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新型「ロードスター」の手動運転装置付き車も展示された「第42回 国際福祉機器展」開幕

10月9日まで東京ビッグサイトで開催。登録制で入場無料

2015年10月7日~9日開催

入場無料(登録制)

 介護・福祉機器の展示会「第42回 国際福祉機器展 H.C.R 2015」が東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開幕した。会期は10月7日~9日までの3日間で入場は無料(登録制)。自動車関連では介護や福祉の事業者向けの車両をはじめ、運転補助装置付き車両や車いすごと乗車できるクルマなどが展示された。

 自動車メーカーでは、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、マツダ、スバル(富士重工業)、スズキ、ダイハツ工業が出展。さらに改造や補助具の取り付けを行う架装メーカーや代理店が出展した。

トヨタ自動車

 トヨタブースは、7月に発売された小型3列ミニバンの新型「シエンタ」を中心に展示されていた。コンパクトなボディーと広い室内空間を有効活用。大掛かりな改造を伴う車いす仕様車から、純正で用意されたパーツの取り付けによって高齢者などの乗り降りをサポートするバージョン。シエンタを扱いやすいようにするさまざまなアイテムの紹介などを行った。

 また、新開発となる「助手席回転チルトシート」の記者説明会も実施。詳細は追って別記事として掲載する。

さまざまなボディーカラーのウェルキャブ仕様シエンタを展示
ステージタイムを設けてシエンタの福祉車両について紹介を行った

日産自動車

 日産はさまざまなタイプの福祉車両を多数展示するが、初出展となるのはEV(電気自動車)となる「e-NV200」の送迎車。車内はNV200の送迎車と同様で、3列目シートへの乗り降りをしやすくする独自の2列目シートを搭載したタイプ。EV化によって環境性能のほかにコスト低減も狙う。また、電源供給装置も同時に展示し、非常時の電源供給車としての活用も提案している。

 また、小さいサイズの福祉車両ということで、「デイズ」「デイズ ルークス」の福祉車両を新登場させ、会場にはデイズ ルークスの助手席スライドアップシート車を展示した。

e-NV200の送迎車仕様。車内では2列目シートを変更し、3列目の乗り降りをしやすくした。手すりなども追加している
デイズ ルークスの福祉車両。助手席がスライドアップシートになっている
車いす乗車が可能な「セレナ ライフケアビークル」
「ノート」の助手席スライドアップシート車

本田技研工業

 ホンダは新型「ステップワゴン」の福祉車両を展示した。これまでステップワゴンには車いす乗車の車両はなかったが、新型ステップワゴンからラインアップに設定。すでに納車も開始しているという。ただし、この車両はBグレードで採用する一般的なテールゲートを持つタイプ。新型ステップワゴンの特徴となっている「わくわくゲート」を活かした車両はまだ登場していないという。

新型ステップワゴンの車いす仕様車
スロープを使って車両後方から乗車。車いす2台が固定可能になっている

 また、ホンダでは運転補助装置にも力を入れている。今回は新型「シャトル」に運転補助装置を取り付けて展示したほか、運転補助装置の単体展示も行った。

新型シャトル ハイブリッドの助手席に回転シートを装着
「フィット ハイブリッド」に運転補助装置を装着。足での操作をレバーに置き換えて運転が可能
片足でステアリング操作ができる足動運転補助装置「フランツシステム」も展示。新型フィット向けはまだ開発中だが、ホンダ車では過去に100台ほどが装着しているという

マツダ

 手動運転装置を取り付けた新型「ロードスター」を参考出品したマツダブース。足でペダル類を踏まなくても運転ができるよう、AT車を使いアクセルとブレーキを手動操作できる「コントロールグリップ」を追加。ステアリングホイールには片手でも回しやすいようノブを取り付け、シート位置が低いロードスターでも乗り降りがしやすいよう、折りたたみ式の乗降用補助シートを取り付けている。展示車のコントロールグリップはレッドでボディーと同色になっているが、実際に販売開始となった場合のカラーリングは未定。

 装置自体はニッシン自動車工業によるもので、価格はおよそ20万円前後になる見込み。福祉車両となることで消費税などの税金が免除され、補助金を受けることもできる。

 なお、この装置は車いす利用者が運転することを想定したものとなっているが、現在のところロードスターへの車いすの積み込みが課題。トランクにはそのままでは入らず、助手席部分への搭載となると、車いすの分解やソフトトップの開閉などが必要となる。

マツダ「ロードスター」の手動運転装置付車。改造は室内のみとなっており、外観は変化していない
手動運転装置を付けたロードスター参考出品車のインテリア
ボディー同色のコントロールグリップを装備。前後に倒すことでアクセルとブレーキを操作できる
乗降用補助シートは乗り降りするときに一時的に腰を乗せ、横にスライドするように着座する

 一方、「デミオ」は助手席に回転シートを取り付けた車両を用意。軽自動車の「フレアワゴン」や「ボンゴ」をベースとしたキャンピングカー風の多目的サポートカーも展示している。

回転シート装備のデミオ
助手席シートが回転して出てくるので乗りやすくなる
ラゲッジスペースには車いすのリフトを備える
軽自動車のフレアワゴンに車いすごと乗りこめる機能を付けた車両
ボンゴをベースに多目的サポートカーとして改造した車両

スバル(富士重工業)

 車いす乗車タイプの車両ではなく、運転補助装置を装着した車両を展示したスバルのブース。今回は新型となった「レガシィ アウトバック」と「レヴォーグ」を展示。どちらも手だけで運転ができる装置と助手席回転シートを取り付けた仕様となっていた。

新型レガシィ アウトバック
運転補助装置を装着
助手席は回転シート
レヴォーグのトランスケア車両
運転補助装置
助手席は回転シート仕様。スバルにおける呼称は「ウイングシート」

スズキ

 コンパクトサイズを活かした福祉車両とシニアカーを展示するスズキブース。福祉車両では「スペーシア」や「エブリイワゴン」による車いす移動車や、「ワゴンR」に車いすのリフトを組み込んだ昇降シート車などを展示した。

スペーシアの車いす移動車
スロープで車内に車いすで乗車可能
エブリイワゴンの車いす移動車
エブリイ、エブリイワゴンとも車いす1台を車載しても後席に1名乗車が可能で、車いす利用時でも4名乗車が可能となっている
ワゴンR 昇降シート車
リアのラゲッジスペースに、車いすの積載に便利な専用のベルトやフックなどを備える
スズキはセニアカーのメーカーでもある。ブース内には試乗スペースも用意された

ダイハツ工業

 ダイハツは車いす乗車タイプの車両を数多く展示した。ダイハツの軽ワゴン車は「タント」のほかに「アトレー」「ハイゼット」などもあり、それぞれに福祉車両を用意している。車種による違いは搭載できる車いすのサイズで、横幅の大きい車いすはタントベースの車両では搭載できず、大きめの車いすはアトレーやハイゼットカーゴをベース車両として選ぶ必要があるという。

 また、タントが持つセンターピラーレスの「ミラクルオープンドア」でドアが前後に広く開く点や、ムーヴの90°まで開くフロントドアなど、ベース車両の特徴を活かした車両展示が行われた。

タントの車いす乗車車両となる「タント スローパー」。内外装のデザインが異なるカスタム(左)と通常モデル(中央)のどちらでも選べる
ムーヴはフロントドアが90°開くところが特徴。回転シートの利用にも向いてるという
タントは2WD車は前輪駆動(FF)で低床設計なのでスロープを設定しやすい
アトレーの車いす乗車タイプ。タントよりも幅広の車いすに対応する
ハイゼットカーゴの車いす乗車タイプもアトレーと同様の特徴を持つ

そのほか

 福祉車両の架装メーカーや装置の輸入代理店も展示を行っている。ニッシン自動車工業は、自動でルーフ上に車いすを収納する装置を追加した車両を展示。輸入代理店のジー・エス・ティーはマニュアルトランスミッションの車両にも対応可能なグイドシンプレックス製の運転補助装置、架装メーカーのオフィス清水は回転シートに加えて後付けのスライドドアを展示した。後付けスライドドアの展示車両には「MINI クロスオーバー」が利用され、一般的なヒンジドアのリアドアをスライド仕様に改造して披露している。なお、スライドドアの機構は汎用タイプとなっており、多彩な車両に対応しているとのこと。

オフィス清水のブースでは、輸入車に各種装置を取り付けた車両を展示した。こちらはMINI クロスオーバー
MINI クロスオーバーのリアドアはスライドドア化している。構造は車内側で完結しており、ドアを閉めると通常モデルと見た目では区別が付かない
スライドドアの仕組み。厳密にはスライドではないが、ドアが前後に動いて狭い場所でも開口部を広くとることができる。後付機構なので、クルマを買い替えたときに次の車両に載せ替えることも可能だという
MINI クロスオーバーは運転補助装置も装着。ステアリングホイールに追加したリングやレバーでなどコントロールする方式
「フィアット 500」に回転シートを装着した車両。左ハンドル仕様の助手席を変更している
輸入代理店のジー・エス・ティーはグイドシンプレックスの運転補助装置を装着した車両を展示
自動車メーカーに運転補助装置を供給しているニッシン自動車工業も、自社ブースを設置して製品展示を行っている

(正田拓也)