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10月1日~3日開催の「第41回 国際福祉機器展」リポート

レヴォーグ、デミオ、ジュリエッタの福祉車両やドライバー側の運転補助装置付き車両などが展示

新型デミオベースの福祉車両も展示された
2014年10月1日~3日開催

入場無料(登録が必要)

 第41回 国際福祉機器展が東京ビッグサイトで開催中だ。期間は10月1日から3日まで、入場は無料(登録が必要)。自動車関連では車いす用のスロープ付き車両や助手席回転シート付き車を中心に、ドライバー側の運転補助装置付き車両などが展示された。

 展示は自動車メーカーとなるトヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、マツダ、スバル(富士重工業)、スズキ、ダイハツ工業のほか、架装メーカーや代理店、補助装置メーカーが展示を行った。車いすの乗り込みを試せるほか、運転補助装置のシミュレーターを置くメーカーもあり、障がい者の運転に対する理解を深めることもできる。

 福祉車両となると1BOXカーなど乗車スペースが大きなクルマが主になるが、スバルでは運転をする人のためにあえて「レヴォーグ」や「フォレスター」を展示、マツダも新型「デミオ」の助手席回転シート付き車両を展示した。

 また、輸入車にも広範囲に対応する運転補助装置の代理店でもあるジー・エス・ティーは、フィアット「500」やアルファ ロメオ「ジュリエッタ」に運転補助装置を装着して展示した。運転補助装置は展示が豊富で、幅広い車種や体の状態に合わせたラインアップを展示するなどした。また、トヨタは自社開発でクルマのシートに近い乗車姿勢の車いすを出展した。

 本稿では各自動車メーカーごとに分けて展示車両などを紹介する。

トヨタ自動車

ヴォクシーのサイドリフトアップシート車
ヴォクシーのスロープ付き車両
ノアにもヴォクシーと同様の装備を選ぶことができる
ラクティスのスロープ付き仕様
ハイエースの車いす仕様車。用途に応じてさまざまなタイプがある
アクアの助手席回転シート車。ラゲッジに車いすを積み込みやすくする電動クレーンを装備
ドア開口部の大きなポルテに回転スライドシートを装着
ラゲッジには電動クレーンを装備する
ノアに「ウェルライド」を装着。1人で車いすから運転席への移動と、車いすの積み込みが可能
トヨタの車いす「ウェルチェア」は年内に発売予定
シートのヒップポイントが下がり、車いす乗車時の目線の高さ、お尻の前すべりなどを防止する
車いすへの乗り降りや、机に向かう際などには通常の位置に戻すことが可能

日産自動車

セレナアンシャンテ送迎タイプは、3列目への乗り込みやすさを考慮して2列目に専用シートを装備したことが特徴。オレンジ色のバーは乗り込みの際につかみやすい手すりとなり、表面はソフトな素材となる
セレナ チェアキャブ リフタータイプ。リモコンの全自動リフターを装備するのは5ナンバーサイズミニバンでは珍しいという
NV200バネット チェアキャブ。車いすの人を2名収容できる。ベース車のコンパクトさもメリット
セレナ チェアキャブ スロープタイプ
NV350キャラバン チェアキャブ。車いすの人を4名収容可能な仕様も選択できる。電動リフター付き
デイズ ルークスの回転スライドシート仕様

本田技研工業

N-BOX+はもともとスロープを容易に装着でき、スロープを使って荷室への誘導が容易なモデル。後付キットを使い、車いす乗車仕様にも変更できる
モリトーと共同開発のN-Lift装着のN-BOX+カスタム。車いすからクルマのシートへの乗り換えを補助する。助手席だけでなく後席左右にも乗車可能。N-BOX/N-BOX+とステップワゴンに後付装着可能
運転補助装置を装着したフィット。左のレバーで足を使わず運転可能
N-WGNの助手席回転シート車
フリードのスロープ付き仕様
助手席にリフトアップシート、後席には乗車補助の乗降アシスターを装着
ホンダでは運転補助装置も展示。これは上半身を使わず、足でステアリング操作をする装置を装着した運転席モック
こちらは足を使わずに左のレバーの前後でアクセルとブレーキを操作できる
免許不要の電動カートのモンパルも展示
子会社の八千代工業は陸上競技用の車いすレーサーを展示。車いすアスリートの土田和歌子選手を雇用するなど、本格的に展開している

マツダ

新型デミオに助手席回転シートを装着して展示。発売は2015年とのこと
トールワゴンのフレアワゴンに車いすスロープを装着した仕様
ビアンテにセカンドリフトアップシートを装着

スバル(富士重工業)

レヴォーグに運転補助装置と助手席回転スライドシートを装着
足を使わずに運転できるレバーを装着。スポーティなクルマに運転補助装置を装着することで、運転する楽しさを多くの人に広げたいという狙いがあるそうだ
レヴォーグに装着した助手席回転スライドシート
フォレスターにも運転補助装置と助手席回転スライドシートを装着
運転支援システム「EyeSight」をアピールするかわいらしい展示も

スズキ

ワゴンRに電動の回転スライドシートを装着
エブリイに車いす用のスロープと電動ウインチを装着
スペーシアに車いす用のテールゲート一体型スロープを装着

ダイハツ工業

ダイハツはタントにスロープやスライドシートを装着した車両を展示。タント カスタムにも装着でき、幅広いニーズに対応する
通常のタントにもスライドシートを装着。タント/タント カスタムの特徴はリアドアを開いても閉じてもスライドシートが出てくること。90度開くフロントドアも乗り降りのしやすさに役立っている
スロープ付きのタント カスタムとタント。セカンドシートは脱着式。畳んでも車いす乗車は可能だが、取り外すと車いす乗車時の足下が広くなり快適度が増す
アトレーワゴンの後席スライドシート装着車。スライドシートを通常位置にした際、介助者が並んで乗れることがこのモデルの特徴になっている
ハイゼットのスロープ付きタイプ

そのほか

輸入車販売のジー・エス・ティーはグイドシンプレックスの運転補助装置をフィアット 500とアルファ ロメオ ジュリエッタに装着して展示
グイドシンプレックスの運転補助装置はさまざまなラインアップがあり、MT車用の補助装置も用意。レースゲームに装着して機能を試すことができるようになっていた
フィアット 500のステアリングに装着したリングを引くとアクセルONになる
アルファロメオ ジュリエッタはステアリングのリング部を押すとアクセルとなる。レバー式と違ってステアリングから手を離さずに済むため、コーナーの多い経路を走るユーザーに好評という
ニッシン自動車工業は車いす収納装置のオートボックスを展示。車いすを釣り上げてルーフに収納する装置だ
運転補助装置の老舗であるフジオートは、30年に渡って同社の装置を使って走行していたスズキ アルトを展示。長期間利用もできる信頼性をアピールした
実際にユーザーが30年間使い、廃車することになったために同社が引き取ったもの。使い込まれたことが伺える
新しいタイプの開発も行っている。最近のクルマではコラム式はストロークが確保できないのでバイクのようなグリップでアクセルを開くタイプの試作品
右シフトレバーの試作品
実際に来場者が試せるような装置も展示した
オフィス清水は運転補助装置と車いすリフトの付いたフォルクスワーゲン ビートルを展示。クルマがおしゃれなだけに来場者の注目を集めていた
アルファードは運転席に回転スライドシートを装着、リフトも付いている

(正田拓也)