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日産、2014年度上期の決算を発表。連結売上高は前年比8.2%増の5兆1446億円

営業利益は前年比18%増の2619億円を確保。2014年度通期の予測は維持

2014年度上期の決算発表を行う日産自動車 代表取締役副社長、チーフ コンペティティブ オフィサー(CCO)西川廣人氏
2014年11月4日発表

 日産自動車は11月4日、2014年度上期(4月~9月)の決算を発表した。売上高は5兆1446億円で前年比8.2%増、営業利益は2619億円で同18%増、当期純利益は2370億円で同24.9%増という伸びを示した。2014年度通期については、グローバルの販売台数を当初目標から20万台下方修正するものの、売上高は前回見通しから100億円増となる10兆8000億円。連結営業利益、当期純利益の予想は従来通りそれぞれ5350億円、4050億円を維持する。

 2014年度の実績としては、欧州で新型「パルサー」を発売し、「キャシュカイ」が英国サンダーランド工場で生産累計200万台突破するなどラインアップの充実を図った。同社のEV(電気自動車)「リーフ」は累計14万2000台以上を販売し、中国市場向けの「e30」と、欧州・日本向けの「e-NV200」という新たなモデルの投入によって、EV市場の醸成を引き続き進めているところだ。

 これに加えて、10月には米EPAによるトレンドレポートにおいて、日産が全セグメントにラインアップを持つメーカーのなかで企業平均燃費値トップに位置付けられたほか、Interbrandによる「Best Global Brands 2014」でも順位を大きく上げて56位となり、環境性能も企業価値も高い評価を得ていると報告。

 こうしたなかで、グローバルの販売台数は前年比5.8%増となる258万1000台に拡大した。最も販売台数の多い北米市場が依然「堅調で、成長傾向にある」こと、中国市場が回復したこと、欧州市場に「安定化の兆し」が見えつつあることが増加の主な要因になっているとした。

売上高、連結営業利益、純利益のいずれも2013年度上期を上まわった
グローバルの販売台数は258万1000台。北米、中国市場が押し上げ要因となった

 具体的には、北米市場は「ローグ」と「アルティマ」が牽引する形で、前年比13.7%増の70万8000台を達成。カナダやメキシコでも順調に販売台数を伸ばしている。ロシアを含む欧州市場の販売台数も前年比8.4%増の33万4000台となった。

堅調な成長を見せている北米市場。「ローグ」「アルティマ」が牽引役
欧州市場も拡大方向に推移。市場占有率も向上した

 中国市場は6月末までの販売台数が前年比14.6%増の62万台に躍進。市場占有率も5.6%へと0.3%増加している。ところが、中国当局による規制強化などが影響し、第3四半期は中小型商用車のセグメントで販売数が低下。小型乗用車のセグメントでは競争の激化もあったほか、政治的な緊張などから日本車を避ける傾向も見られ、上期トータルでは販売台数が見込みを下まわったという。

 日本市場は消費税の増税前の駆け込み需要の反動から、前年比7.6%減の29万1000台に「期初の想定通り」縮小。ただし、軽自動車セグメントでは「デイズ」シリーズが健闘を見せているとした。

中国市場は6月まで大幅な伸びを見せたものの、7月以降は伸びず、トータルで+14.6%の販売増に止まった
日本市場は「想定通り」販売台数が縮小。しかし、「デイズ」シリーズや新型「エクストレイル」の人気は高い
新興国市場は伸びが鈍化している

 2014年度通期見通しは、期初の予測を修正してグローバルの販売台数を20万台減の545万台とする。新興国市場の販売鈍化、中国市場における小型商用車セグメントの弱体化と小型乗用車市場の競争激化が主要因であるとしているが、北米市場の販売増とコスト削減、為替変動などを見込み、連結営業利益5350億円、当期純利益4050億円は当初予測から変更しない。売上高は10億8000万円と、当初予測より100億円上積みする。

 2011年6月に同社が策定した中期経営計画「日産パワー88」に沿って、グローバル市場占有率8%を維持するとともに、営業利益率8%の安定的実現についても、現状は5%台ながら順調に伸ばしていることから、着実に目標達成に向けて進めていくとした。

マーケティング・販売費用が大きなマイナス要因になっているが、「ほとんどがブランド投資」という
販売台数の通期見通しは、グローバルで20万台減の545万台に
販売台数は引き下げたが、連結営業利益、当期純利益に変更はなし
為替レートは104円と想定し、為替による利益増も見込む

(日沼諭史)