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自工会池会長、「日本経済が成長を続けていくために、自動車業界が果たすべき役割は非常に大きい」
2015年「自動車工業団体新春賀詞交歓会」にて
(2015/1/7 00:00)
- 2015年1月6日開催
日本自動車工業会、日本自動車部品工業会、日本自動車車体工業会、日本自動車機械器具工業会の自動車工業4団体は1月6日、2015年の「自動車工業団体新春賀詞交歓会」を都内で開催した。
今回の賀詞交歓会では、2014年から自工会の会長に就任した池史彦氏のほか、宮沢洋一経済産業大臣、太田昭宏国土交通大臣、菅義偉官房長官が新年の挨拶を述べた。
各要人のコメント(抜粋)を以下に記す。
池史彦自工会会長
自動車工業4団体を代表して、新年のご挨拶をさせていただきます。
昨年の税制改正では、足下の国内販売の状況などを勘案していただき、エコカー減税によるユーザーの負担軽減、軽自動車への軽課措置の導入、2輪車増税の1年間延期などを決定していただきました。おかげさまでユーザーの負担増や国内販売に対する影響などを最小限に抑えることができるものと考えております。関係するみなさまには、衆議院議員選挙後から年末までという非常に短い時間にとりまとめていただき、誠にありがとうございました。
また、来年度の法人税も、実効税率については実質的に減税になる形で引き下げられ、さらには研究開発税制についても減税措置が講じられたことは、厳しい国際競争にさらされている私ども自動車産業にとって、競争力の強化につながるものと深く御礼申し上げます。自動車業界といたしましては、今回の税制改正でご高配いただいたことをふまえ、魅力的な商品の投入などで需要の喚起を図るべく、いっそうの努力をして参ります。引き続き、ご支援、ご協力をお願い申し上げます。
昨年はアベノミクスにより、日本経済は20年近く続いたデフレからの脱却、持続的な経済成長に向けての始動を始めた年であったかと思います。とは言うものの、足下の国内自動車市場に目を向けますと、4月の消費税増税に伴う消費マインドの冷え込みや、増税前の駆け込み需要の反動減が予想以上に長期化して、持続的成長に向けての試練に直面した年でもあったと思います。日本経済が成長を続けていくためにも、これから私ども自動車業界が牽引役として、経済・社会に対して果たすべき役割は非常に大きいものと思っております。
その役割を果たすためにも、自動車業界としては次の3つに取り組んで参ります。1つは日本のもの作りの基盤を守るために国内生産と雇用の維持に努め、先進的な技術開発、人材多様性への対応、国際競争力の強化などによって収益を上げ、報酬への還元や納税などを通じてすべてのステークホルダーと社会に対して貢献して参ります。
2つめは国内市場を活性化させるために、これまで以上に価値の高い商品や新技術の提供により、需要を喚起するとともにクルマやバイクの魅力を積極的に発信して参ります。
3つめでは、安全・快適で持続可能なクルマ、バイク社会を創造するために、政府が掲げている「世界一安全な道路交通社会の実現」という目標の達成に向けまして、自動運転技術の導入と普及、また、クルマとインフラが協調した予防安全技術の実用化などを図っていきます。
さて、今年10月には東京モーターショーを開催いたします。モーターショーはメーカー各社が切磋琢磨して開発した技術を搭載する、あこがれや驚きをもたらすクルマを披露する場であります。一方で主催者テーマ事業として実施する「スマートモビリティシティ」では、自動車のみならず、住宅やインフラなど多様な業種の参加による“オールジャパン”の体制で、次世代自動車を取り巻く新たな社会システムとライフスタイルを提案する予定でございます。
2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、東京という街が“未来モビリティ”のショーケースになると思っております。東京モーターショーは2020年までに、本年を含めて3回開催されます。今回はその第1弾として、「スマートモビリティシティ」を“未来モビリティ”のショーケースのミニチュア版として提案していきたいと考えております。さらには2017年に第2弾、2019年に第3弾と回数を重ねまして、“未来モビリティ”のショーケースの進化形を提案できればと考えております。まずは第1弾となる今年の東京モーターショーにご期待いただきまして、みなさまがたにはぜひとも会場に足をお運びいただければと思います。
最後になりますが、本年もみなさまがたのご理解、ご協力のもと、自動車工業4団体が一丸となって、日本経済、社会の発展に貢献してまいる所存でございますので、引き続きご支援、ご鞭撻賜りますようよろしくお願い申し上げます。
宮沢洋一経済産業大臣
昨年は突然、暮れの時期に選挙となりまして、予算、税制等のスケジュールがかなり遅れてしまいました。予算はまだこれからでありますが、景気対策や税制につきましてはなんとか年内中に完成することができました。とくに税制につきましては、法人税率の実効税率の引き下げという問題が、これから数年間で20%台を目指すということでありますが、私自身も経団連の幹部の方との会合で「少なくとも2.5%は目指したい」といって狼煙を上げた立場でございます。なんとか、0.01ではありますが、この2.5%を超える引き下げを実現したことを、本当によかったなと思っております。
申し上げるまでもなく、自動車産業はわが国の経済を支えており、雇用だけでも545万人。我々はここ数年、なにか起こるたびに自動車産業の大きさを痛感して参りました。2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災。一昨年にアベノミクスが始まって急加速できたのは、まさに円安効果によって自動車産業が元気になったことです。本当に我々の国に置ける経済で、みなさまが占めている大きさを常に実感しながら仕事をしております。
そういった点から考えますと、少し新車販売が落ち込んでいるというのは大変心配なことです。先ほど池会長からもお話しがありましたが、自動車税制でのエコカー減税、軽自動車に対する軽課といったものが、昨年末になんとか実現できたことは大変よかったと考えております。
昨年の10月までは、私は税制を審査、査定する側におりましたが、10月半ばからは要求官庁の側になりまして、景色もかなり違って見えます。一昨年の暮れには、自動車業界は少し足並みが乱れているかなという印象を持ちましたが、昨年は一致団結して目標に向かって進んでいただいたなと思っています。
今年1年、アベノミクスをなんとか成功させなければいけません。成長戦略を全国津々浦々で感じていただかなければいけません。中小企業にも感じていただかなければいけません。我々も精一杯がんばるつもりですが、みなさまと手を取り合って今年1年をよい年にしたいと申し上げて、新春のご挨拶とさせていただきます。
太田昭宏国土交通大臣
今日、初閣議がありまして、昼には初めての政府与党との協議会がありました。なんとか今年は経済を、隅々まで実感が得られるというところまで持っていこうという考えで一致して、スタートを切ったところでございます。隅々までと言いましても、やはり牽引力がなければなりません。
日本では、どうも政治は「稼ぐ」と言うより分配論があまりにも多すぎるという気がしておりました。稼ぐという角度、そして「削る」という行革、「守る」という社会保障で、とくに稼ぐという角度が不足し、長年のデフレということから、なんとなく心の中まで「あれをやっても駄目だろう、これをやっても駄目だろう」と萎縮しているという“心のデフレ”にさいなまれていて、これを脱却できるかどうかの一番大事な年が、私は今年であろうと思います。
まさにその牽引力として稼いでいただくのは、みなさまがた自動車産業でございます。その意味では、みなさまがたとともに、アベノミクスの成功というよりは、私は2020年に日本をどこまで持っていけるか、さらにポスト2020年、オリンピックのあとにも同じように景気がきちっとした上昇機運でいけるように、オリンピックまでの5年、オリンピックのあとの5年が日本の命運をかけた10年になると私は思っております。
私は3日にベトナムに行きまして、ニャッタン橋という長大な橋を日本企業が作り上げ、道路もODAで作り、空港でもハノイ国際空港の第2ターミナルを造っております。いずれも関係していて、日本はよい国である、優れた国である、日本製品は素晴らしい、日本の造ったインフラは素晴らしいという評価をいただいて、これはそのまま外交にも大きく展開されます。みなさまとともに、2025年を目指した日本の命運をかけた10年のため、自動車業界はその牽引力となってがんばっていただけますよう、そして私たちは環境整備をしっかりするという決意を表明させていただき、ご挨拶とさせていただきます。