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三菱自動車「アウトランダーPHEV」がアジアクロスカントリーラリーで総合17位完走

TWO&FOUR MOTORSPORTS参戦リポート

2013年8月10日~16日(現地時間)開催

 8月10~16日(現地時間)「FEDERAL FLEX アジアクロスカントリーラリー2013」が開催され、このラリーの常連出場チーム「TWO&FOUR MOTORSPORTS」がこの大会初のプラグインハイブリッドマシンとなる三菱自動車「アウトランダーPHEV」で参戦。タイのビーチリゾート、パタヤから隣国ラオスまでの2000kmのコースを総合17位で見事完走した。

 大会初日には、パタヤのビーチ沿いにある繁華街「パタヤウォーキングストリート」でセレモニアルスタートが行われた。ここから2000kmの過酷な旅が始まる。現地では珍しいこのラリーカーはギャラリーの関心も高かったようで、一緒に写真を撮る観光客も多かった。なお、このアウトランダーPHEVは足まわりとボディー補強、ロールバーの装着などラリーカーとして最小限の改造こそ施されているものの、ほぼノーマル状態であり、準備期間の少なさもあって車高すらノーマルとほぼ同じ。もちろん、パワーユニットなども量産車そのものでの挑戦となった。また、帯同するメカニックには通常のチームメカニックのほか、三菱自動車の低電圧取扱者の資格を持つ技術者もスペシャルパートナーとして加わり、プラグインハイブリッドの電気系部分を担当した。

セレモニアルスタート会場は夜のネオン街
車高はノーマル車と変わらない
インテリアも追加されたラリー用の計器以外はノーマル
リアには各種データロガーを設置
三菱自動車の技術者がプラグインハイブリッドのメンテナンスをサポート

 ドライバーの青木孝次選手、コ・ドライバーの石田憲治選手は、ともにかつてロンドンー北京ラリーで総合優勝を飾ったほか、このアジアクロスカントリーラリーでもプライベーターながらワークス勢を相手に3度のクラス優勝を果たし、そのほかにも様々な競技経験を持つ強者ベテランコンビ。しかし、ときおりその片鱗は見せるものの、今回は極めて慎重なドライビングに徹してこのラリーを走り抜いた。もちろん、ノウハウの蓄積もパーツもないアウトランダーPHEVだけに、元から難易度の高い雨季の東南アジアのマッドステージを簡単にクリアできるわけもなく、毎日のようにサービスでセッティング変更を頻繁に行っていたようだ。しかし、実施された変更は足まわりなどほかのガソリン・ディーゼル車と同じ部分であり、このクルマで最大の特徴であるパワーユニットは一貫してノーマルで走り続けたのは見事だ。

 WRCにおけるランサーやダカールラリーなどにおけるパジェロなど、ワークス、プライベートを問わず様々なラリーシーンで活躍してきた三菱自動車。紆余曲折の末にモータースポーツの現場からその姿は減ってきていたが、昨年からアメリカ・コロラド州で行われる「パイクスピークヒルクライム」にi-MiEV/i-MiEV Evolutionでワークス参戦しており、今回のアジアクロスカントリーラリーではプライベーターながらアウトランダーPHEVで参戦するなど、三菱自動車のモータースポーツ活動復活の方向性が垣間見られるようだ。まだまだトップクラスと互角に争うレベルにはほど遠いものの、今回のラリーでも随所で見せたモーター音だけが耳に残るその走りに、新しい時代のモータースポーツを感じずにはいられなかった。

毎夜続くメンテナンス作業
運転席のメーターは完全にノーマル
モーター音だけを残して走り去る光景はどこか未来的だ
タイ・ラオス国境に向かってコンボイを組み移動するラリーカー
抑えた走りで無事完走。ここで得たデータがこれから戦うPHEVのノウハウとして蓄積されるのだろう
住所も分からぬような今回の撮影地だが、一部をGPSで記録してみた。Nikon coolpix P330を使用

 なお、9月26日には三菱自動車本社(東京都港区)1Fショールームで、今回の「アジアクロスカントリーラリー2013」と「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム2013」の参戦ドライバーによるトークショーが行われる。ゲストは青木・石田選手と増岡浩選手に加え、三菱自動車工業の益子修社長も参加予定だ。両レースに参戦した車両の実車展示もあるので、お近くの人は足を運んでみてはいかがだろう。

(高橋 学)