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日産、2015年第1四半期決算はグローバルで売上、利益とも前年より増加
国内販売は10%落ち込むも、店舗改装などで来年以降の新車投入に備える
(2015/7/29 22:21)
- 2015年7月29日発表
日産自動車は7月29日、2015年度第1四半期決算を発表した。売上高は前年同期比17.6%増の2兆8994億円、営業利益は1937億円(前年同期比58%増)、経常利益は2159億円(同45.2%増)、当期純利益は1528億円(同36.3%増)を計上した。
決算説明を行った日産自動車 常務執行役員の田川丈二氏は、まず「この四半期は、前年同期に対して連結売上高、連結営業利益、連結当期純利益、自動車事業のフリー・キャッシュ・フローがすべて改善」と評価し、その理由として「北米と西ヨーロッパにおける好調な販売と、前年からの改善した円ドルレートの効果」を挙げた。好調な部分があることで、日本と一部新興市場における販売鈍化、ロシアのルーブルやタイのバーツといった為替レートの悪化の影響を打ち消したと説明した。
第1四半期の新車販売はグローバルで前年同期比4.4%増の129万台。グローバル市場のシェアは5.9%で、前年同期比0.2ポイントの伸びとする。好調なのは北米で過去最高の販売台数を記録し、アメリカでは前年比5.5%増の36万9000台、市場シェアは8.1%。2016年モデルの「マキシマ」をはじめ、「アルティマ」、「ローグ」、小型セダンの「セントラ」が好調を支えているとした。カナダも好調で前年比13.6%増の3万7000万台。
欧州では全体需要が0.7%増加するなかで10.7%増の18万9000台となり、市場シェアは4.0%。「キャッシュカイ(日本名:デュアリス)」「ジューク」などが販売台数を引き上げた。
一方、国内市場は全体需要が5.5%減少するなかで、日産の販売台数は10%減の12万台。市場シェアは11.0%。健闘している車種はハイブリッドモデルを加えた「エクストレイル」や軽自動車の「デイズ」「デイズ ルークス」で、「ノート」「セレナ」のセグメントは競争が激化しているとした。
中国では前年から増加し、29万6000台で市場シェアは5.0%。ロシアでは全体需要が36.6%落ち込むなかで、日産は前年比12.6%減にとどめ販売台数は3万4000台。その他市場では前年比1.6%減の20万3000台となっている。
新車攻勢では、国内については今年はエクストレイルのハイブリッドモデルのみ。田川氏は「端境期で基礎固めの年。店舗の改装などで来年以降の新車の投入に備えたい」とするものの、エクストレイル ハイブリッドが1万台超えの受注があることや、ノートのエコスーパーチャージャー搭載モデルが持つ低燃費性能を挙げ「お客様のニーズに応えるような商品を出していけば、販売も回復する」とし、新車攻勢以外でも販売台数の回復は行えるとの考えを示した。
また、エクストレイルの北米版とも言える「ローグ」を九州工場で補完生産することにも触れ、「日本での生産の今年の計画は87万台。過去にはピークで130万台生産したこともあるが、そのときとラインも違うので急に130万台作れるわけではないが、ローグの生産移管で2016年度に100万台規模を目指す」とした。その後は状況を見ながらさらに上の生産台数へと伸ばす可能性もあるという。
田川氏はそのほか、第1四半期のトピックを紹介。J.D.パワーの品質調査でセントラが北米のコンパクトカー・セグメントで首位になったことや、インフィニティブランドのSUVが上位をランクインしたことをアピールしている。
さらに、ゼロ・エミッションを実現するため、EV(電気自動車)の充電インフラの分野における施策として、アメリカで「No Charge to Charge」という公共の充電スタンドを無料で使用できるサービスを開始。国内では神奈川県横須賀市とパートナーシップを締結しており、南アフリカではBMWと共同でEVの充電ネットワークを整備することが挙げられた。
ブランド強化の面では、アメリカのNFL(ナショナル フットボール リーグ)のチーム「テネシー・タイタンズ」の本拠地スタジアムの命名権を獲得し、ナッシュビルにあるスタジアムを「ニッサン・スタジアム」とし、知名度向上を図ることなどが紹介された。