日産、第1四半期は1504億円の営業利益 販売台数はグローバルで前年同期比プラスに |
日産自動車は7月27日、2011年度第1四半期決算を発表した。売上高は前年同期比1.6%増の2兆820億円、営業利益は1504億円、経常利益は1477億円、純利益は850億円を計上し、販売台数の面では東日本大震災の影響で国内は前年同期比で減少したものの、グローバル販売台数は10.6%増の105万6000台となった。
日産では第1四半期の最優先課題として東日本大震災からの復旧を掲げていた。決算発表を行ったIR部 執行役員の田川丈二氏は「震災は大きな影響を及ぼしたが、開発、生産、購買のモノづくりでの懸命な復興活動と、サプライヤーとの緊密な連携により、4月中旬には、全工場で車両生産の再開を果たした。グローバルでは4月に台数が落ち込んだものの、今は計画水準に戻り、10月には制約のないフル生産を再開できる見込み」と復興の経緯と見通しを発表した。
工場などの復旧状況 | グローバルな月ごとの生産状況 | 中期経営計画「日産パワー88」の発表 |
第1四半期のグローバル販売実績 | 中国における第一四半期の販売実績 | 中国のDFL 新中期経営計画 |
国内の電力需要が逼迫する中での生産は「節電目標の15%に対して、18~20%、日によっては20%を超える削減ができている」と実績を発表。今後の見通しとして、今現在の状況と前置きするも「節電目標を達成しながら、前年比で生産数を同一からプラスにすることはなんとかできる」と述べた。
販売台数の詳細では、グローバルで105万6000台の販売台数のうち、日本国内が前年同期比14.7%の減少となったものの、北米、欧州、中国、その他のいずれの地域でも増加。国内は台数が減少したものの、シェアは3.3%増の15.2%増。田川氏はこれについて「生産の迅速な復旧によるもの」と分析し、マーチ、ジューク、エルグランドの販売もシェア向上に貢献したとした。
海外市場では全体的に増加をする中で、高級車ブランドのインフィニティが高級車市場で8.4%のシェア低下となっている。田川氏は「震災による一時的な生産供給問題」と説明、先月発表したインフィニティの目標である「ラグジュアリー市場で10%の市場占有率を達成し、グローバルでトップクラスのラグジュアリーブランドを目指す」を強調し、インドネシアでの発売、チリ、パナマの参入発表、来年アメリカで投入予定の新車種「JX」などを拡販の要因として挙げた。
また、営業利益の増減要因を説明、利益減少要因として、主に米ドルに対する円高が続いていることによる為替影響が550億円、エネルギーと原材料の高騰が324億円、利益増加では購買コスト減少が450億円などとした。特に震災による輪番休業によるコスト面での影響は、土日の安い電力を使えるというプラス面の効果もあり、大きなマイナスにはならないと説明した。
欧州における第一四半期の販売実績 | その他市場における第一四半期の販売実績 | インフィニティ ブランドの販売実績 |
売上など第一四半期の財務実績 | 営業利益の増減要因の分析 | 実質有利子負債の推移 |
為替レートによる550億円の減益については田川氏は「震災から生産と販売を回復させて、販売台数10%のプラスが達成できた。本来であれば2割をこえるような増益が達成できたかもしれないところを、為替で前年同期比で減益に追い込まれたのが大変残念でならない」と感想を述べた。
また、田川氏は震災からの復旧について感想を述べ「あらためて、日本のものづくりの素晴らしさを再認識しているところ。素晴らしいモノづくりの力を世界レベルで提供し、国内で100万台の生産を維持していきたい」と話した。
(正田拓也)
2011年 7月 28日