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安倍総理、「ものづくりの日本を取り戻したい。その中心にあるのが自動車産業」

2013年の「自動車工業団体賀詞交歓会」が開催

自動車工業団体賀詞交歓会に出席した各自動車団体の代表者
2013年1月7日開催

 日本自動車工業会(自工会)、日本自動車部品工業会、日本自動車車体工業会、日本自動車機械器具工業会は1月7日、2013年の「自動車工業団体賀詞交歓会」を都内で開催した。

 今回の賀詞交歓会では、自工会の豊田章男会長が挨拶を行ったほか、新政権から茂木敏充経済産業大臣、太田昭宏国土交通大臣、そして安倍晋三総理大臣が新年の挨拶を述べた。

 各要人のコメント(抜粋)を以下に記す。

豊田章男 自工会会長

豊田章男 自工会会長

 自動車工業4団体を代表して、一言挨拶をさせていただきます。

 自動車産業はここ数年、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、タイの洪水、そして、昨年の中国における反日デモなど、さまざまな試練に見舞われました。2013年、こうして新年を迎えられますのも、支えていただいた多くの皆様方のおかげだと思います。皆様の日頃のご支援に改めて御礼申し上げますとともに、感謝の気持ちを大切に、本年も自動車産業の発展に尽くしてまいりたいと思います。

 さて、昨年末に新政権・安部新内閣が発足いたしました。自民党の政権公約によりますと、デフレ・円高からの脱却を最優先に、「失われた国民所得50兆円奪還プロジェクト」を展開し、縮小・均衡の分配政策から成長による富の創出への転換を図るとあります。そして、その実現に向けては従来の貿易立国に国内の新たな付加価値を創造する産業投資立国を加え、これらの双発エンジンが互いに相乗効果を発揮する「ハイブリッド経済立国」を目指すとあります。私は、大変心強い決意表明であると思いますし、安部内閣が日本経済の再生に向けて年初より力強く指導されていることを心よりご期待申し上げております。

 そして、私たち自動車産業も日本のものづくりの代表選手として、この日本経済再生の中軸を担っていかなければならないと思っております。今こそ、私たち自動車産業の底力を発揮し、魅力的なクルマづくりと新しい価値の創造に最大限の努力を注いでまいります。そして、安全・安心で環境に優しい技術で世界をリードし、お客様や社会のご期待に応えてまいりたいと思います。

 本年11月には第43回東京モーターショーが開催されます。1人でも多くの方々に「クルマって、バイクっていいよね」と感じていただき、クルマやバイクの明るい未来を感じていただけるようなショーにしたいと思っております。そして、「日本ここにあり」というところを世界に発信してまいりたいと思います。

 このように、本年も自動車業界自らが国内市場を元気にするための努力を続けておりますが、政府にはお客様に過重な負担を強いている車体課税の抜本的な見直しをぜひともお願いしたいと思います。年初より平成25年度税制改正に向けた検討が本格化してまいりますが、自動車取得税、自動車重量税の廃止を強く訴えてまいります。

 以上のように、今年も関係各位のご理解・ご協力のもと自動車工業4団体が一丸となって、日本経済の発展に貢献してまいる所存でございますので、倍旧のご支援・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

茂木敏充経済産業大臣

茂木敏充経済産業大臣

 国民が安部政権に期待していること。これはまさに政策の実現能力であります。そしてその一丁目一番地が、経済の再生、景気の回復、こういったことになってまいります。三本の矢でこの対策を取っていきたい、その1つがやはり明確な物価目標、そして大胆な金融緩和によってデフレ・円高から一日も早く脱却することであります。そして2つ目には、機動的な財政運営によって有効需要をしっかりと作り出すこと。3つ目には成長戦略。これによって民間の研究開発・設備投資、こういったものを完備していきたいと考えています。豊田会長はスポーツカーを運転するようでありますけれど、我々はロケットスタートでこの問題に取り組んでいきたいと考えています。

 自動車産業を取り巻くさまざまな課題があります。しかし、自動車産業が日本経済の4番バッターであることに変わりはないわけであります。545万人の雇用を支え、そしてまた14兆円の輸出を稼ぎ出す。そして製造業の出荷額の2割を占めると、まさに日本の基幹産業であります。自動車の復活なくして日本経済の再生はない。こういう想いで我々も取り組みをしていきたいと考えております。

 とくに車体課税の問題、これは今月決着になります。過剰な負担にならないように、取得税そして重量税の撤廃に向けて我々も頑張っています。ぜひ、ご協力いただければと、このように考えている次第でございます。

 今年は巳年です。十二支の中で唯一脱皮をする動物であります。まさに再生・復活のシンボル。日本経済にとって、また自動車産業にとって、今年が復活の素晴らしい一年になりますことを心からご祈念申しまして、新春にあたってのご挨拶とさせていただきます。

太田昭宏国土交通大臣

太田昭宏国土交通大臣

 今回、国土交通大臣という皆様に直結する役割をいただきました。これまで長くいただいた皆様方のご芳情、そして期待、そして何をやらなければいけないかという課題、すべて真正面から取り組んでいく決意であります。

 安部総理の話におそらく尽きるんだろうと思います。しかし、総理が来ること自体、私は自動車産業が日本経済再生のけん引役であるということを、私たちがいかに思っているかということの表れであると感じていただければと思っております。

 私は、街をまわっているととにかく景気・経済を何とかしてくれと、あるいは尖閣諸島の問題をはじめとする諸問題の中で、日本は壊れるのではないかという大変足場が崩落するような感を多くの人が抱いている中で、本当に危機突破をする内閣でしっかりと結束し、仕事をしていかなければならないという決意をしております。

 そして東北復興については、すべての大臣が復興大臣のつもりで、防災・減災をはじめとする危機管理に全力を尽くす。安部内閣は結束して今、戦いを開始したところであります。

 経済におきましては非常に円高で、皆様にご迷惑をおかけしたのは私たちではありません。そうした状況であったと思いますが、まさにデフレ脱却、そして円高阻止、そうしたことについて、すでに動きが解消されたと思います。金融政策と財政政策、産業支援政策。最近は滞っていたように感じますが、この産業支援政策と規制緩和、これらを総動員して景気回復に全力を尽くすという覚悟でごさいます。これが安部内閣の至上命題であるわけでありますが、そういう中でのけん引力は自動車産業であるということを強く認識しているところであります。

 自動車産業は6重苦だ、中国を入れると7重苦という言葉もあるようでありますが、1つ1つ解決して突破することが私たちの課題であると思っています。私たちはそこで車体課税の抜本的な見直しということに力を合わせて頑張っていく決意であります。

安倍晋三総理大臣

安倍晋三総理大臣

 昨年の選挙では、ここにいる大半の皆様にはおそらくご支援をいただいたのではないかと思います。そのおかげを持ちまして、今年与党として政権を担う立場として新春を迎えることになりました。同時に我々は、極めて重い責任を持ってこの新春の門出を迎えることになったわけでありますが、我々に与えられた使命は強い経済を取り戻すことであります。私たちは経済を成長させ、それを元に富を生み出し、皆に分配をしていく。こういう日本を作っていきたいと思っているわけであります。

 とくにものづくりは極めて重要であります。ものづくりの日本を取り戻したい。その中心にあるのがまさに自動車産業であります。今まで頑張って頑張って知恵を出しても、残念ながら超円高によってなかなか競争に勝てない、あるいはそれによって工場を海外に移らさざるを得ない、工場を閉めざるを得ない。これはおかしいと私は考えました。頑張っている人が報われる社会を作り、絞り出した知恵が評価される社会を作ってべきなんだろうと。同じスタートラインに立てば、日本は絶対に負けない。これが私の信念であります。その中において、大胆な金融政策や機動的な財政運営、そして民間投資を引き出す成長戦略の3本の矢によって日本を復活させたい、強い日本経済を取り戻していきたいと考えております。

 今年はへび年でございます。私も6年前に総理大臣をやっていたわけでありますが、6年経ちまして脱皮をしまして一皮むけたと。柔軟に、大胆に、しかし慎重にやっていきたいと、こう思うわけであります。日本経済が復活し、そして日本が誇りを取り戻す。日本人が豊かな日本で人生を送れるような、そのような日本を目指したいと思うわけであります。

 ご来場された皆様の今年一年間のご多幸を祈念いたしまして、私からのご挨拶とさせていただきたいと思います。

(編集部:小林 隆)