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日産、「今後も国内生産100万台の目標は変えない」とゴーンCEOが宣言
第115回定時株主総会にて
(2014/6/25 00:00)
日産自動車は6月24日、第115回となる定時株主総会を神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催した。
今年度は1617人の株主が集まって行われた株主総会では、決議事項として「剰余金の処分」「取締役3名選任」「監査役3名選任」の3項目を議案として扱ったほか、5月12日にすでに発表している2013年度通期決算の内容をあらためて株主の前で報告し、それぞれの市場における事業概況などについて説明を行った。2013年度通期決算の詳細については関連記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140513_648087.html)を参照のこと。
「役員報酬は会社の武器にしなければならない」とゴーンCEO
株主総会後半の質疑応答では、会場を訪れた株主の中から抽選で選ばれた質問者のほか、先だって日産 追浜工場内にある「GRANDRIVE(グランドライブ)」で実施された株主向けの製品紹介イベントの会場で出された質問をVTRで取りあげ、合計6問に対して日産自動車 社長兼CEOであり、株主総会の議長を務めたカルロス・ゴーン氏のほか、担当役員などから回答された。
まず、株価がトヨタ自動車、本田技研工業などに対して低いこと、同2社より配当金が少ないことについて質問され、2008年のリーマン・ショックを発端とする株価下落以降で考えると、日産のアップ率は1番高くなっており、配当も利回りはホンダより高くなっていると説明。商品についてはEVが本当にうまく進展しているのか、FCVといった方向性も検討するべきではないのかと問われ、日産としては「ゼロ・エミッション社会」の実現に向けた回答としてはEVが一番現実的だと考えているとしつつも、並行してFCVについても研究・開発を進めているとした。また、自動運転車は本当に安全なのかという問いかけに対しては、同社の研究では安全性の確保という面を自動化に向けた最大の課題として取り組んでいると答え、具体的な研究の成果として、リーフの自動運転車両ではすでに問題発生時の検出スピードが人間より数段速いレベルを実現していることを紹介した。
このほか、日本市場をどのように重視しているのか、日本での生産100万台という目標がトーンダウンしているのではないかと質問され、ゴーンCEOは目標としていた生産台数に届かなかった2013年度でも、三菱自動車工業と設立した軽自動車事業会社「NMKV」で生産している「デイズ」「デイズ ルークス」といった軽自動車の22万台は三菱自動車の工場で生産しているためカウントに含めておらず、これを足すと優に100万台の目標を超える計算にはなるが、自分たちがこの国内生産100万台という目標を真摯に向き合うべき数値として設定していると語り、「今後も国内生産100万台の目標は変えない」と力強く宣言した。
また、株主総会内では役員報酬の総額と、ゴーンCEOに支払われる内訳についても5年連続で公開されており、2013年度のゴーンCEOの報酬総額が2012年度の9億8800万円から0.7%増えた9億9500万円であると明かされている。この金額に対して、株主による質疑応答でも「ゴーンCEOの手腕と実績は高く評価しているが、国内企業で飛び抜けて高い数字になっているのではないか」と指摘されている。これに対してゴーンCEOは、「日産はグローバル企業であり、比較も世界の自動車メーカーにおけるCEOに対する報酬額で考えるべき」として例を挙げ、フィアット・クライスラー・オートモービルズのSergio Marchionne CEOが30万6000米ドル、フォードのAlan Mulally CEOが23万2000米ドルとなっており、ゴーンCEOの報酬額が6番目であると紹介している。また、ゴーンCEOは自身以外の報酬額について「グローバルで競合他社と競争し、成長するにあたって役員報酬が足かせになってはならない。現在の役員報酬額は承認を受けた総額から57.2%を使っているだけで、積極的に活用して会社の武器にしていくことが大事だ」という考えを明かした。