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ヤマハ、電動アシスト自転車「PAS」の報道関係者向け試乗会を開催

2013年3月14日発売

中央が柳社長

 ヤマハ発動機株式会社は14日、電動アシスト自転車「PAS」の最新モデルを3月14日より順次発売開始するのに合わせ、報道関係者向けの試乗会を開催した。

 今回ラインアップされたのは国内で初めて「トリプルセンサーシステム」を搭載した5モデル。基本モデルとなる「PAS ナチュラ L」とその上位モデル「PAS ナチュラ L デラックス」(共に26型/24型の2種類)は3月14日、ファッショナブルなデザインを重視したという「PAS Ami」(26型のみ)は3月31日より発売。通勤・通学用途をイメージした27型モデル「PAS CITY-L」「PAS CITY-S」は3月29日より発売される。

 価格は「PAS ナチュラ L デラックス」が11万円、「PAS ナチュラ L」が10万8000円、「PAS Ami」が11万3000円、「PAS CITY-L」が11万3000円、「PAS CITY-S」が10万8000円。

 トリプルセンサーシステムとは、従来からの「トルクセンサー」と「スピードセンサー」のダブルセンサーに、新たにペダルの回転速度を感知するための「クランク回転センサー」を加えたもの。ダブルセンサーのみでは、坂道などアシストが常にかかる場合は問題無いが、平坦な道をゆっくりと走行する場合などにはアシストがオフになってしまう事があった。ペダルが真下と真上の位置に来る「死点」で、小刻みにオン/オフが繰り替えされると、どうしても違和感が発生していたという。

 クランク回転センサーを搭載することで、トルク感知の下限値をさらに引き下げることが可能になった。これにより、どのような走行状態でも常にアシストがかかる状態を維持可能になり、スムーズな走行が可能になっているという。イメージとしては従来のダブルセンサーが「ジョギング」、トリプルセンサーが「スケート」に相当するという。

 そのほか新型スイッチの採用によって押し間違えを低減。視認性も向上したほか、バッテリー残量表示も改良した。バッテリー残量表示は従来10%刻みでの表示であったが、これだとバッテリー残量が10%以下になった場合に、いつバッテリーが切れるか分かりにくい。これを新たに20%以下では、1%刻みで残量表示をするように改良。これによってバッテリー切れへの不安感を軽減するという。また表示を切り替えることであと何km走れるか、という目安を見ることもできる。

 また今回、モーターやバッテリを小型化したことで、最低サドル高を低くする設計とした。これにより26型モデルでも従来モデルの765~890mmに対して740~885mm、24型では735~860mmに対して715~870mmと従来よりもサドル高の柔軟性が増した。特に26型モデルと24型モデルでは25mmの差を付けることができ、これは従来ユーザーから24型モデルの最低サドル高を下げてほしいという要望に応えたものであるという。

トリプルセンサーシステムのイメージ
スイッチも新型に変更
サドルをより低くできるようにして小柄な人でも楽に乗れるようになった

 そのほか主な仕様は「PAS ナチュラ L デラックス」「PAS ナチュラ L」ともに全長1870mm(1775mm)、全幅560mm、サドル高755(735)~895(870)mm(カッコ内は24型モデル・以下同)。重量はともに26.4kg(25.9kg)。

 「PAS Ami」は全長1840mm、全幅590mm、サドル高770~905mm。重量は27.6kg。

 1充電あたりの走行距離は3モデル共通で強モード時が32km、標準モード時が39km、オートエコモード時が45kmとなっている。バッテリはリチウムイオンバッテリで充電時間は約4.5時間。

「PAS ナチュラ L デラックス」
「PAS ナチュラ L」
「PAS Ami」

 27型モデルとなる「PAS CITY-L」の主な仕様は、全長1895mm、全幅560mm、サドル高800~935mm。重量は28.1kg。「PAS CITY-S」は、全長1865mm、全幅580mm、サドル高800~935mm。重量は24.6kg。

 走行距離は「PAS CITY-L」が強モード33km、標準モード40km、オートエコモード45km、「PAS CITY-S」は順に34km、40km、46km。バッテリはリチウムイオンバッテリで充電時間は約4時間。

「PAS CITY-L」
「PAS CITY-S」
試乗が行なわれた国立競技場
今回試乗した「PAS ナチュラ L」
ハンドル
新しくなったスイッチ類。バッテリ残量はより細かく表示可能に
ギヤは3段変速
サドルは従来よりも低く設置可能になった
モーターユニット
ヤマハ発動機の柳社長

 会場ではヤマハ発動機の柳弘之社長が挨拶し、同社における電動アシスト自転車事業の状況を解説した。1993年にヤマハ発動機が国内に電動アシスト自転車を市場に投入して以来の同社累計総出荷台数は225万台。これに対し、これまでの電動アシスト自転車全体の累計総需要台数は445万台であるという。また、国内電動アシスト自転車の現在の市場規模は40万台。欧州で増加している需要に対する市場規模は80万台であるという。

 同氏は「PASは20年前に新しい乗り物として提案し、20年かけて市場を作ってきた」と述べ、今後は多様化するモビリティを作ることに挑戦する、という目標を掲げた。そのベースとなるのはユニークな高性能モーター、軽量高効率なバッテリ、そしてモーターとバッテリを制御する技術の3つであるという。「これにはあらゆる市場、あらゆる付加価値と可能性がある」としており、電動アシスト自転車については中期目標として2015年までに100万台の出荷を達成するという。

 2013年の取り組みとしては4点を上げた。

 1つ目は国内PAS市場において若者を対象とする顧客ターゲットの拡大。具体的には女子高生のライフシーンに合わせたという限定車「PAS Ami シュガーピンク仕様」を6月1発売に発売する。ファッション誌「Popteen」が車体カラーリングを監修したほか、購入者にはPASのイメージキャラクターを務めるファッションモデル・舟山久美子さんの「くみっきー&PAS Amiポストカード」「PAS Amiミラ-」がもれなくプレゼントされる。

電動アシスト自転車の市場推移
欧州での市場拡大を目指す

 2つ目は欧州での市場拡大。このため同社は3月14日付で電動アシスト自転車用システムキットの欧州供給拡大を発表しており、ドイツのWINORA、デンマークのCycleVisionの2社に新たに供給を開始する。両社の主な販売国はフランス、オランダ、ベルギー。これによって昨年よりシステム供給を続けている台湾のGIANT ELECTRIC VEHICLEと合わせて合計3社に電動アシスト自転車用システムキットを供給することになった。

 3つ目は業界初のトリプルセンサーモデルの投入であり、4つ目はトヨタ自動車の協業によって実現した次世代モビリティ社会の構築に向けた「つながるバイク」の実現を目指した実証実験への参画を上げた。

 最後に同氏は「この20年は決して平坦ではなく問題を解決しながらやってきた。お客様、販売店様、官公庁の方々のご理解とご支援に感謝したい」として講演を終えた。

(清宮信志)