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日産、定時株主総会で「ノート」「セレナ」を8月にマイチェンさせると発表
ゴーンCEOの報酬は10億3500万円
(2015/6/24 19:46)
- 2015年6月23日発表
日産自動車は6月23日、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で第116期定時株主総会を開催した。今年度の株主総会は1700人の株主が集まって行われ、決議事項として「剰余金の処分」「定款の一部変更」「取締役全員任期満了につき9名選任」「取締役に対し株価連動型インセンティブ受領権を付与」の4項目を議案として扱った。
このほか、5月13日にすでに発表している2014年度通期決算の内容について、日産自動車 代表取締役副社長、チーフ コンペティティブ オフィサー(CCO)の西川廣人氏があらためて株主の前で報告を行った。
2014年度通期の連結売上高は、中国合弁会社比例連結ベースで11兆3752億円。連結営業利益は5896億円、売上高営業利益率は5.2%。当期の純利益は前年から17.6%増加の4576億円となっている。自動車事業のフリーキャッシュフローは3658億円で、2014年度末は自動車事業で1兆3900億円のキャッシュ・ポジションとしている。
8月に「ノート」「セレナ」をマイチェン
議案採決に先駆けた事業報告では、西川氏による決算報告に続き、総会の議長でもある日産自動車 社長兼CEO カルロス・ゴーン氏から2014年度の成果などについて解説した。2014年度は商品ラインアップを拡充し、「中国カー・オブ・ザ・イヤー2014」を受賞した新型「エクストレイル」など複数の新型車を発売。グローバル販売台数をさらに増やし、特に重要市場である北米でふた桁台の伸長率を達成して過去最高の販売台数を記録しているという。
このほか、国内での生産台数を増やす取り組みに合わせて新規市場への参入を継続。例として挙げたナイジェリアでは大手自動車メーカーとして初めて現地生産を開始して、グローバルな生産体制を拡大している。
2015年度は日産ブランド4モデル、インフィニティブランド1モデル、ダットサンブランド3モデル、ヴェヌーシアブランド2モデルの計10モデルの新型車を発売予定。新車効果などによって、グローバル市場での占有率を2014年度の6.2%から6.5%に高めることを想定している。
日産が注力しているEV(電気自動車)については、航続距離の拡大がさらなる普及に向けた課題であると語り、この実現に向けた確かな方法は「充電環境の整備」「バッテリーと車両技術の進化」の2点であると解説。充電環境の整備については、政府や民間企業のパートナーとの協力により、日本全国に1万4000基以上の充電器が設置されていることを説明し、「お客さまは本州ではどこでも安心して電気自動車にお乗りいただけます」としている。
残るバッテリーと車両技術の進化については、議場内に展示した1台のリーフを示し、この車両がバッテリーの先進技術研究に活用されている車両であると紹介。リーフをベースとしたこの車両はドアパネルに「Advanced R&D Electric Vehicle」と書かれており、ゴーン氏は「今年後半には航続距離拡大に向けた最初のステップをご紹介する予定」とコメント。さらに日産では、近い将来にEVを従来の内燃機関に匹敵する航続距離の「安心」を提案できるとしている。
さらに今後の展望についての解説で、後半の質疑応答のなかで「8月に『ノート』『セレナ』をマイナーチェンジして発売し、セレナに『踏み間違い衝突防止アシスト』を搭載」「ダイレクトアダプティブステアリングをより多くのモデルに展開する」などの施策について明らかにした。
また、毎年のように話題となる役員報酬について、ゴーン氏は「弊社での恒例事項」として解説を実施。ゴーン氏に支払われる報酬が10億3500万円、取締役11人の報酬が計14億6000万円であることを公開し、この金額は自動車メーカーなど世界の大手企業の役員報酬と比較して算出しており、これでも抑え気味の金額になっていると語る。また、質疑応答では役員以外の給料についても同様に世界基準で考えるべきではないかとの意見が出たが、ゴーン氏は「金額について公表していないだけで、役員以外の給料についても比較を行っている」と回答した。
質疑応答ではこのほかにもゴーン氏がルノーのCEOも兼務している点や、国内他メーカーの社長などを引き合いに出してゴーン氏などの報酬に対する質問が続いたが、基本的には会計監査を経た内容で、効率的な経営に必要な金額であるとの回答となった。また、2014年12月にトヨタ自動車から燃料電池車(FCV)が発売されたことに関連し、日産がEVに傾倒して燃料電池車を開発しないのかといった質問もあり、これに対しては、日産はこれからもEVを中心に開発を進めていくが、燃料電池車などにも並行して投資を行っていくと説明。以前は日産と三菱自動車工業の2社が量産EVのメーカーとなっていたが、現在では11社から12モデルのEVが市販化されており、2019年には車種が倍増するとの将来予想を紹介。その2019年時点でもEVにおいてリーダーの座を確保するという意気込みを語っている。