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日産、株主総会を開催。「日産パワー88」の達成へ向け業績好調を強調
若者向けスポーツカーを、との要望には「ニスモで……」
(2013/6/25 20:57)
日産自動車は6月25日、定時株主総会を開催した。1379名の株主が出席し、2時間ほどかかった総会では、株主に対する配当、9人の取締役全員の選任、取締役に株価連動インセンティブを支払う役員報酬に関する議決が行われたほか、日産の現状について説明や、株主からの質疑応答が行われた。
中期経営計画「日産パワー88」が順調に進む
取締役社長兼会長のカルロス・ゴーン氏から業績について説明があり、2013年度の販売目標はグローバルで530万台とし、前年比7.8%増、その結果グローバルでのシェアは6.5%になる見込みとした。日産では2年前に中期経営計画「日産パワー88(エイティエイト)」を発表し、2016年度にグローバルシェア8%を目標としているが、その計画も順調に進んでいることを強調した。
営業利益についても好調に推移していることを強調、2013年度の1株当たり配当は2012年の25円から2割アップの30円を予定しているとした。
商品展開では、ロシアのアフトワズとのアライアンスを挙げ、ロシアでのシェアはアフトワズを含めたルノー・日産アライアンスで40%を達成するとした。
ロシアを含めたBRICs諸国での販売については、人口1000人あたりの自動車保有数はまだまだ少ないとし、日本の600台に比べ、ロシアは280台、中国は50台、インドは15台で、今後の伸びが期待できると説明、すでに発表している「ダットサン」ブランドを来月にインドで導入し、その後ロシア、インドネシアで展開するとした。
その他の地域では、中国で現地の要望にもとづいた「ティアナ」のロングホイールベース版、アメリカでは「インフィニティQ50」や「ローグ」、ヨーロッパでは「キャッシュカイ」を投入する。
国内では「デイズ」と「デイズルークス」といった軽自動車の成長が重要になるとした。すでに発売した「デイズ」については期待以上の注文を受けているとし、国内の販売施策として店へ来店する客を待つだけではなく、イオンをはじめショッピングセンターと協力した営業展開を行うとした。
さらに、今年12月は創立80周年を迎えるが、80周年に関連した商品イベントを実施する予定とした。
また、技術については2013年度に20件の新技術を市場に投入、前輪駆動のハイブリッドなどを投入予定。市場投入時期などは言及しなかったが、2013年2月にアメリカに開設した日産総合研究所シリコンバレーオフィスでネットワークに接続した「コネクテッド・カー」や自動運転車の研究を進めるとした。
ゴーン氏はまた、今回の株主総会の議案でもある、役員報酬の件にも言及、インセンティブを含めた報酬額は他の企業との比較でも妥当な金額であると説明した。日産の役員は優秀なメンバーが揃っており他社からの引き抜きの対象にもなりかねず、主要メンバーを維持し、競争をしていくためにも必要な報酬だと説明した。
若者が乗るスポーツカーはニスモで
質疑応答では、株主から意見や質問があり、製品面では、若者が乗れるスポーツカーや女性スタッフのみが開発したクルマを出してほしいとの要望、水素自動車についての展開についての質問があった。
若者が乗るスポーツカーについては、質問者から「シルビアのような……」と過去の車名を示して問われたため、商品戦略を担当する執行役副社長のアンディ・パーマー氏は「シルビアは私も好きだ」と返答したが「ニスモGT-R」などニスモブランドの展開で対応すると答えたにとどめた。アンディ氏はまた、すでに発表されたようにニスモはレースから市販車への展開を進めることを改めて強調した。
また、「女性スタッフだけが開発したクルマを出してほしい」との意見にはゴーン氏が答え、「女性の力はどんどん強くなるが、両極端は避けなければならない」と返答した。その理由として、従来の男性だけが開発した製品と、女性だけが開発した製品はどちらも両極端で、商品はバランスがとれたものでなければならないこと。開発の狙いどおりの層が買うとは限らず、実際の購入層は違ってくる可能性があることも理由に挙げた。
水素自動車についてもゴーン氏が返答、2つの課題があるとした。1つはコストで、技術的には2015年には導入可能だが、購入してもらえる価格帯にするにはさらに数年がかかるとした。2つ目の課題は燃料の充填インフラの整備で、水素とどこにでもある電気とは違い、電気自動車の充電スタンドのような拡大はできないとの見解を示した。