SUPER GT第7戦オートポリスで、S Road REITO MOLA GT-RがGT500チャンピオンに
柳田真孝選手、ロニー・クインタレッリ選手が、2年連続チャンピオン獲得

2年連続チャンピオンを獲得した「S Road REITO MOLA GT-R」(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)

2012年9月30日決勝開催



 9月30日、2012 AUTOBACS SUPER GT第7戦「SUPER GT IN KYUSHU 300km」の決勝レースがオートポリス(大分県日田市)で開催された。台風の影響で予選から雨模様の天候が続く中、GT500クラスはダンロップタイヤを履き快走を見せた32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)を最終ラップで逆転した1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)が今季2勝目。最終戦を前にシリーズチャンピオンを獲得した。

 GT300クラスは66号車 triple a Vantage GT3(吉本大樹/星野一樹)が今季2勝目。2位に入った911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)と3位に入った33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)の3チームが最終戦でチャンピオンを争うこととなった。

 オートポリスはコースの路面を全面改修し、コースレコードの更新なども期待されたが、台風の影響で土曜日の公式練習、予選は雨。日曜朝のフリー走行は開始早々に霧で中止、決勝も雨が降ったり止んだりの天候となり、コースコンディションがドライになることはなかった。

 全8戦で争われるSUPER GTシリーズもいよいよ終盤。このレースを含め残り2戦だ。各マシンに搭載されるウエイトハンデは、第2戦から第6戦までは獲得ポイントを2倍した重さ(ポイント×2kg)。今回の第7戦は獲得ポイントの等倍kg。最終戦はウエイトハンデなしとなっている。

 ただし、今回の第7戦で獲得ポイントの等倍kgになるのは今季これまでの6戦にドライバーが参戦しているという条件がある。GT500クラスでは世界耐久選手権への参戦で第2戦を欠場したロイック・デュバル選手は5戦に参加となるため、36号車 PETRONAS TOM'S SC430は中嶋一貴選手の獲得した37ポイントの2倍で74kgを積むことになりやや不利な条件となる。GT300クラスでは、ポイントランキング2位の3号車 S Road NDDP GT-Rが関口雄飛選手のペナルティによる欠場があり、千代勝正選手の48ポイントの2倍で96kgを積んでの戦いとなる。

GT500
 GT500クラスのドライバーズポイントは、昨年シリーズチャンピオンを獲得した1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)が第4戦のSUGOから3戦連続表彰台を獲得し58ポイントでラインキング1位。2位は50ポイントの38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)、3位は43ポイントの39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)、4位は43ポイントの12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)となっている。

 優勝すると20ポイントを獲得できるので、残り2戦を優勝すれば40ポイント。計算上は19ポイントの19号車 WedsSport ADVAN SC430(荒聖治/アンドレ・クート)までチャンピオンの可能性はあるが、現実的には上位4チームの争いとなるだろう。

 ポイントトップの1号車 S Road REITO MOLA GT-Rと2位の38号車 ZENT CERUMO SC430は8ポイント差。このレースで12ポイント以上の差が付くと累計20ポイント以上の差となり最終戦での逆転はなくなる。39号車 DENSO KOBELCO SC430、12号車 カルソニックIMPUL GT-Rとは5ポイント差を広げると最終戦を待たずシリーズチャンピオンを獲得することとなる。

 ちなみに今季ここまで6戦で10以内に入れず、1ポイントも獲得していないのは32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)だけだ。

GT500クラス ドライバーズポイント

順位マシン名(ドライバー名)ポイントウエイトハンデ(kg)
1位1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)5858
2位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)5050
3位39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)4343
4位12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)4343
5位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)3838
6位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴)3774
7位18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム)3434
8位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)3333
9位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ミハエル・クルム)3030
10位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)3030
11位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(ロイック・デュバル)2974
12位35号車 KeePer Kraft SC430(国本雄資/アンドレア・カルダレッリ)2828
13位19号車 WedsSport ADVAN SC430(荒聖治/アンドレ・クート)1919
14位24号車 D'station ADVAN GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)1414
15位8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/小林崇志)1212
16位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(リチャード・ライアン)8

 前日に行われた予選、雨が激しく降るコンディションの中、Q1では39号車 DENSO KOBELCO SC430と6号車 ENEOS SUSTINA SC430がコースアウトにより赤旗を出したためタイム抹消。Q2では32号車 EPSON HSV-010がクラッシュし赤旗となったためタイム抹消となった。午前中の公式練習では32号車 EPSON HSV-010が2位、39号車 DENSO KOBELCO SC430が4位のタイムを出していたので決勝では後方からの追い上げが期待できる。

 午前中の公式練習でトップタイムを出していたポイントランキング1位の1号車 S Road REITO MOLA GT-Rは、予選Q2でタイヤ選択を間違えQ3進出を逃し10番グリッドからのスタートとなった。ポイントランキング2位の38号車 ZENT CERUMO SC430は4番グリッドを獲得した。

 予選でポールポジションを獲得したのは19号車 WedsSport ADVAN SC430(アンドレ・クート)。2位は23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲)、3位は24号車 D'station ADVAN GT-R(安田裕信)となりヨコハマタイヤ勢が1位、3位となった。

 日曜は前日ほどの雨は降らなかったが、霧の影響で朝のフリー走行は開始早々に中止。急遽11時からフリー走行を行うこととなったが、このセッションも霧で中止。レース開始2時間前にようやく視界が戻ってきた。

GT500クラスのスタートシーン(Photo:Burner Images)

 決勝が行われる14時の気温は16度。天候は雨、コースコンディションはウェットだが雨量は少なくレーススタート後にはドライになる可能性があった。ギャンブルに出たのは36号車 PETRONAS TOM'S SC430(ロイック・デュバル)。第2戦でいの一番でスリックタイヤに交換し成功した36号車 PETRONAS TOM'S SC430は、全車中唯一スリックタイヤでスタートする作戦をとった。

 14時、セーフティーカー先導で65周の決勝レースはスタートした。セーフティーカー先導が2周続き3周目からレース開始、ポールポジションからスタートした19号車 WedsSport ADVAN SC430(アンドレ・クート)がポジションキープ、23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲)がこれに続き後続をやや引き離した。

 コース後半登りセクションの右60Rで23号車 MOTUL AUTECH GT-Rが19号車 WedsSport ADVAN SC430をインから抜きトップに立つと、その差を徐々に広げる展開となった。5周目には4秒、10周目には8秒と独走態勢を築き、昨年のオートポリスで見せた快走を思い出させた。

19号車、23号車が後続を引き離す4周目(実質2周目)、23号車が19号車を抜きトップに立つ23号車は後続を引き離し独走態勢へ

 スリックタイヤを履くギャンブルに出た36号車 PETRONAS TOM'S SC430(ロイック・デュバル)はラップタイムが20秒ほど遅くGT300クラスの後方まで沈み9周目にピットイン、ギャンブルは失敗しレインタイヤを履いてコースに戻ったときは2周遅れとなってしまった。

スリックタイヤを選択した36号車はオープニングラップの1コーナーで9位から13位へ後退4周目(実質2周目)にはGT300クラスの17位の位置まで後退

 序盤10周目の順位は、トップが23号車 MOTUL AUTECH GT-R、ヨコハマタイヤを履く19号車 WedsSport ADVAN SC430と24号車 D'station ADVAN GT-R(ビヨン・ビルドハイム)が2位3位、ポイントランキング2位の38号車 ZENT CERUMO SC430(平手晃平)が4位、5位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘)、6位18号車 ウイダー HSV-010(カルロ・ヴァン・ダム)、7位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也)と続き、ポイントランキング1位の1号車 S Road REITO MOLA GT-R(ロニー・クインタレッリ)が8位となった。

52号車がクラッシュ

 11周目の4コーナーでGT300クラスの52号車 GREEN TEC & LEON SLS(竹内浩典)がクラッシュ。ドライバーは無事だったが、マシンを回収するためにセーフティーカーが導入されレースはリセットされた。

 セーフティーカーの導入でトップの23号車 MOTUL AUTECH GT-Rは築いた8秒のマージンを失った。逆にセーフティーカーで利を得たのは32号車 EPSON HSV-010(道上龍)だった。予選後にエンジン交換を行ったために課せられた15秒のペナルティストップを7周目に消化しトップから55秒遅れとなっていたが、セーフティーカーの導入でその差を10秒に縮めることができた。



セーフティーカーが導入された32号車はペナルティストップが帳消しとなった。36号車は最後尾に追い付いたがすでに周回遅れ

 レースは17周目に再開。第2ヘアピンで24号車 D'station ADVAN GT-Rが19号車 WedsSport ADVAN SC430を抜き2位に浮上した。レース再開後、タイヤと路面がフィットしペースを上げたのは24号車 D'station ADVAN GT-Rと19号車 WedsSport ADVAN SC430のヨコハマタイヤ勢だった。23号車 MOTUL AUTECH GT-Rの後方にピッタリと付け、3台による三つ巴のトップ争いとなった。

レース再開。23号車、19号車、24号車と続く5位争いは100号車が17号車のインに飛び込む
24号車が19号車を抜き2位にポジションアップ100号車が5位に上がり、18号車、1号車と続き、17号車は8位へ後退

 4位の38号車 ZENT CERUMO SC430はトップ集団から徐々に後れ20周目には3秒、25周目には6秒と差が広がった。少し遅れてレース再開後に5位のポジションにアップした100号車 RAYBRIG HSV-010が続き、その後方に5位集団を形成した。

100号車、18号車、1号車の5位争い。この後さらに後続が追い付く

 レース再開後に怒濤の追い上げを見せたのは32号車 EPSON HSV-010だ。14位から毎周順位を上げ20周目には10位までポジションアップ、22周目に9位、23周目には5位集団の後方にピッタリ付けた。

レース再開後、32号車は6号車を抜き13位へ35号車を抜き12位となり8号車に迫る8号車を抜き11位となり39号車に迫る
12号車が後退し17号車、39号車に続く10位へ17号車を抜き9位へ
1号車、39号車がピットイン、6位の18号車に迫る32号車18号車を抜き100号車に迫る32号車。この後100号車を抜き5位へ

 ポイントランキング1位の1号車 S Road REITO MOLA GT-Rは100号車 RAYBRIG HSV-010と18号車 ウイダー HSV-010に前を塞がれペースが上げらないため、レース1/3を過ぎた24周目に早々にピットイン。後方の空いた空間でペースアップし順位を上げる作戦に出た。1号車 S Road REITO MOLA GT-Rと同じミシュランタイヤを履く39号車 DENSO KOBELCO SC430(石浦宏明)も25周目にピットイン、1号車 S Road REITO MOLA GT-Rの前でコースに復帰、順位を入れ替えた。

 序盤快走を見せた23号車 MOTUL AUTECH GT-Rだったが、27周目の1コーナー立ち上がりで24号車 D'station ADVAN GT-Rと19号車 WedsSport ADVAN SC430のヨコハマタイヤ勢に抜かれ3位に後退。ラップタイムも落ちたため翌周にピットインしタイヤ交換を行った。

ピットインで39号車は1号車の前に出た23号車を抜きトップに立った24号車と2位の19号車。23号車はペースダウンしピットイン

 1号車 S Road REITO MOLA GT-Rと39号車 DENSO KOBELCO SC430のピットインで7位まで浮上した32号車 EPSON HSV-010は27周目に18号車 ウイダー HSV-010と100号車 RAYBRIG HSV-010を抜き5位にポジションアップ、更に30周目には38号車 ZENT CERUMO SC430を抜き3位に浮上した。

 抜かれた38号車 ZENT CERUMO SC430はレース折返しとなる33周目にピットイン、コースに戻るとチャンピオン争いをする1号車 S Road REITO MOLA GT-Rの後方となってしまった。

 ヨコハマタイヤ同士のトップ争いは30周目に24号車 D'station ADVAN GT-RがGT300マシンに引っかかったところを19号車 WedsSport ADVAN SC430が抜きトップを奪回、33周目には逆に19号車 WedsSport ADVAN SC430がGT300マシンを抜き損ね24号車 D'station ADVAN GT-Rがトップに立った。

19号車が24号車を抜きトップに立つ24号車が19号車を抜き返しトップへトップ争いの後方に32号車が迫ってきた

 40周目に24号車 D'station ADVAN GT-Rがピットイン。タイヤ無交換作戦でピット時間を短縮、19号車 WedsSport ADVAN SC430、32号車 EPSON HSV-010の後ろでコースに復帰した。

 続く41周目に19号車 WedsSport ADVAN SC430もピットイン。タイヤ交換を行い24号車 D'station ADVAN GT-R(安田裕信)の後ろでコースに戻るが、序盤にタイヤ交換しハイペースを取り戻した23号車 MOTUL AUTECH GT-R(ミハエル・クルム)に抜かれ4位に後退した。

 ほぼ最後尾から追い上げ、見かけ上のトップに立った32号車 EPSON HSV-010も42周目にピットイン。タイヤ無交換作戦をとりトップのままコースに戻った。

早めにピットインした23号車が19号車の前にピットアウトした32号車は24号車と競り合うがトップをキープ

 全車がピットインを完了した43周目の順位は、トップが32号車 EPSON HSV-010(中山友貴)。トップから0.1秒差の2位が24号車 D'station ADVAN GT-R、10秒差の3位が23号車 MOTUL AUTECH GT-R、14秒差の4位が19号車 WedsSport ADVAN SC430(荒聖治)。チャンピオン争いをする1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝)は16秒差の5位、38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)は37秒差の6位となった。

 逃げ切りを図りたい32号車 EPSON HSV-010だったが、44周目のブリッジを抜けたところでGT300クラスの11号車 GAINER DIXCEL R8 LMSと接触しコースを外れ2位に後退した。

 しかしラップタイムで優る32号車 EPSON HSV-010は3秒に開いた差を47周目に0.6秒につめ、50周目の1コーナーで24号車 D'station ADVAN GT-Rを抜き返しトップに立ち、その差を52周目には4.6秒、55周目には10秒に広げ、優勝へ残り10周を走りきるだけだと思われた。

トップの24号車 D'station ADVAN GT-Rを追う32号車 EPSON HSV-01032号車は24号車を振り切り独走態勢。優勝が見えてきた

 レース終盤になり上位陣の中でペースダウンするマシンが現れた。タイヤ無交換作戦をとった24号車 D'station ADVAN GT-Rはトップ争いから離れ後続と2位争いを強いられた。28周目に早めのタイヤ交換を行った23号車 MOTUL AUTECH GT-Rもペースダウン。50周目に4位、51周目に5位に後退、2度目のピットインを行い上位争いから脱落した。38号車 ZENT CERUMO SC430も終盤にペースダウン。43周目には37秒だったトップとの差が50周目には41秒、55周目には57秒と開いていった。

 19号車 WedsSport ADVAN SC430に蓋をされていた1号車 S Road REITO MOLA GT-Rだったが、ペースの落ちた24号車 D'station ADVAN GT-Rに19号車 WedsSport ADVAN SC430が引っかかったところで隙を突き、57周目のコース後半登りセクション右60Rで3位に浮上、続く58周目の1コーナーで24号車 D'station ADVAN GT-Rも抜き、14秒前を行く32号車 EPSON HSV-010を追い始めた。

ピットアウトする23号車。2度のタイヤ交換とペナルティで順位を落とした19号車に1号車が迫ってきた

 レースは残り7周。この時点で2位の15ポイントを加算すると73ポイント。38号車 ZENT CERUMO SC430は5位の6ポイントを加算すると56ポイントでその差17ポイント差となりまだチャンピオンは決まらない。しかし1号車 S Road REITO MOLA GT-Rがトップでゴールするとさらに5ポイント加算となり22ポイント差でチャンピオン獲得となる。逆に2位のままでも38号車 ZENT CERUMO SC430が8位以下に後退するとこのレースでチャンピオン確定だ。

 24周目にタイヤ交換を行った1号車 S Road REITO MOLA GT-Rだがここまでタイヤ温存をしてきた。2位に浮上し前が開けた1号車 S Road REITO MOLA GT-Rは、ミシュランタイヤの性能を生かし、ラップタイムを1分49秒台から1分46~47秒台に上げ一気にラストスパートに出た。

 32号車 EPSON HSV-010は中盤と同様1分48~49秒台で快走を続けていたが、1号車 S Road REITO MOLA GT-Rとの差はあっと言う間に縮まった。残り7周で14秒あった差が、残り5周で7秒、残り3周で5.5秒、残り2周で3秒と縮まり、0.5秒差でファイナルラップに突入した。

32号車の背後で徐々に差を詰める1号車トップ争いはいよいよファイナルラップへ

 1コーナーの立ち上がりで32号車 EPSON HSV-010がリアを滑らせ加速が鈍るが、なんとか2コーナーのインをキープしパッシングポイントである3コーナーを凌いだ。続くヘアピンを小さく旋回した1号車 S Road REITO MOLA GT-Rが立ち上がりで並びかけサイド・バイ・サイドの争いに。

 1号車 S Road REITO MOLA GT-Rがほんのわずか先行し第2ヘアピンのブレーキング競争となるが、イン側をキープした32号車 EPSON HSV-010が止まりきれずオーバーラン。クロスラインをとった1号車 S Road REITO MOLA GT-Rが立ち上がりで先行した。

 32号車 EPSON HSV-010は諦めずにアウトから並びかけようとするが、1号車 S Road REITO MOLA GT-Rがマシンを寄せ2台は軽く接触。32号車 EPSON HSV-010はグリーンにマシンを押し出されスピン。すぐにレースに復帰するが2位に後退した。

 1号車 S Road REITO MOLA GT-Rはそのままゴールし今季2勝目。終盤ペースダウンした38号車 ZENT CERUMO SC430が7位となったため最終戦を待たずシリーズチャンピオンを獲得した。2位には32号車 EPSON HSV-010が入り今季初ポイントが表彰台獲得となった。3位は終盤にスピンしたが、ペースダウンした24号車 D'station ADVAN GT-Rをファイナルラップで抜いた19号車 WedsSport ADVAN SC430が入り2戦連続の表彰台を獲得した。

ファイナルラップで逆転。トップでチェッカーを受ける1号車。最終コーナーに32号車2位で今季初ポイントを獲得した32号車GT500クラスの表彰式(Photo:Burner Images)

最終順位とドライバーズポイントは以下のとおり。

GT500クラス 最終順位

順位マシン名(ドライバー名)
1位1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)
2位32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)
3位19号車 WedsSport ADVAN SC430(荒聖治/アンドレ・クート)
4位24号車 D'station ADVAN GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)
5位39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)
6位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ミハエル・クルム)
7位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)
8位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)
9位18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム)
10位12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)
11位8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/小林崇志)
12位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)
13位35号車 KeePer Kraft SC430(国本雄資/アンドレア・カルダレッリ)
14位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)
15位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴/ロイック・デュバル)


GT500クラス ドライバーズポイント

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位1号車 S Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)78
2位38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)54
3位39号車 DENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)49
4位12号車 カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)44
5位100号車 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/山本尚貴)41
6位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴)37
7位18号車 ウイダー HSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム)36
8位23号車 MOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ミハエル・クルム)35
9位6号車 ENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)33
10位19号車 WedsSport ADVAN SC430(荒聖治/アンドレ・クート)30
11位17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)30
12位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(ロイック・デュバル)29
13位35号車 KeePer Kraft SC430(国本雄資/アンドレア・カルダレッリ)28
14位24号車 D'station ADVAN GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)22
15位32号車 EPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)15
16位8号車 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/小林崇志)12
17位36号車 PETRONAS TOM'S SC430(リチャード・ライアン)8

GT300
 GT300クラスのドライバーズポイントは第3戦セパンと第6戦富士で勝った33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)が60ポイントでトップ。第4戦SUGOで勝った3号車 S Road NDDP GT-R(千代勝正)が48ポイントで2位。第5戦鈴鹿で勝った66号車 triple a Vantage GT3(吉本大樹/星野一樹)が47ポイントで3位。開幕戦で勝った11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)も47ポイントで4位。911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)も47ポイントで5位となっている。昨年のチャンピオン、0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)は38ポイントで7位。2回のガス欠によるノーポイントが痛く、チャンピオン争いからはかなり遠のいてしまった。

GT300クラス ドライバーズポイント

順位マシン名(ドライバー名)ポイントウエイトトハンデ(kg)
1位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)6060
2位3号車 S Road NDDP GT-R(千代勝正)4896
3位66号車 triple a Vantage GT3(吉本大樹/星野一樹)4747
4位11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)4747
5位911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)4747
6位3号車 S Road NDDP GT-R(関口雄飛)4696
7位0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)3838
8位43号車 ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)3333
9位2号車 エヴァンゲリオンRT初号機PETRONAS紫電(高橋一穂/加藤寛規)2525
10位88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/青木孝行)2424

 前日の予選でポールポジションを獲得したのは3号車 S Road NDDP GT-R。関口雄飛選手のペナルティによる欠場のためウェイトハンデの軽減がなく、48ポイントの2倍96kgを積んでポールポジションを獲得した。66号車 triple a Vantage GT3が2位、911号車 エンドレス TAISAN 911が5位、11号車 GAINER DIXCEL R8 LMSが7位。ポイントトップの33号車 HANKOOK PORSCHEは9位とやや出遅れた感じだ。

 ポイントランキング9位の2号車 エヴァンゲリオンRT初号機PETRONAS紫電は、オートポリスを得意としているが公式練習で加藤寛規選手がクラッシュ。マシン修復ができず予選、決勝に出走することができなかった。

 セーフティーカー先導後のスタートで飛び出したのはポールスタートの3号車 S Road NDDP GT-R(千代勝正)。66号車 triple a Vantage GT3(星野一樹)が徐々に差を縮めトップ2台が序盤から後続を10秒以上引き離した。

GT300クラスのスタートシーン(Photo:Burner Images)2コーナーは3号車が先行した3号車の後方、66号車も後方との差を広げた
66号車が徐々に差を縮めた

 トップ2台の後方は3位に88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学)、4位に87号車 JLOC ランボルギーニ GT3(山内英輝)、5位に911号車 エンドレス TAISAN 911(横溝直輝)、6位に52号車 GREEN TEC & LEON SLS(竹内浩典)、7位に11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也)、8位に33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美)、9位に0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝)、10位に61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也)と続いた。

序盤3位争いは88号車と87号車5位~7位は911号車、52号車、11号車8位~10位は33号車、0号車、61号車

 8位33号車 HANKOOK PORSCHE、9位0号車 GSR 初音ミク BMW、10位61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTの争いはスタート直後からピットインまで続き、ベテラン同士の見応えのあるバトルを見せてくれた。

8位争いは接近戦となった
3位88号車の後方に87号車、911号車、33号車が続くハイブリッド車同士は13位争い

 11周目の52号車 GREEN TEC & LEON SLSのクラッシュでセーフティーカーが導入され、後続との差は一旦なくなるがレース再開後も2台は後続を引き離しマッチレースの様相となった。

3号車を抜き66号車がトップに

 スタートから1秒前後の差で快走を続けたトップ2台は、21周目の1コーナー立ち上がりで66号車 triple a Vantage GT3がサイド・バイ・サイドに持ち込み3コーナーでインを取りトップに立った。トップに立った66号車 triple a Vantage GT3は3号車 S Road NDDP GT-Rとの差をジリジリと離し29周目には7秒の差となった。

 30周目に3号車 S Road NDDP GT-Rがピットイン、52秒の静止時間でコースに復帰した。34周目に66号車 triple a Vantage GT3もピットイン。給油時に漏れたガソリンに引火するトラブルが発生し、すぐに消火したため大事にはいたらなかったが、元々燃費が悪く給油時間の長い66号車 triple a Vantage GT3なので70秒の静止時間となった。コースに復帰すると3号車 S Road NDDP GT-R(関口雄飛)が先行、再び66号車 triple a Vantage GT3(吉本大樹)が3号車 S Road NDDP GT-Rを追う展開となった。

 後方では87号車 JLOC ランボルギーニ GT3が27周目にマシントラブルで戦列を去り、0号車 GSR 初音ミク BMWはピットレーンでの速度違反によるドライブスルーペナルティで大きく順位を落とした。表彰台争いに生き残ったのは911号車 エンドレス TAISAN 911、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT、33号車 HANKOOK PORSCHEとなった。

 911号車 エンドレス TAISAN 911はタイヤ無交換作戦でピット作業時間を短縮。同じポルシェの33号車 HANKOOK PORSCHEより17秒、66号車 triple a Vantage GT3より36秒短い時間でピットインを完了した。ピットインのインラップ、アウトラップの合計時間を比較すると61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTの早さと66号車 triple a Vantage GT3、88号車 マネパ ランボルギーニ GT3の遅さが目立つ。


 911号車61号車0号車33号車3号車11号車66号車88号車
インラップ02:01.502:00.202:00.001:58.901:58.902:00.701:57.802:00.8
アウトラップ02:47.602:56.203:03.403:06.903:10.103:09.103:27.003:24.6
合計04:49.104:56.405:03.405:05.805:09.005:09.705:24.805:25.4
タイム差07.314.316.719.920.635.736.3

911号車の後方にいた0号車はペナルティで後退したタイヤ無交換作戦で33号車の前に出た911号車
61号車が33号車との距離を徐々に縮め、逆転するが最後は61号車にマシントラブルが発生

 トップ2台の差は一旦7秒ほどに広がるが66号車 triple a Vantage GT3が徐々に差を詰め41周目にはその差は1秒を切り、再び僅差のバトルとなった。

トップ争いはピットインで差が付くが、徐々に差は縮まった

 残り10周となりこのまま3号車 S Road NDDP GT-Rが逃げ切るかと思われたが、残り8周となる55周目に3号車 S Road NDDP GT-Rにトラブルが発生、3コーナーでトップの座を明け渡すと直後に左リアタイヤ外れヘアピンのエスケープにマシンを止めリタイヤとなった。

残り10周、3号車が逃げ切るかと思われた3号車がリタイヤ。66号車は一人旅となった

 トップを奪い返した66号車 triple a Vantage GT3はそのまま逃げ切り今季2勝目。2位は911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔)、トラブルが発生した61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(佐々木孝太)をファイナルラップで抜いた33号車 HANKOOK PORSCHE(藤井誠暢)が3位に入った。

2位に浮上した911号車。はるか後方に3位の61号車最後は独走でゴールした66号車GT300クラスの表彰式(Photo:Burner Images)

 この結果、シリーズポイントは33号車 HANKOOK PORSCHEが71ポイントでトップの座を守り、このレースで優勝した66号車 triple a Vantage GT3が4ポイント差で2位、911号車 エンドレス TAISAN 911が9ポイント差で3位となり、チャンピオン争いはくしくも今回表彰台に上がった3台で最終戦を争うこととなった。

 上位の最終順位とドライバーズポイントは以下のとおり。

GT300クラス最終順位

順位マシン名(ドライバー名)
1位66号車 triple a Vantage GT3(吉本大樹/星野一樹)
2位911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)
3位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)
4位61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太)
5位0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)
6位21号車 ZENT Audi R8 LMS(都筑晶裕/リチャード・ライアン)
7位88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/青木孝行)
8位31号車 apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)
9位27号車 PACIFIC NAC イカ娘 フェラーリ(山岸大/井口卓人)
10位16号車 無限 CR-Z GT(武藤英紀/中嶋大祐)


GT300ドライバーズポイント

順位マシン名(ドライバー名)ポイント
1位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)71
2位66号車 triple a Vantage GT3(吉本大樹/星野一樹)67
3位911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)62
4位3号車 S Road NDDP GT-R(千代勝正)48
5位11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)47
6位3号車 S Road NDDP GT-R(関口雄飛)46
7位0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)44
8位43号車 ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)33
9位88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/青木孝行)28
10位31号車 apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)26

 最終戦は10月27日~28日にツインリンクもてぎで開催される。今回のレースの模様はテレビ東京系列で毎週日曜23時30分からの「SUPER GTプラス」(BSジャパンでは毎週日曜10時30分から)で放送される。

(奥川浩彦/Photo:奥川浩彦/報道専用レースフォトデータベース Burner Images)
2012年 10月 9日