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【新城ラリー2014】全日本ラリー第9戦JN6クラスは奴田原/佐藤組が1位、新井/竹下組が2位
4万8000人が来場。ラリー車両の走行や往年のラリーマシン展示を実施
2014年11月7日 16:33
愛知県新城市で11月1日~2日、「全日本ラリー選手権」「中部・近畿ラリー選手権」「TRDラリーチャレンジ」などが併催されるモータースポーツイベント「新城ラリー2014」が行われた。
2013年から愛知県の後援を受けるようになったこのイベントでは、広大な敷地を持つ県営新城総合公園にメイン会場を移し、各種競技以外にも自動車メーカーやラリー関連企業、地元企業や自治体などが出展。初日は一日中雨天となったものの、2日間で合わせて4万8000人(主催者発表)と2013年開催時を上まわる来場者を記録している。
全日本ラリー選手権第9戦(11月1日~2日)
全日本ラリー選手権は前戦までに各クラスともシリーズチャンピオンが決定しているが、今季を締めくくる最終戦だけに、各チームが有終の美を飾るべく2日間に渡って過酷なステージでバトルを繰り広げた。トップカテゴリーのJN6クラス(3000cc超 2WD/4WD)では、アドバンカラーのランエボを駆る奴田原/佐藤組が2013年に続き勝利している。なお、奴田原/佐藤組のタイヤサポートを行うヨコハマタイヤ(横浜ゴム)は新城市に最重要生産拠点の「新城工場」を構えており、いわばお膝元での勝利となった。
86/BRZが席巻するJN5クラス(1500cc超~3000cc以下)は、すでに2014年シーズンのチャンピオン獲得が決定している鎌田/市野組のスバル BRZが下位に沈み、川名/高橋組のトヨタ 86が勝利した。ドライバーの川名賢選手は今年から欧州のラリーにも積極的にチャレンジを始めた2013年のJN2チャンピオンだ。このJN5クラスには、全日本ジムカーナやSUPER GTでおなじみの山野哲也選手も2013年に引き続き参戦。コース幅が広くハイスピードなSSではベストタイムを記録し、その速さを見せつけた。
TRDラリーチャレンジ第7戦(11月2日)
トヨタ 86/ヴィッツで行われるTRDラリーチャレンジ。今年もモリゾウ選手(トヨタ自動車社長である豊田章男氏)がE-2Expert(トヨタ 86限定のエキスパートクラス)に参戦して総合5位、クラス4位でラリーを終えた。またE-1Expert(ヴィッツ 1.5リッター車のエキスパートクラス)にはスバル BRZ GT300でSUPER GTに参戦中の井口卓人選手も参戦。クラス5位で完走を果たしている。
「新城ラリー」はヒストリックマシン展示も充実したラリーの一大イベント!
広大な敷地を持つメイン会場の県立新城総合公園では、敷地内に各ラリーのスーパーSSが設定されており、気軽にレース車両の走行が楽しめる。また、デモランのために特設されたグラベルステージ「ラリースタジアム」や、往年の名車から最新マシンまで幅広く展示された「ラリーガーデン」が設けられ、ラリー観戦以外でも1日中楽しめる“ラリーのテーマパーク”のようなイベントになっている。
初披露されたトヨタ FCVのラリーカー仕様と4WD化されたトヨタ 86「GR 86×(クロス)」
選手権のスペシャルステージで安全を確認する「ゼロゼロカー(00カー)」には、すでに市販車としての発売が発表されているトヨタの燃料電池車「トヨタ FCV」が走行した。また、1996年から4年連続でWRC(世界ラリー選手権)チャンピオンを獲得しているトミ・マキネン氏が来日。大会初日の11月1日には、マキネン氏とGAZOO Racingが共同製作したトヨタ 86ベースの4WDマシン「GR 86×(クロス)」でデモランを行い、集まったファンを魅了した。
新城ラリーに見る“これからのラリー像”
2012年にモリゾウ選手が参戦したことで、通常はラリーを扱っていないTVをはじめとするさまざまなメディアが取材するようになった新城ラリー。その翌年の2013年からは愛知県の協力を得るようになり、広大な会場にステージを移して飛躍を遂げ、今年は4万8000人もの来場者を記録した。前回よりさらに企業色が強まったような部分も散見されるが、イベントとしての充実度の高まりは目を見張るものがあり、その評価は来場者の増加という形で裏付けされたと感じる。
欲を言えば、メイン会場内でのイベントや特設コースでの走行だけではなく、ラリー競技の中枢となるスペシャルステージの存在をもう少しクローズアップした大会の構成になれば、モータースポーツ本来の醍醐味がもっと味わえるようになるのではないだろうか。高いハードルではあるが、それを乗り越えることを期待してしまうほど充実した稀有なラリーイベントが新城ラリーなのだ。選手はもとより、チーム関係者、運営スタッフ、出展企業、そのほかすべての関係者に感謝するとともに、今後の発展を願わずにはいられないイベントだった。