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ボッシュ、2013年度を総括するとともにIoT対応センサーなど将来の技術動向を紹介

「Bosch annual press conference in Japan 2014」開催

IoT時代へ向け、ボッシュが力を入れるマイクロメカニカルセンサー
2014年6月19日開催

 ドイツに本社を構えるロバート・ボッシュは、世界的な自動車部品サプライヤー。その歴史は自動車の技術発展の歴史とともにあり、近年ではガソリン燃料噴射装置やESC(横滑り防止装置)、ディーゼルのコモンレールシステムなどを製品化し、多数の自動車メーカーに供給してきた。日本の自動車メーカーとも取り引きがあり、ボッシュとして事業を展開。年に1度、事業年度を総括するとともに将来の技術動向を紹介するイベントを開催しており、2014年6月19日に「Bosch annual press conference in Japan 2014」が自動車メディアやアナリスト向けに都内で開催された。

 年度概要の挨拶に立ったボッシュ代表取締役社長 ヘルベルト・ヘミング氏は、「(ボッシュ)128年の歴史で確認されていることだが、イノベーションが成功のカギを握る」と切り出し、成熟市場となっている日本において成功するには、日本の自動車メーカーとグローバルで成長していくことにあるとした。その上で、ボッシュグループの2014年度の売上高は3~5%増となる見込みであり、上積みも可能であるとの見通しを示した。

 IT関連企業では、あらゆるものがインターネットにつながる「IoT(Internet of Things:もののインターネット)」が大きなトレンドとなっているが、それを支えるのがボッシュのセンサーテクノロジーであるとし、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)によるマイクロメカニカルセンサーの出荷個数も10億個から、2014年度は13億個への伸びを見込む。また将来の自動車像として、エネルギー密度が2倍になったバッテリーの開発による電動化した自動車、センサーや制御の進化による自動運転を挙げ、自動運転については2020年までに部分的な自動運転が始まり、完全自動運転は2025以降になるとした。

ボッシュ代表取締役社長 ヘルベルト・ヘミング氏
2013年の売上実績と2014年の見通し
2014年見通し
2013年度の事業セクター別売上高
2013年度の地域別売上高
年度変化
従来製品と新製品
自動車の電動化について
自動運転の見通し
コネクテッドモビリティーについて
製造のネットワーク化

 最後に2013年度の日本での売上高を紹介。2013年度の売上高は3200億円で、対前年度比2.5%増。但し、全世界向けの日本の自動車メーカーに対する売上高成長率は10%(為替調整後)となっており、海外市場における日本のメーカー向け売り上げが伸びているのが分かる。

 日本の自動車メーカーは、ASEAN(東南アジア諸国連合)、とくにタイやインドネシアで生産工場を立ち上げおり、ボッシュもこれをサポート。タイとインドネシアに工場を新設し、インドネシアではインジェクターとO2センサーの生産を行っていく。

日本のボッシュについて
2013年度の売上高
日本企業のグローバル化をサポート
2輪車について

 ボッシュ取締役副社長 ドクター ウド・ヴォルツ氏は、ボッシュのイノベーションについて解説。4輪車や2輪車はイノベーションによってネットワーク化し、モータースポーツに参加することでイノベーションを進めていく。また、工場においてもボッシュ製品の導入で、新たな自動化を進めていくとした。

ボッシュ取締役副社長 ドクター ウド・ヴォルツ氏
ボッシュのイノベーションについて
ネットワーク化
2輪車用のスタビリティコントロールなど

 モータースポーツ関連については、ボッシュエンジニアリング 代表取締役 龍崎浩太郎氏が解説。ドイツ本社でサポートするレースとして、DTM、ル・マン24時間、F1の3つを挙げ、センサーやインジェクターなどを供給しているという。とくにアウディとのパートナーシップもあって、ル・マン24時間は15連覇しているとのこと。マシンの状態を通信によって送るテレメトリーシステムについては、コース上から常に送る常時接続タイプと、ピットに近づいたときに大量のデータを送るバースト接続タイプとを用意しているという。

 日本のモータースポーツについては2008年以降、ドイツ本社に加え日本法人によるサポートも開始。4輪ではF3、スーパーフォーミュラ、SUPER GTをサポートする。とくにSUPER GTについては、DTMとのレギュレーション統一のこともあり、2014年からサポートを開始した。

ボッシュエンジニアリング 代表取締役 龍崎浩太郎氏
ボッシュ製品搭載車が2014年もル・マンを制覇
ボッシュモータースポーツの歴史
ボッシュ モータースポーツ製品
ボッシュ製品を搭載するカテゴリー
日本でのモータースポーツ参加について
ル・マンで使用された後方確認カメラ。後方カメラで追い越し車両の認識を行い、どちらから抜いていこうとしているのかを分析・表示する

 ボッシュが今後力を入れていくのが各種の車載センサー。この車載センサーについては、ボッシュ オートモーティブエレクトロニクス事業部 半導体&MEMSセンサ営業部 ゼネラルマネージャー 松崎健一郎氏が解説。この車載センサーには、加速度など状態の変化を検出する機械部分とその出力を行う電子回路が一体化されたMEMSが用いられており、ボッシュは累計1000件以上のMEMS関連特許を持つという。

 松崎氏はボッシュ製品の特徴を、「車載に要求される信頼性と高品質」「必要なときに高品質なMEMSを大量に供給できること」とし、半導体メーカーと提携することで大量の発注にも対応できるとした。

 ボッシュはそれら車載向けで培った信頼性と高品質を背景に、一般的な民生機器への組み込み用途へも進出。これについてはボッシュ センサーテックジャパン ゼネラルマネージャー 平井哲也氏が解説。ボッシュのラインアップするセンサーとしては、加速度センサー、角速度センサー、複合モーションセンサー、圧力センサー、流量センサーなどがあり、これらMEMSセンサーの累積出荷数は、車載用と民生機器用を合わせて40億個以上になる。とくにスマートフォン向けの出荷が伸びており、スマートフォンの2台に1台はボッシュ製のセンサーが搭載されているという。次の大きな波としてIoTがあり、インターネット接続ウェアラブルデバイスなどあらゆるものにセンサーが搭載されていく時代を見込んでいる。

ボッシュ オートモーティブエレクトロニクス事業部 半導体&MEMSセンサ営業部 ゼネラルマネージャー 松崎健一郎氏
ボッシュのMEMSについて
ボッシュ製品の故障率はゼロディフェクトを目指している
MEMSセンサーの市場
ボッシュMEMSのメリット
ボッシュ製品採用社
ボッシュ・センサーテックジャパン ゼネラルマネージャー 平井哲也氏
センサーの種類
MEMSセンサーの需要
スマートフォンの2台に1台はボッシュのセンサーが入っているという

 そのほかこのBosch annual press conference in Japan 2014では、2輪車に関する技術講演会も実施。安全技術については、ボッシュ シャシーシステムコントロール事業部 二輪安全システム開発部門長 ユルドゥム・フェウゼイ氏から、エンジンマネジメントシステムについては、常務執行役員 ガソリンシステム事業部 事業部長 柳生直樹氏から解説が行われた。当日使用されたプレゼンテーション資料を掲示しておく。

ボッシュ シャシーシステムコントロール事業部 二輪安全システム開発部門長 ユルドゥム・フェウゼイ氏
ボッシュの開発拠点
事故死者数について
モーターサイクル用ABSについて
機能
安全へのビジョン
キーメッセージ
ボッシュ 常務執行役員 ガソリンシステム事業部 事業部長 柳生直樹氏
アジアの成長について
燃料噴射システム
今後について

(編集部:谷川 潔)