできるクルマだった」と、試乗した感想を述べた

 まず日本市場に導入されることとなったサブブランド「Audi Sport」について。「Audi Sport」は、これまでWEC(世界耐久選手権)やDTM(ドイツツーリングカーレース)での活動や、GT3マシン「Audi R8 LMS」のカスタマーレーシング活動への車両供給を柱としてきたが、今後はアウディのスポーティなブランドイメージを一層強調するべくR8/RSシリーズの販売や、Audi Sportブランドのグッズ開発と販売にも注力することが発表された。

 活動の具体的な内容としては、正規販売店の一部にAudi Sport専用のCI/CDを導入した「Audi Sport Store(アウディ スポーツ ストア)」を展開。初年度となる2016年は、フルモデルチェンジした新型R8の販売とともに、RSモデルのパフォーマンスをさらに向上させる「RS Performance」を導入するという。また、R8/RSモデルの体験を目的にサーキットなどで試乗可能な「Audi Sport driving experience」プログラムを実施するほか、独アウディ AGが開催する「Audi driving experience」プログラムに優先的に案内される制度や、日本国内のリゾート地などでは「Audi Sport modelテストドライブイベント」を開催する予定になっている。

 発表会に出席したアウディ ジャパンの代表取締役である斎藤徹氏は、「アウディは常に時代の先進的技術と素材を採用し、数々の自動車レースに参戦し勝利してきた。新しいAudi Sportのスローガンである“Born on the track, build for the road”が示すように、培ったノウハウを市販車に取り入れてきた。1980年代のクワトロがその代表的な例と言える」とコメントするとともに、「欧州ではモータースポーツは文化、あるいはライフスタイル的な側面を持っている。アウディはモータースポーツを身近に楽しむ文化を育て、成熟させることを担ってきたモータースポーツ界のリーダー的存在でもある。なので、日本でもハイパフォーマンススポーツカーのR8とRSシリーズを拡販するためにAudi Sportを立ち上げることになった。新型R8はアウディのスポーツイメージを高め、お客様との絆を深めていくためのAudi Sport Storeを通じて、2016年度は7月5日から日本市場向けに120台を販売する目標である」と語った。

創業者の「レースは技術の実験室」とのコメントやアウディのスローガンなどについて記されたスライド
Audi Sportはモータースポーツへの参戦はもちろん、カスタマーレーシング参戦のサポートや、R8/RSシリーズを2020年までに倍の数量にまで拡販することと、マーチャンダイジングビジネスの強化も目的とのこと
ワトキンス氏は「新型R8はパワーだけではなく多くの魅力を備えたクルマ」とコメント

 quattro GmbH R8プロジェクトマネージャーであるアルウィン・ワトキンス氏は、「新型R8 V10 plusの5.2リッター自然吸気V型10気筒エンジンは高回転型であり、アウディの市販モデルとしては最強の610PS/8700rpmを誇り、7速Sトロニックデュアルクラッチトランスミッションと、アウディのフルタイム4WDシステム『クワトロ』により0-100km/h加速3.2秒、最高速330km/hの能力を持つ。また、ル・マンなどの耐久レースで培ったノウハウをフィードバックした、直噴(FSI)とポート噴射(MPI)を備えたデュアルインジェクターを採用し、低負荷時に片方のバンクを休止するシリンダーオンデマンドやコースティングモードなどにより、高出力と高効率を両立している」とコメント。

 また、ベースグレードとなるR8 V10は540PSを発生し、0-100km/h加速3.5秒、最高速320km/hのパフォーマンスを有するとのことだった。

エンジン、パワートレーン、ボディ構造、エクステリア&インテリアについて記されたワトキンス氏のプレゼンテーション資料

 ワトキンス氏は、「新開発したフルタイム4WDシステムのクワトロは、トルク配分を路面コンディションに応じてフロントまたはリアに100%のトルクを伝達することもできる。条件に合わせ強大なパワーを4輪に効率的に伝え、2WDでは不可能な安定した姿勢でスタートダッシュでき、荒れた路面や降雨などの条件下でもドライバーを安心感で満たせる」「アルミニウムとCFRP(カーボンファイバー)素材によるハイブリッドなスペースフレーム構造としたASF(アウディスペースフレーム)ボディにより、R8 V10 plusでも乾燥重量は1465kg。旧型に比べ15%の軽量化と40%の高剛性化を実現した」とも語っていた。

R8 V10 plusとR8 V10のルックス上の違いなども比べてみると分かりやすい。左がR8 V10 plus、右がR8 V10。ともにV型10気筒5.2リッターエンジンを搭載し、前者は610PSを、後者は540PSを発生する

新型R8とAudi R8 LMSがデモラン

 続いて、2016年のSUPER GTにAudi R8 LMSで参戦する「Audi Team Hitotsuyama」と、今年度から新規参入する「Audi Team Braille」の2チームが登壇。各選手ともに大きく進化した新型Audi R8 LMSに期待している旨をコメントした。またAudi Team Brailleのピエール・カッファー選手はAudi Sportのファクトリードライバーであり、SUPER GTへの力の入れようが分かる。

 その後、Audi Team HitotsuyamaのAudi R8 LMSとR8 V10 plus、R8 V10が富士スピードウェイをデモラン。3周ではあるが多くのレースファンが視線を向けていた。

発表会当日はSUPER GTの公式テスト日だったこともあり、富士スピードウェイを走るAudi R8 LMSに注目が集まっていた

(酒井 利/Photo:高橋 学)