ニュース
ミシュラン、「快適性」「安定した走り」を両立する低燃費タイヤ「プライマシー 3」発表会
「プライマシー HP」「プライマシー LC」の後継モデル
(2013/4/24 00:00)
日本ミシュランタイヤは4月23日、6月に発売する新コンフォート低燃費タイヤ「Primacy 3(プライマシー スリー)」の発表会を都内で開催した。「Primacy HP(プライマシー エイチピー)」「Primacy LC(プライマシー エルシー)」の後継モデルにあたり、発売サイズは16インチから18インチの計21サイズを用意する。
プライマシー 3はコンセプトに「Active Comfort(アクティブコンフォート)」を掲げ、「快適性」に加え「安定した走り」にこだわった左右非対称形状のコンフォートタイヤ。ドライブが好きなユーザーをターゲットに、「静かでゆったり」「高速での爽快感」のどちらも体感できるよう開発された。コンフォートタイヤでありながら、ラベリング制度による転がり抵抗性能は「A」、ウェットグリップ性能は「b」という低燃費タイヤとしての側面を持つのが特長となる。
SUPER GTでの連覇でミシュランの性能を証明
発表会には代表取締役社長 ベルナール・デルマス氏、PC/LTタイヤ事業部 常務執行役員 アゴスティノ・マゾッキィ氏が出席するとともに、PC/LTタイヤ事業部 マーケティング部 ブランド戦略マネージャー 加藤久美子氏、PC/LTタイヤ事業部 プロダクトマーケティングマネージャー 大江一孝氏が、プライマシー 3の概要を説明した。
はじめに挨拶を行ったベルナール・デルマス氏は昨年を振り返り、「とくに忘れられなかったのは、SUPER GTでミシュランタイヤ装着車が2年連続チャンピオンを獲ったこと。ブリヂストンさんが参加するSUPER GTで2年連続獲れたことは、ミシュランの性能を証明しただけでなく、世界的にも大きなニュースだと思う」「日本は春夏秋冬がある素晴しい国だが、タイヤにとっては大変。冬の冷たい路面からアスファルトが溶けんばかりの暑い夏、雨も多く降る。こうした厳しい環境の中で私たちはチャンピオンを獲得した。これがミシュランのパフォーマンス」と、SUPER GTにおけるミシュランタイヤ装着車の活躍に対して喜びを表す。
また、今回発表したプライマシー 3について、「今回の新製品もまた、ミシュランのパフォーマンスを証明してくれるタイヤ。日本の厳しいお客様が、プライマシー 3の性能をどう評価するか楽しみ」と、タイヤのパフォーマンス性能、完成度に自信を覗かせた。
従来のコンフォートタイヤに「安定した走り」を加えた新タイヤが求められる
次に、プライマシー 3の開発背景についてブランド戦略マネージャーの加藤氏が解説を行った。
冒頭に触れたとおり、プライマシー 3はドライブが好きなユーザーをターゲットにしている。日本生産性本部がリリースしている「レジャー白書」によると、余暇活動に「ドライブ」を選ぶ人は毎年多く、ほぼ毎年上位3位以内にランクインしていると言う。とくに高速道路無料化実験のあった2009年、2010年は1位になっており、「トレンドに左右されない根強い人気がドライブにあるのではないか」と加藤氏は分析する。
ただ、一言でドライブと言っても、クルマとの一体感や操作性を楽しむ「スポーティ・ドライブ」、リフレッシュできる「爽快なクルージング」、ゆったりと静かな移動を楽しむ「コンフォート・ドライブ」など、ドライブの楽しみ方は好みやシーンによって異なるが、プライマシー 3では「爽快なクルージング」「コンフォート・ドライブ」を楽しむユーザーをターゲットとした。
同社はプライマシー 3のターゲットユーザーに好みのドライビングスタイルを聞いたところ、「静かでゆったりしたドライビングが好き」と答えた方が多くを占めた一方、それと同程度、「ストレス解消やリフレッシュ、高速での爽快感を感じられるドライブが好き」と回答したと言い、「さらによく見てみると、そのどちらのドライビングスタイルも好きと回答した『欲張り派』の存在が浮かび上がってきた」(加藤氏)。
そこで、欲張り派が求めるニーズを聞いたところ、「雨の日でも普段どおり運転できる」「高速域での安定したハンドリングで爽快にドライブできる」という2項目で、欲張り派のユーズが高いことが分かった。これらの内容をまとめると、「欲張り派はドライブのときはシーンにあわせて『ゆったり』も『爽快』も両方味わいたい。そしてドライブを快適に楽しむには『雨の日』や『高速』でも安定した走行ができることが重要。従来のコンフォートタイヤに『安定した走り』を加えた新しいタイヤが求められているのではないか」と、加藤氏はプライマシー 3の開発に至る背景について語った。
3 スタビリ-テクノロジーを採用したプライマシー 3
プライマシー 3の具体的な技術説明は、プロダクトマーケティングマネージャーの大江一孝氏が行った。
プライマシー 3では、「優れた高速安定性で高速域でもストレスの少ないスムーズな走行」「ウェットグリップ向上で雨の日も不安のない走行」を実現するため「スタビリ-コンタクト テクノロジー」「スタビリ-ブロック テクノロジー」「スタビリ-ミックス テクノロジー」の3つのキーテクノロジー(同社は「3 スタビリ-テクノロジー」と呼んでいる)が投入された。
まずスタビリ-ブロック テクノロジーについて。同テクノロジーでは、ダイナミックなクルマの動きを足下からしっかりと支えるため、従来のプライマシー LCよりもワイドな接地面形状を採用した。これにより高速走行時の横風等に対しても安定感のある走りを実現したと言う。また幅広になったことで、横方向のグリップもプライマシー LCよりも向上したとする。
2つ目のスタビリ-ブロック テクノロジーでは、「コンフォートタイヤに対してしっかりした制動性能とブロック剛性を持たせたい。だからと言って乗り心地を犠牲にしたくない」(大江氏)ことから、2つの技術を採用した。1つは「インターロッキングサイプ」と呼ばれるもので、コンフォートタイヤにありがちなブロックの倒れ込みを抑制するため、サイプ内部にサイプ同士を支えるブリッジを採用した。もう1つは「チャンファーデザイン」と呼ばれるもので、ブロックの先端部の角を削ったような形状とすることにより、とくにブレーキング時のブロックのよれを抑制してしっかりと路面を捉えることが可能になったと言う。
最後のスタビリ-ミックス テクノロジーはトレッドコンパウンドを指すもので、ラベリング制度による転がり抵抗性能は「A」となっているが、これを犠牲にすることなくウェット性能を上げるため、分子間の摩擦抵抗が少ないという「フルシリカコンパウンド」を採用している。
またプライマシー 3では、これら3 スタビリ-テクノロジーに加え、優れたコンフォート性を実現するべくパターンノイズに配慮したデザインを採用するとともに、ビード部の最適化によってプライマシー LCよりも路面から伝わる振動の収束性に優れるとした。
なお、プライマシー 3はすでに欧州で先行発売をしており、各欧州メーカーの新型車や今後登場するモデル(一例としてメルセデス・ベンツ「Sクラス」、BMW「5シリーズ」、フォルクスワーゲン「ゴルフVII」、ボルボ「V60 ハイブリッド」など)でのOE装着(新車装着)が決まっており、そのことについて大江氏は「プライマシー 3の持つ高いパフォーマンスバランスが受け入れられているものと考えている」と述べるとともに、「快適性と高速安定性を融合したプライマシー 3をぜひ体感していただきたい」とし、解説を締めくくった。