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ヤマハ、電動アシスト自転車の2014年モデル「PAS VIENTA5」「PAS Brace XL」発表会

スポーティカジュアルな「PAS VIENTA5」、本格派スポーティの「PAS Brace XL」

フルモデルチェンジした「PAS VIENTA5」などを発表
2014年7月15日開催

12万9060円(PAS VIENTA5)

16万3080円(PAS Brace XL)

 ヤマハ発動機は7月15日、同社製電動アシスト自転車の2014年モデルとなる「PAS VIENTA5」「PAS Brace XL」の発表会を開催するとともに、報道陣向けの試乗会イベントを実施した。「PAS VIENTA5」は7月18日発売で、価格は12万9060円。「PAS Brace XL」は8月29日発売で16万3080円。両車種とも年間販売台数は3500台を見込む。

技術の熟成と適正装備で幅広いユーザー層を狙う

 「PAS VIENTA5」は3年ぶりのフルモデルチェンジとなる、PASシリーズの中でも“スポーティカジュアル”に位置づけられる製品。2011年に発売された初代モデルのユーザーからの意見を参考に、2014年モデルではさまざまな個所に改善、変更を施した。

PAS VIENTA5
ハンドルには電動アシストの切り替え機能を備えるだけでなく、バッテリー残量、速度、消費カロリーなども表示する「液晶マルチファンクションメーター」を装備

 前モデルは女性ユーザーが大きな割合を占めていたものの、PAS Brace XLをベースにしていたこともあり、街乗り用としては「過剰装備」という声が多かったという。そのため、従来は内装8段変速だったところ、実用性や扱いやすさを考慮して内装5段変速に変更。街乗りに適したパワー感とギア比を実現した。

 モーターには、他の最新車種で採用されている同社独自のアシスト機構“トリプルセンサーシステム”を搭載。バッテリー容量も8.7Ahへとアップさせ、長距離のアシスト走行を可能にした。フレームデザインは、トップチューブの位置を低くするなどして乗降のしやすさに配慮しつつ、シャープな外観に仕上げてスポーティさをキープしている。

 前モデルはワイヤーロックが付属していたが、施錠の手間を嫌うユーザーの意見を受けてサークル錠に変更した。これら各部の変更、最適化により、価格を前モデルと比較して1万円以上抑えることができたという。

 2014年モデルのターゲットユーザーは「ユニセックス」。カラーリングにつや消しのマットブラックやソニックオレンジといったバリエーションを用意したことで、男女問わず選びやすいモデルとした。そのほか、クリスタルホワイト、クローバーグリーンのボディーカラーは前モデルから継続となる。

 車両重量は21.5kg、タイヤサイズは26インチ。付属の急速充電器により約2.5時間で満充電でき、満充電時の走行距離は“オートエコモードプラス”時で52kmとなる。

同社社員がPAS VIENTA5をカスタムした参考出品モデル。カスタム費用はおよそ5万円ほどとのこと
カゴ、サドル、チェーンやペダルを交換。トップチューブなどに手編みのカバーを巻いて、ガーリーな雰囲気を演出している

 一方、「PAS Brace XL」は、サスペンション機構付きフロントフォークを装備した“本格派スポーティ”モデル。12.8Ahの大容量バッテリーと、アシスト力を最大限に発揮するモーターセッティングとしたことで、パワフルな長距離走行を可能にしている。内装8段変速やフロントディスクブレーキを搭載し、あらゆる路面状況に対応する。

PAS Brace XL

 2014年モデルではハンドルグリップ、変速シフター、ブレーキなど一部のパーツが変更された。ボディーカラーではスカイブルー、ソニックオレンジが追加され、クリスタルホワイト、クリスタルブラックの2色は2013年モデルから継続となる。

 車両重量は24kg(付属ワイヤーロック0.3kgを含む)、タイヤサイズは26インチ。付属の急速充電器により約3.5時間で満充電でき、満充電時の走行距離は“オートエコモードプラス”時で74kmとなる。

同社社員がPAS Brace XLをカスタムした参考出品モデル。カスタム費用はおよそ15万円ほどとのこと
パーツの中ではアジャスタブルフロントフォークが最も高価だったという

電動アシストは趣味性を意識したスポーツモデルへ

「所有感を満たすような製品作りをしていきたい」と話した、ヤマハ発動機SPV事業部 マーケティング部の鹿嶋泰広氏

 発表会では、ヤマハ発動機 SPV事業部の鹿嶋氏らが市場動向の解説と新モデルの詳しい紹介を行った。

 同氏によれば、電動アシスト自転車市場は年率8%のペースで伸びており、2012年は前年の震災の影響でやや落ち込んだものの、翌2013年には再び成長に転じている。今後は、折からの自転車ブームやユーザーの健康志向、ガソリン高といった流れに乗ってさらなる市場拡大が期待されるとし、2014年は市場全体の年間出荷台数が50万台に近づくと見ている。

市場規模はほぼ右肩上がりを続けている
ユーザー層も広がりを見せている

 これまでの20年間における電動アシスト自転車の主なユーザー・用途を振り返ると、当初はシニアユーザーが多く、以降は子育てしている母親に広がり、次第にミドル層の主婦や独身女性、男性にも利用範囲が拡大している。近年では通勤に使用する社会人男性や学生のような若年層にも浸透し始めているといい、将来的に高校生の通学用途、およびレジャー用途への利用拡大がさらに進むことになるとの見方を示した。

 また、同社が行ったユーザーアンケートによると、通常のPAS Brace XLでは通勤、街乗りの用途がメインだったのに対し、2013年に限定販売されたPAS 20周年記念モデルであるPAS Brace L Specialでは、趣味性をより高めたパーツなどを装備していたこともあって、サイクリング用途で活用しているユーザーがもっとも多かったことが分かっている。

 このことから、実用的な用途だけでなく、趣味用途でも電動アシスト自転車の需要は少なくないとして、ヤマハでは今後PAS VIENTA5やPAS Brace XLのようなスポーツ向けモデルを充実させ、趣味のサイクリング用に電動アシスト自転車を選ぶユーザーを掘り起こしていきたい考えだ。

スポーティモデルはまだ市場規模としては大きくないが、今後拡大が予測される
PAS VIENTA5の特徴
PAS Brace XLの特徴
限定発売のPAS Brace L Specialはサイクリング用途が際立って多かったという

軽快に乗りたいならPAS VIENTA5、長距離ならPAS Brace XL

代官山で試乗会も行われた

 発表会後には、PAS VIENTA5やPAS Brace XLをはじめ、PASシリーズ最新モデルで街中を試乗する“ポタリング”イベントが開かれた。会場となった代官山付近は、おしゃれなお店があり、閑静な住宅街が広がるエリアだが、急なアップダウンも多い。電動アシスト自転車のメリットを活かしやすい地形でもある。

 試乗会ではPAS VIENTA5とPAS Brace XLの両車種に乗り、違いをチェックした。PAS VIENTA5は、内装5段変速とギア数が少ないこともあり、低いギアでもペダルを1回こいで進む距離は比較的長め。しかしながら、かなりの急勾配であっても、最大の5速にした状態で足の重さをペダルに乗せるような感覚で踏むだけで、軽々と登っていく。フロントフォークがリジットで軽量なことから、ハンドリングの軽快さも印象的だった。

 PAS Brace XLは、PAS VIENTA5に比べると、低いギアでは懸命にこがないと前に進まないイメージ。ただしアシスト力は強く、街乗りであればほとんどの場面で4速以上を多用することになると思われる。フロントフォークはサスペンション付きのため、リジットフォークよりは重量増。ハンドリングの軽快感はやや薄れるが、ある程度の段差や路面の細かいギャップをしなやかに受け流してくれるので、長距離走行での疲労は少なそうだ。

目黒川沿いを走るコースで、ポタリングの気持ちよさを実感。急勾配で他のスポーツ自転車をすいすい追い抜いていけるPASの実力も体感できた

(日沼諭史)