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今年もモリゾウ選手が参戦した「新城ラリー2013」リポート

秋晴れの新城総合公園に4万人のラリーファンが集結!

2013年10月26日、27日開催

 10月26日、27日、愛知県新城市にて全日本ラリー選手権や地方選手権、TRDラリーチャレンジ等の最終戦が行われる複合イベント「新城ラリー」が行われた。初日午前中のSS(スペシャルステージ)は濃霧、前日の雨の影響もあり難しい路面状況でスタートした大会だったが、午後からは晴天に恵まれ心配されていた台風の影響は小さく、人口5万人弱の街に延べ4万人以上のラリーファンが足を運び、その華麗な走りを楽しんだ。

 全日本ラリー選手権には、今シーズンの全日本ジムカーナチャンピオンでありSUPER GTでも活躍中の山野哲也選手がラリー初参戦。TRDラリーチャレンジにはモリゾウ選手(トヨタ自動車社長である豊田章男氏)や俳優の哀川翔さん、レーシングドライバーの佐藤久実選手も参戦した。

TRDラリーチャレンジ第5戦(10月27日)

 トヨタ車のみのラリーで、排気量1500cc以上のクラス4には13台もの86が参戦、他のクラスはすべてヴィッツのみの参戦となった。昨年ここでラリーデビューを果たしたモリゾウ選手は、引き続き今年も86で参戦。モリゾウ選手は今シーズンこのシリーズにフル参戦し、クラス4のチャンピオンを獲得している。またレーシングドライバーの佐藤久実選手もクラス8位で完走するとともに、哀川翔選手もクラス1でクラス5位に。こちらも完走を果たしている。

モリゾウ選手(右)は昨年同様、竹下紀子選手と出場
モリゾウ選手の86
SSを攻めるモリゾウ/竹下紀子組の86
レーシングドライバー佐藤久実選手(左)も参戦
佐藤久実/戸田宏子組の86はラリー北海道でゼロカーを務めたマシンだ
哀川翔選手(右)は久々の全日本ラリー出場
哀川翔/田中理絵組は1.5リッターのヴィッツ
1500cc以上のトヨタ車が参戦できるクラス4には、86のほか懐かしいモデルも出場していた

全日本ラリー選手権第9戦(10月26日~27日)

 排気量1400cc以下のJN1クラスから3000cc超のJN4までの4クラスからなる全日本選手権。JN4では、奴田原/佐藤組がここ新城では5年ぶりとなる総合優勝を果たした(2000ccのランサーエボリューションやインプレッサはターボ車のため係数1.7が掛けられJN4となる)。なおシリーズチャンピオンは昨年に続き勝田/足立組が獲得した。

 また1500cc~3000ccのJN3では、インテグラやシビックのホンダVTEC勢やトヨタ86/スバルBRZが多数参戦。なかでも注目はSUPER GT等でも活躍中の全日本ジムカーナチャンピオン山野哲也選手のラリー初参戦だ。86でなんと4回ものSSベストタイムをマークしクラス5位でフィニッシュした。なおコ・ドライバーはかつて哀川翔選手や、ラリーレイドでタレントのヒロミ選手のコ・ドライバーを努めた安東選手だ。またJN1では日産リーフで参戦するモータージャーナリストの国沢光宏選手が、嬉しい初優勝を果たした。

総合優勝は奴田原/佐藤組のランエボX
最終戦で勝田/足立組のインプレッサがシリーズチャンピオンを決めた
昨年に続き1番!のポーズの勝田(右)/足立組
国沢/木原組のリーフは全日本戦初のEVウイナー
嬉しい勝利の国沢光宏選手(左)
ラリーでは珍しいロータス・エキシージはターマック(舗装路)ラリーならでは
JN3にはあの山野哲也選手が登場、霧の中を快走!
山野選手(左)のコ・ドライバーはベテラン安東選手
オープンクラスの新井大輝選手の父はあの新井敏弘選手だ

 なお、今大会総合優勝したADVAN-PIAAランサーの奴田原/佐藤組のタイヤサポートを行うのが、この新城市に同社の最重要生産工場を構える横浜ゴムだ。

 そのサポート・スタッフもラリー期間中は選手と同じように戦っているという自負があるという。そして「走る楽しさをもっともっと多くの人に伝えたい。そのためにはモータースポーツも大きなレースだけではなく身近な競技からしっかりサポートしていきたい。その底辺が拡大するからこそ頂点も存在すると考えます」と、先月まで新城工場の工場長を務めてきた野呂氏は語った。

 もちろん他のメーカーやチーム、その他さまざまなスタッフも勝負にかける想いは同じだろう。そして競技区間だけではなく、サービスパークと名付けられたマシンのメンテナンスエリアに観客が自由に立ち入りが可能で、その想いを身近に感じ取ることができるのもラリーの魅力の1つだ。サーキットとは違うラリーのどこかフレンドリーな雰囲気の一因はこの辺にあるのだろう。

5年ぶりに横浜ゴムのお膝元・新城で勝利した奴田原選手(左)と横浜ゴム元新城工場長 野呂氏

選手権以外にも貴重なマシン展示やデモラン等が充実

 新城ラリーは、今大会よりメイン会場を県立新城総合公園に変更した。緑あふれる広大な公園内にはSSが設定され、整備の整った芝生のエリアには多くの貴重なマシン展示が行われた。また、陸上競技のトラックにはデモランの会場が作られ、国内競技としては最大級の環境を得て期間中観客はここにいるだけでも1日中楽しめる大会となった。

昨年に続き今年もビョルン・ワルデガルド選手とセリカツインカムターボ(TA64)がダイナミックなデモランを披露。同乗体験も行われた
新井敏弘選手
田嶋伸博選手
自衛隊車輌も登場!
新しい会場の展示スペースは大変美しいロケーション
時代を彩ったトヨタのグループAマシンたち
貴重な開発車両も展示された
すでに実戦投入されている三菱自動車のアウトランダーPHEVのラリーカーと、横浜ゴムのオリジナルコンセプトEV「AERO-Y」
自衛隊豊川駐屯地よりメガクルーザー+93式近距離地対空誘導弾(写真手前)と、82式指揮通信車(写真奥)
同じく豊川駐屯地より81式短距離地対空誘導弾(C)

そのほか気になったマシンあれこれ

競技のスイーパー車輌には懐かしのTE27トレノ
併催されていた地方選手権には驚きの日産240RS!
広い会場内のスタッフ移動には緑豊かな会場に配慮したトヨタ車体のEV、コムスが使用された

人と人の結びつきが支えあい発展する新城ラリー

 昨年、トヨタ自動車社長である豊田章男氏が初参戦したことにより、既存のモータースポーツメディア以外のさまざまなメディアで取り上げられたこの新城ラリーだが、今年はこの大会をアジア1、そして世界1を目指そうとファンの前で公言する大村秀章愛知県知事の後押しもあり、会場は広がり国内選手権としては最大規模の大会となった。

 若干大企業色、行政色を感じるところも散見したが、その来場者を見回せば家族連れやカップルなどほかの会場では見られない層も多く見かけ、その来場者の裾野の広さだけ見ても国内モータースポーツの現状を考えれば大成功と言ってよいだろう。生粋のモータースポーツファンから見れば、トップドライバーの熾烈な争いより穏やかなイベントに力点が置かれたように見える大会への賛否はあるだろうが、かつての隆盛を取り戻し、さらなる発展を目指す起爆剤としてこのあり方は非常に意義深いと感じる。そんな大会の人間模様を写真で紹介しよう。

この大会を世界一に!と大村秀章愛知県知事
日本を代表する大企業の社長もここでは笑顔が絶えない
社長は選手なのでスピーチはトヨタ自動車副社長 加藤光久氏が行った
世界のビョルン・ワルデガルド氏(右)と大村知事
愛知県広報大使第1号の哀川翔選手
アジアクロスカントリーラリーやパイクスピーク・ヒルクライムと、奴田原選手と哀川選手の関係は深い
回を重ねるごとに上手くなるモリゾウ選手のデモランに同乗し手を振るのは大村知事
応接室では見ることはなさそうな2人の笑顔
世界の新井敏弘選手のデモランの助手席にはトヨタ自動車社長
日本を代表するラリードライバーとラリー初心者もこんな感じ
左から片山右京氏、新井敏弘選手、田嶋伸博選手

 そのほか多くの選手はもとよりチーム関係者、運営スタッフ、さまざまな関係者、そして何よりここに足を運んだ多くのファンの力により2日間の大イベントは盛況の中、幕を閉じた。

 これからも多くの人達の結びつきが新城ラリーを発展させることを期待しつつ、多くの自動車ファンにはぜひ来年観戦することをおすすめしたい。

(高橋 学)