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【ナビレビュー】クラリオンカーナビ「NX712」とダウンロードボイスで聖地巡礼

加藤英美里さんと福原香織さんの掛け合いガイドを楽しむ

クラリオンのカーナビ「NX712」。今回はダウンロードボイスと検索機能にフォーカスしてお届けする

 クラリオンがリリースするカーナビのメインストリームとなっているのが「NX712」と「NX612」だ。その最大の特徴となるのがリアルタイム情報の取得が可能なクラウド型情報サービス「Smart Access」への対応だ。

 この機能は……、と本来なら説明が続くところだけれど、こちらはすでに7月の記事で紹介済み。クルマの状況をリアルタイムに取得、表示できる「DashCommand」が追加予定となっており興味を引かれたものの、残念ながら取材時にはまだ利用できない状態でしょんぼり。

●クラウドサービス「Smart Access」対応カーナビ「NX712」
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120731_548714.html

●あなたの車に“ハニエル”降臨。声優ナビボイスの裏側
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120801_547291.html

 それじゃ、どうしようか? と頭をひねっていた時にリリースされたのが、新ダウンロードボイスだ。NX712/612をはじめNX711/311/111/710/110の各機種では、ユーザーが後から好きな音声を購入することで、案内時の音声を変えることのできる機能が用意されているのだ。

新ダウンロードボイスはあの姉妹!?

 新たに追加されたのは声優の加藤英美里さんが演じる「椿 理江花(つばき・りえか」と、福原香織さんが演じる「椿 理江那(つばき・りえな)」だ。公式プロフィールによれば2人は14歳の双子姉妹で、理江那が天然でボケボケしている「姉」、理江花がおしゃべり好きで明るい「妹」。この2人とドライバーである「パパ」が一緒に出かける、という設定だ。それぞれキャラクターセリフ版と標準セリフ版が用意されるほか、新たな試みとして2人が一緒に登場する掛け合い版も登場した。価格は通常版が525円、キャラクターセリフ版と掛け合い版が999円だ。

福原香織さん演じる姉の「椿 理江那」
加藤英美里さん演じる妹の「椿 理江花」
モニターを開くとデータ用のSDカードスロットがある

 この2人が姉妹の配役、しかもあえてこの時期にリリースって? と思いつつ取材に出向くと、開発担当者がボイスデータの入ったSDカードを持って登場。「埼玉つながり(※1)ですか?」と訪ねたところ、謎の笑みを残して仕事に戻って行ってしまった。今回の趣旨はあくまでもレビューでありインタビューではないため、残念ながらキャラクター設定うんぬんといったあたりを突っ込んでうかがうことはできず。もっとも、基本線は変わっていないと思われるので、興味のある向きは前回の記事を参照しつつ、リボンがどーの、めがねがどーの、と想像を膨らませていただきたい。

※1クラリオンの本社は埼玉県さいたま市にある

 ダウンロードボイスのインストールはカンタンだ。パソコンを使って同社のオンラインショップにアクセス。お目当てのデータを購入後、SDカードにコピーし、それをナビ本体のスロットに挿入。メニューから「バラエティボイスを取り込み」した後、「言語設定」でお目当てのボイスを選択すればいい。ちょっと残念なのは本体に登録できるのは2つだけってところ。いろいろ声を変えて楽しみたいなんて場合は、いちいち削除してから登録する手間が必要だ。SDカードにデータを入れておけばいつでも入れ替え可能とはいえ、今回の追加ボイスのように5種類もあるとちょっとめんどくさい。とりあえず、今回は「掛け合い版」をチョイスしておいた。

データ用に使える4GBのSDHCカードが付属。音楽のリッピングなどを考えるなら別途大容量のカードを用意した方がよさそう
メニュー画面
ボタンが大きいシンプルメニューも用意
ダウンロードボイスを利用するにはデータの入ったSDカードを本体に挿入後、メニュー画面から「設定」を選び、続いて「SDメモリーカード」をタッチ
メニューから「バラエティボイスの取り込み」を選択
リストから好きなボイスを選べばOK。ただし、ユーザー用の領域は2つしか用意されていないため、登録済みの場合は削除して入れ替える必要がある
設定画面に戻って「言語設定」で先ほどインストールしたボイスを選べばOKだ

目的地を設定して出掛けよう

 キャラクターボイスは誘導音声のみなので、聞くためには目的地を決めてルートを走る必要がある。この2人に、年末年始という時期に案内してもらうところといえば、目的地となるのは当然あの神社しかないだろう。

 読み仮名が分かるなら名称検索で一発、とここまではカーナビの基本レベル。でも「あの漢字って、さぎだっけ、わしだっけ?」という人もいるかもしれない。そんな時、カーナビを使い慣れた人なら「神社」+「埼玉県」で絞り込むことができるだろう。それも思い浮かばない、なんて時に役に立つのがクラリオンナビならではの強力な検索機能。「そういえば初詣には40万人ぐらい来るって言ってたっけ」ぐらいのネタが頭に浮かぶようなら「初もうで」でジャンル検索すればいいのだ。「神社」と「寺院」がリストアップされるので、そこから地域で絞り込むなんて離れワザもできるのだ。それでも、どうしても、ダメなときは周辺検索で神社を表示させて見覚えのある文字列を探す、なんてアナログかつ原始的な方法でもオッケーだ。

 このあたりの検索機能の凄さはカーナビではトップクラスで、もう一例として「羽田空港」を挙げてみたい。羽田はあくまで通称で正式名称は「東京国際空港」。そのため「羽田空港」で検索しても上手くいかないナビもある。その点、本機ではどちらを入力しても結果は変わらず。予測候補の表示も便利だし、「東京国際空港ではありませんか?」などど、余計なチャチャを入れられることもない。当然、そこからシームレスに周辺駐車場を探すこともでき、さらにその場合の目的地は駐車場入り口にピンポイント。大きな施設の駐車場だと入口がどの方向にあるのか悩んでしまうことがあるけれど、このナビならしっかりそこまで案内してくれるから安心だ。

目的地検索のメニュー画面
左側の大きなボタンは好みに応じて選択可能だ
名称がわかっているなら名称検索でスピーディ。入力に応じて次の文字が絞り込まれるほか予測候補表示があるのもなにげに便利
読み方が分からないなんて場合はそのほかの検索方法で。まぁ、この場合はジャンル検索が妥当か
メニューから選んでいくこともできるし「ジャンル名入力」で直接選ぶことも可能
検索結果は「地域」や「キーワード」で絞り込める
「埼玉県」で絞り込むもののまだ1900件以上候補がヒット
キーワードで「わしのみや」を入れれば1件のみに
ジャンル名入力の際に「はつ(もうで)」と入れると神社と寺院を検索できるのもちょっと粋な感じ
目的の神社を無事発見
「情報」ボタンを押すとガイドを見ることができるほか、情報の中にはQRコードを用意。内容は施設によって異なるが、この場合に何が出るかは実際試してほしい
羽田空港で検索した結果と東京国際空港で検索。どちらも結果が変わらないことに注目
候補の中から施設を選択するとこの画面に。右の地図中の小さな星が施設の場所、大きな星が出入り口を示している
駐車場を選ぶとご覧のとおり。ここで「ガイドを開始」を選べばキチンと駐車場の出入り口までナビゲートしてくれるのだ
「ガイド開始」でルートを探索。有料、一般でそれぞれ省エネが選べるのが便利
省エネを選ぶとそのルートの省エネ度を星の数で評価
ルートの情報も確認可能
もう1つスカイツリーの例。地下駐車場と立体駐車場で入り口が全然違うのが分かる

 条件を決めてルート探索を終えるとすぐに2人の掛け合いが始まり、ルート走行中にも右左折や踏み切りなど、ポイントごとにいろいろしゃべってくれる。ボケと突っ込みの応酬は実際に姉妹を乗せて走っているようで、単独音声による案内よりもずっと楽しい。セリフそのものがちょっと長めなことと、理江那がボケキャラらしくゆっくりしゃべるため、バイパスなどクルマの流れが速い場所だと全部しゃべり終わるまでにポイントをすぎてしまう、なんてことがあるのも“らしい”感じ。

加藤英美里さんと福原香織さんの掛け合いガイド ルート設定
加藤英美里さんと福原香織さんの掛け合いガイド ルート案内

 あまりネタばれしてしまうと購入後の楽しみがなくなってしまうから、セリフを書き起こすことはしないけれど、何パターンかムービーを用意したのでチェックして欲しい。ただ、録音状況がよろしくないので、もっと高音質で聞きたい人はナビとダウンロードボイスを購入してもらえば幸せになれるかと。ちなみに収録音声は約65種類で、それを組み合わせることでバリエーションを増やしているとか。それでも、実際の走行時にはどうしても右左折時の案内が中心になってしまうため、短時間に同じセリフが繰り返されてしまうのが残念ではある。

ダウンロードボイスのナビゲーション音声で無事到着

充実した機能でドライブ中も安心

 画面のほうは選んだ音声によって変わることはないけれど、交差点では拡大図が大きく表示されるほか、方面案内看板やレーンガイドもあってとてもわかりやすい。高速道路の案内も充実しているから、茨城県の海岸沿いや石川県の温泉といった場所にも迷わずスピーディに行くことができるハズだ。

 とはいえ、データの“鮮度”が落ちてしまうと、検索や案内の精度が下がってしまう。NX712/612の場合は2カ月に1度、道路データだけでなく施設検索データまで含めた差分更新が実施されている。Webからデータをダウンロードして適用することで、いつでも新鮮な地図が利用できるワケだ。更新は3年間、最大18回(NX612は1年間)無料で行うことができ、さらに発売日からではなくユーザーが実際に使用を開始した日からというのもポイントが高い。最終期限は定められているものの、次のモデルが出る直前に購入したら実質2年分しかない、なんてもったいない事態とは無縁なのだ。

 そのほか、カーナビ機能での注目はクラリオンのオリジナル機能となる「ピクチャービュー」。地図の下に周辺のオススメスポットが写真付きで紹介されるのは、ガイドブックを見ながら走っているようで眺めているだけでも楽しい。寄り道したくなった場合に目的地に設定するのもカンタンだ。また、コンビニやガソリンスタンド、銀行など、走行中に立ち寄る機会が多い施設は「お好み検索」に登録しておけば、まとめて一度に検索できる。このあたりの機能は知らない場所に出掛けた時には本当に便利で実用的。データをローカルに持っているので人里離れた場所でも使えるし、処理に時間が掛からないのも大きなメリットといえる。

 目的地に着いてからも検索機能が大活躍する。ちょうど昼時だったこともあって昼食用に弁当を調達すべくお店を検索すると、すぐにピンポイントで発見。残念ながら売り切れで手に入れることはできなかったけれど……。

多彩な地図表示モードを用意。切り替えも一画面にまとめられているのからカンタンだ
3D表示。50m以下のいわゆる市街地図スケールでは建物を立体的に表示
分岐点をピックアップして表示するルート情報表示
異なるモードの地図を2画面表示するモード
燃費のよい走行をサポートしてくれるエコロジー表示
画面中央下の情報パネルには道路情報に加えさまざまな情報を追加できる
これはオーディオ情報
速度やオドメーターのマルチメーター表示
エコロジー運転情報ではeスタートやアイドリング時間を表示
GPS衛星の補足状況や進行方向を表示するGPS&自車位置情報
ルート案内中でも現在地メニューを使えばコンビニなどの周辺施設が検索可能。中継点として現在のルートに追加することもできる
メインの案内となる交差点拡大図
都市部の交差点にはイラストによる案内も用意されている
高速道路での案内も万全だ
紫色で描かれる道路は「MAPPLEぬけみちデータ」による抜け道。抜け道を使ったルート探索は行わないので自分で選んで走る必要がある
自車周辺のスポットを写真で紹介してくれるピクチャービュー。グルメとレジャーの2ジャンルが用意されている
行きたい施設があったら写真をタップすればすぐに目的地として登録できる
お好み検索は最大5つまで設定可能。ジャンルだけでなく特定の店舗を指定することもできる
TV番組で紹介された施設を検索できるTVサーチも面白い機能。番組名から探したり、自車位置周辺で探せたりと使い勝手もいい
目的地に到着。ピンポイントじゃなかったのは残念だけど、普通は神社の建物内には入らないからね
お弁当を求めてお店を検索。市街地図にすれば建物のカタチまで詳細に表示されるので、分かりづらい場所にあっても迷わず行くことができる

高い基本機能に遊び心をプラス

 クラリオンナビの神髄は使いやすさにある。特に検索機能においてはデータの充実度、そしてそれらが密にリンクすることによって、目的地を探し出す能力が極めて高い。地味な部分なのでキャッチーではないものの、カーナビを使い慣れた人ほどその便利さに驚くハズだ。

 ダウンロードボイスに関しては言わずもがな。キャラクターごとのセリフの数が増えてくれればとか、SDカードから音声を直接読み込んで中継点ごとに案内が変えることができればとか、もうひとがんばり欲しい部分があるのも事実。しかしながら、前回のインタビューから微妙に実現している部分もあるなど、どうやらいろいろと見えない部分で進行している企画がありそうだ。

 同社が運営する地図情報サイト「チズルとススム」には友達とドライブプランを共有できる「旅のしおり」が用意されている。個々で設定したルートは共有することができるので、地域ごとの巡礼ルートを作ってみる、なんて楽しみ方もできそうだ。

 今回は触れなかったが「CARDGET(カージェット)」には、同乗者の人数や距離に応じてガソリン代や高速代をワリカン計算できる「ドライブでワリカン」アプリも。この年末年始は友人と一緒に聖地巡りに出かけてみる、なんて過ごし方もオツだろう。

カージェットには実用的だったりネタ的だったりするアプリが。ドライブでワリカンはネタっぽいけど便利
ジャンル検索が面白かったのでいろいろ試してみた。意外な候補が表示されることがあるので楽しい
漫画喫茶を探そうと思っていたらこんな候補が。なんでこんなジャンルまで……?
類語辞書にありそうな3パターンでも

(安田 剛)