本田技研工業は9月17日、ツインリンクもてぎ(栃木県茂木町)南コースで同施設内にあるミュージアム「ホンダコレクションホール」で動態保存されているマシンの走行確認テストを行った。
このテストは通常は不定期に行われているが、この日は事前にツインリンクもてぎ公式Facebookやホンダコレクションホールのブログなどで開催の告知が行われていたため、大勢のファンが来場して往年の名車の走りとサウンドを楽しんだ。
4輪車はホンダF1第2期に世界を席巻した黄金時代の3台が走行
今回確認テストを行ったマシンは、4輪車、2輪車合わせて9台。うち4輪車はホンダのF1活動の黄金期ともいえる第2期の3台。1986年にナイジェル・マンセルがドライブした「ウィリアムズ ホンダ FW11」、1988年にアイルトン・セナがドライブした「マクラーレン ホンダ MP4/4」、1989年にアラン・プロストがドライブした「マクラーレン ホンダ MP4/5」が走行している。なお、今回走行する4輪マシンは、すべて栃木県の本田技術研究所四輪R&Dセンターでメンテナンスされている。
●ウィリアムズ ホンダ FW11(1986年)
ウィリアムズ ホンダ FW11のエンジン始動チェック ナイジェル・マンセル、ネルソン・ピケのコンビでホンダ初のF1コンストラクターズタイトルを獲得した記念すべきモデル 1.5リッターV型6気筒ターボエンジン。写真右側が車両前方となる ●マクラーレン ホンダ MP4/4(1988年)
マクラーレン ホンダ MP4/4のエンジン始動チェック アラン・プロスト、アイルトン・セナのコンビでシーズン16戦中15勝を挙げ、圧倒的な強さでF1コンストラクターズタイトルとドライバーズタイトル(アイルトン・セナ)を獲得したモデル 圧倒的な速さを誇った1.5リッターV型6気筒ターボエンジン ●マクラーレン ホンダ MP4/5(1989年)
マクラーレン ホンダ MP4/5のエンジン始動チェック 前年の1988年に続いてF1コンストラクターズタイトルとドライバーズタイトル(アラン・プロスト)のダブルタイトルを獲得したモデル セナ、プロストによる熾烈なタイトル争いで起こった鈴鹿のシケインでの接触は多くのファンの記憶に残った 展示中は現役当時のGOODYEARを装着するが、今回のような走行時には今でも新品が入手できるAVONのタイヤにスイッチ 2輪車ではホンダモータースポーツの原点「RC142」など6台が走行
2輪車では市販車ベースではない本格的レーシングエンジンを開発し、マン島TTレースに初挑戦した「RC142」が走行した。そのほか世界に挑み続けた5台のマシンも走り、集まったファンを魅了した。
●RC142(1959年)
ホンダ初のレーシングマシンで、今もなお世界のモータースポーツに挑み続けているホンダの記念碑マシン。MotoGPやF1への挑戦も、すべてはここから始まったのだ ●CB750R(1973年)
走行したのはカウルにトリコロールカラーを初採用し、デイトナ200では隅田守男選手が6位入賞を果たしたマシン ●NS500(1984年)
新型NSR500と混在していた1984年WGPで、フレディ・スペンサーは旧型にあたるこのV型3気筒マシンでドイツGPの優勝を勝ち取った ●RVF750(1991年)
ワイン・ガードナーとマイケル・ドゥーハンのGPライダーペアによって鈴鹿8耐の優勝を勝ち取ったマシン ●NSR500(1997年)
マイケル・ドゥーハンが年間12勝を挙げてライダーズ チャンピオンを獲得し、ホンダにマニュファクチャラーズタイトルをもたらしたマシン ●NSR250(2001年)
加藤大治郎が年間11勝を挙げてライダーズ チャンピオンを獲得し、ホンダにマニュファクチャラーズタイトルをもたらしたV型2気筒マシン 4輪、2輪ともに宮城光氏がテストドライブを担当した 鈴鹿サーキットでのデモランに向け、調整を繰り返すマクラーレン ホンダ MP4/4 この走行確認テストは、先輩から若手に技術を伝承することも重要な役割 輝かしい歴史を飾った歴代レーシングマシンがずらりと並ぶ 不定期開催にも関わらずWebサイトの情報などをもとに多くのギャラリーが集まった