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FEDERAL FLEX アジアクロスカントリーラリー2013がタイ~ラオスで開催

今年はジムニーシエラの4位が日本人最高位

2013年8月10日~16日(現地時間)開催

 8月10日~16日(現地時間)、タイ~ラオスで「FEDERAL FLEX アジアクロスカントリーラリー2013」が開催され、三菱自動車のアウトランダーPHEVが完走を果たしたことはすでにご報告のとおり。今回は大会全体の様子についてお伝えしよう。

 まずはこの大会の概要だが、初開催は1996年で今大会で18回目となるFIA(国際自動車連盟)公認クロスカントリーラリーだ。毎年コースが変更され、通過国はタイをはじめマレーシア、シンガポール、中国、ラオス、ベトナム、カンボジア、ミャンマーと、東南アジアを中心に8カ国にのぼる。日本からは元WGPライダーの青木拓磨選手が2007年から今大会まで毎年出場。過去には元F1パイロットの片山右京選手や元全日本ジムカーナチャンピオンの川脇一晃選手、2006年スーパーGT GT300クラスチャンピオンの井入宏之選手など、さまざまなジャンルのドライバーがエントリーしている。また、2011年には全日本ラリーで何回もチャンピオンを獲得し、今シーズンも現時点でポイントリーダーの奴田原文雄選手が俳優の哀川翔氏のコ・ドライバーとしてエントリーしている。なお、昨年から新設された「MOTOクラス(2輪)」にも多くの日本人ライダーが参戦しているが、今回は4輪のみをお伝えする。

今年はタイからラオスまでの2000kmというコース
陸路で国境を超えるのは日本人にとって新鮮な風景だ
国境付近の店では、なぜか戦艦大和の模型が売られていた

 さて、今大会ではエントリーの大勢を3リッター級のディーゼルターボエンジンを搭載するピックアップトラックが占めるなか、トップ3こそ逃したものの、なんと日本人最高位となる4位にジムニーシエラが入賞している。最高時速はわずか100km/h程度というマシンだが、例年以上に雨が多かった雨季の東南アジアのマッドステージでは、ドライバー、コ・ドライバーの技術と合わせ、小型軽量マシンが持つ走破力とジムニー向けに新開発されたヨコハマタイヤの新型タイヤの威力がうまくマッチしたようだ。

日本人最上位はジムニーシエラの竹野・柳川組
突然のスコールのなかを走るジムニーシエラ
ジムニー専用の最新モデル「ヨコハマ ジオランダーM/T+“ワイルドトラクション”」

 また、2011年からエントリーしている哀川翔氏が率いる「FLEX FEDERAL SHOW AIKAWA Racing」は、今年も2台のFJクルーザーを持ち込み参戦。2年間ドライバーとして参加してきた哀川氏だが、今年はチーム監督に専念。メカニックには千葉県にある「中央自動車大学校」の2人の学生、ドライバーにはタレントのヒロミを抜擢しての参戦だ。結果は14位と振るわなかったものの、ヒロミ選手と学生メカニックたちは東南アジアのマッドステージを存分に楽しんだようだ。このほか、7年連続出場の青木拓磨選手は前半のマシントラブルによって初優勝に届かず11位に終わっている。

哀川翔監督とヒロミ選手
ヒロミ選手のFJクルーザー
2台のFJクルーザーは中央自動車大学校の学生2人がメンテナンスする
チェアウォーカーの青木拓磨選手は元WGPライダー
ラオスのSSを疾走する青木拓磨選手
こんなラオスの子供たちもラリーのギャラリー。ちなみにこの橋もSSのコースだ

 なお、日本人選手の成績は以下のとおり。

順位ドライバーマシン
4位竹野悟史/柳川直之スズキ・ジムニーシエラ
6位伊藤芳朗/平賀健いすゞ・D-MAX
11位青木拓磨/Ittipon SIMARAKS(タイ)/椎根克彦いすゞ・D-MAX
13位寺田昌弘/Jia-Ying SHEN(台湾)/染宮弘和トヨタ・FJクルーザー
14位ヒロミ/安東貞敏トヨタ・FJクルーザー
15位前橋靖/千葉栄二スズキ・ジムニーシエラ
17位青木孝次/石田憲治三菱自動車・アウトランダーPHEV
18位浅井道浩/Dean CHOU(台湾)いすゞ・D-MAX
19位小西政敏/大藤眞弘いすゞ・D-MAX
最後までデッドヒートを繰り広げたトップ3は地元タイ勢。すべて新型「いすゞ・D-MAX」だ
6位は伊藤芳朗・平賀健組
18位は日本・台湾の混合チームで、浅井選手(右)は両国で活躍するミュージシャン
昨年から2輪の「MOTOクラス」が新設され、こちらにも多くの日本人ライダーが参戦している

 毎年数多くの日本人エントラントが参加するこの大会だが、同じようにマシンも日本メーカーが圧倒的な多数派だ。タイには日本の自動車メーカーが工場を多く持ち、タイ生産の日産のマーチや三菱自動車のミラージュがすでに日本に輸入されているが、このラリーの主力車種もそんな日本メーカーの国内未導入モデルばかり。私達が知らない世界で日本メーカー同士が凌ぎを削っているというのが、タイのモータースポーツ事情の一面でもある。

トヨタ・ハイラックス ヴィーゴ
いすゞ・D-MAX(新型)。今大会はトップ3を独占
いすゞ・D-MAX(旧型)
三菱自動車・トライトン。一時期だがガソリンモデルのみ日本でも輸入販売されたモデル
マツダ・BT-50。タイではピックアップトラックがサーキットでも活躍する

 日本のモータースポーツシーンは欧州から導入されたスタイルが多いが、たまには身近なアジア圏で活躍する日本車の戦いに目を向けてみるのも、また違った雰囲気で面白いだろう。

(高橋 学)