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高橋敏也の東京オートサロン カロッツェリアブースに行ってみた
29V型ディスプレイ「センターコネクトディスプレイ」に驚く
(2015/1/29 12:54)
私だって東京オートサロンのウワサぐらいは耳にしたことがある。それは世界最大級を誇る、カスタムカーの祭典だと聞いた。オーソドックスなものから豪華なもの、性能を追求したものから美しさを追求したもの。ありとあらゆる最新のカスタムカーが展示され、カスタムショップやパーツメーカーなどが集うのだという。もちろん私は行ったことがないので、実際の雰囲気がどのようなものかは知らない。まあ、私のクルマに対する興味はカスタムが中心ではないので、機会があったら行ってみたいなあぐらいに思っていた。
ちなみに今年の「東京オートサロン 2015 with NAPAC」は1月9日から11日まで、千葉の幕張メッセで開催された。そして中日の1月10日、なぜか私はその東京オートサロンにいたのである。話せば短いことながら、要は「東京オートサロン 2015にカロッツェリア(パイオニア)が出展します。そのブースにCDLのコーナーがあるので取材するように」ということなのだ。不肖・高橋、CDLと聞いては黙っていられない。なぜなら私は「CDL=CYBER DRIVE LAB」のれっきとした研究員なのだから!
そんな訳で向かった東京オートサロン 2015、大変なものであった。普段、クルマ関係の取材へ行くときは、サイバーナビを搭載した愛車、トヨタのハチロクで向かう。だが、事前に知人から得た情報では「東京オートサロンへ取材に行くなら公共交通機関を使うこと。当日の早朝、うんと早い時間に行くならいいが、とにかく会場周辺は混雑するし、駐車場を確保するのが大変」とのこと。その忠告どおり、公共交通機関を使って会場へ向かったのだが、当日の幕張メッセ周辺を見て、つくづくそれが正しかったことが分かった。1月10日、幕張メッセ。会場の中はもちろん、その周辺もカスタムカーで埋め尽くされていたのだ。
ツアーから始まるCDLの東京オートサロン
私はほかの取材もあったため参加しなかったが、CDL研究員のために用意したプログラムは、朝の10時から始まる。「スペシャルガイドによる東京オートサロン 2015 with NAPAC会場ツアー」がそれだ。東京オートサロンのスペシャリストであり、三栄書房(東京オートサロンを後援する出版社)で自動車専門誌の編集を長年担当してきた赤嶺文昭氏がガイドを務めてくれるツアーが用意されていたのだ。はっきり言って東京オートサロン、規模があまりに大きすぎて、初めての来場だとどこをどう見て、どう楽しめばいいか迷ってしまう。そんな東京オートサロン初心者には絶好のコンテンツである。
しかし、会場に入った高橋研究員が向かったのはカロッツェリアブース。初東京オートサロンの私としてはツアーに参加したい気持ちもあったのだが、ブースの取材が最優先事項。カロッツェリアブースは人気があるため、午後になればさらに混雑する。その前に取材を済まさなくてはならない訳だが、いや、なんのことはない、午前中からしっかり混雑してましたがな。
余裕を取りつつレイアウトされたカロッツェリアブースには展示車両が3台。1台はコマーシャルなどでもおなじみの、HUD(ヘッドアップディスプレイ)付属のサイバーナビを搭載したAudi R8。残り2台はカーナビの楽しみ方、その新しい方向性を示すコンセプトカーだった。さらにカーオーディオシステムやカーナビの実機が展示され、その多くは実際に操作できるようになっていた。
そしてブースの一角に、目的の場所を発見! そう、CDL研究員専用スペース「プレミアムラウンジ」である! プレミアムですよあなた、プレミアム! しかもCDL研究員の専用スペースなのだ! そりゃあもう、プレミアムなスペースに違いないと勢い込んで入っていたら……洒落た感じのする談笑スペースでした。そりゃそうだよねと自己完結しつつ、設置した目的を聞いてみたところ、基本的には研究員同士、研究員とカロッツェリアスタッフのコミュニケーションスペースとして用意したとのこと。
さらにプレミアムラウンジでは名前入り研究員証を発行したり、CDL特製ステッカーをプレゼントしたりする企画が設けられていた。このプレミアムラウンジ、カロッツェリアブースを見渡せる一段高いところに用意されていた。ブース側から中の様子を伺いつつ、「ここはなに?」とスタッフに質問する来場者の姿もあった。これをきっかけにCDL研究員が増えてくれるといいのだが。
CONCEPT 001は「TECHNOLOGY COMMUNICATION」
今回の東京オートサロン 2015に登場したカロッツェリアのコンセプトカー2台のテーマは、共に「コミュニケーション」がキーワードとなっている。そして第1のコンセプトカー「CONCEPT 001」は「近い将来に向けたカロッツェリアからの提案」、テクノロジーを活用してドライブにさまざまなコミュニケーションを取り入れたものに仕上がっていた(注:ここで紹介している機器はいずれも開発中の参考出品)。
まず驚かされるのが、リアシートに向けて設けられた29V型という、圧倒的に巨大な「センターコネクトディスプレイ」。実際にリアシートに座ると分かるのだが、この29V型ディスプレイのせいで、リアシートからは前が見えない。正確に言うと「前を直接的に見ることは出来ない」のだ。そしてここからが面白い。なんとフロントカメラで撮影した映像を、このディスプレイに映し出すことで、リアシートから前方を見ることができるのである。
もちろんそれだけのためにこのディスプレイがある訳ではない。前方を見通せるモードは「ドライブモード」と名付けられているのだが、さらに5つのモードが提案されているのだ。「コミュニケーションモード」では車内カメラを通して、ドライバーなどの「顔」を見ながら話をすることができる。リアシートにいてドライバーと話をする場合、通常はドライバーの後頭部に語りかけることになる。だが、このシステムでは表情を見ながら、対面しているかのようにコミュニケーションが楽しめるのだ。
さらに「ドライブモード」と「コミュニケーションモード」で驚かされるのは、フレンズカーモードだろう。このフレンズカーモード、要するにほかのクルマとネットワークを介して接続し、接続したクルマの人々とコミュニケーションを楽しんだり、ほかのクルマのフロントカメラの映像を表示できたりするのだ。例えば2台のクルマに分乗してドライブに出かけたとする。最近はスマホでハンズフリーの会話なども行えるが、車内全体のコミュニケーションを図るのは難しい。だが、カロッツェリアの提案するシステムがあれば、2台以上のクルマのコミュニケーションをシームレスに楽しめるようになる。
「ドライブモード」のフレンズカーモードもかなり楽しいものになるだろう。例えば先行する友人のクルマから見える風景を、後続のクルマからリアルタイムで楽しむことができるのだ。2台のクルマの距離が近ければ、自分が乗っているクルマを見ることだって出来る。いや、ネットワークを介して接続されていればいいのだから、遠隔地のクルマの映像を見ることだってできる。海へ向かうクルマの中で、峠のドライブを楽しむクルマの映像を見ることができるのだ。
ほかにも音楽を楽しむ「ミュージックモード」、カラオケを楽しむ「カラオケモード」、映画などを楽しむ「ムービーモード」、リアシートからカーナビを操作する「ナビモード」などが29V型ディスプレイに表示される。さらに29V型ディスプレイの下に目をやると、そこにはタブレット端末としても使用できる「プライベートディスプレイ&コネクトインターカム」が取り付けられている。リアシートのパッセンジャーが個々に何かを楽しみたい時は、こちらを活用する訳だ。
運転席と助手席の間には音楽に合わせて美しいイルミネーションを見せてくれる「センターコネクトテーブル」があり、そのテーブルのリヤシート側には「エンタテインメントコントローラー」が装備されている。トラックボールを内蔵し、ナビモード時のマップスクロールなどにも利用できるコントローラーは、マイクとしても機能する。そう、カラオケモードにしている時は、マイクに変身するのである。
カロッツェリアの提案する近未来のカーナビシステムは、コミュニケーションとエンタテインメントを融合させたものということだ。ドライブを楽しむだけでなく、コミュニケーションとエンタテインメントを楽しむ。カーライフの価値をより一層、高める効果があると私は思う。
CONCEPT 002は「EMOTIONAL COMMUNICATION」
CONCEPT 001が「近い将来」、すなわち近未来への提案だとしたら、「CONCEPT 002」は限りなく「今」に向けた提案だと言える。もっとも001、002共に「コミュニケーション」を中心とした提案であることが共通しているのだが。
CONCEPT 002はトヨタのbBオープンデッキをベースに作られたコンセプトカーだ。クルマ選びのポータルサイト、オートックワンの学生カーソムリエとカロッツェリアがコラボして作られたもので、ベース車両は学生カーソムリエが選んだものだという。カロッツェリアの担当者に話を聞いたところ「大学生がまさか十数年前の中古車をベースに選ぶとは思ってもいなかったので驚いた」とのこと。確かにbBオープンデッキは2001年から2003年に販売されていたクルマで、十数年前のモデルなのだ。だが、そんなクルマが学生カーソムリエの考える「情感的なコミュニケーション」にピッタリだったのだろう。
基本的なコンセプトはコミュニケーションだが、このクルマの特徴は「クルマの中と外で同じように楽しめる」ということ。そのためのオープンデッキ側にも、クルマ内部と同様に充実したカーオーディオシステムが配備されている。ドライブで目的地に到着した後、音楽を聴きながら皆でコミュニケーションを楽しむ。晴れた日ならコーヒーでも飲みながら、ゆったり時間を過ごせそうな雰囲気だ。
またこのCONCEPT 002は、ビジュアルも重要視している。特に内装の凝り具合は相当なものなのだが、興味深いのは「できる限りDIYした」という点だ。例えばフロアカーペットは色や質感を重視して選んだものだが、これはホームセンターで販売されているカーペットを流用したものだそうだ。助手席の背面に取り付けられ、停車時にはテーブルにもなるウッドボードは、実際に学生たちが表面を焼いて処理したもの。手間をかけて自分たちの手でクルマをカスタマイズする楽しみを追求していると言える。ちなみにカロッツェリアからは26歳の若いデザイナーがプロジェクトに参加したという。
ウェアラブルカメラでデモカーをリポート!
カロッツェリアブースを取材しているうちに、CDLの会場ツアー組が到着した。十数人のツアーだったようだが、東京オートサロン会場内は音楽や会話が入り交じり、もはや喧噪と言ってもいいほど。そんな中でツアー参加者は、どのように解説を聞いていたのだろうか? その疑問は参加者の耳元を見て氷解した。参加者たちはレシーバーを装着してスタッフの指示や、赤嶺氏の解説を聞いていたのである。
私もようやくCDLメンバーと合流出来た訳で、ちょっとホッとしていたら、CDLイベントで何度か会ったことのあるメンバーから「お久しぶりです」などと声をかけてもらったり。CDLの中で横の繋がりが次第にできつつあるということだろう。
ほかのCDLメンバーと合流後、最後に待っていたのは、ユニークなコンテンツ「カロッツェリアブース オフィシャルレポーター」の体験である。このコンテンツ、CDL研究員が最近流行しているウェアラブルカメラを身体に装着し、ブースやデモカーを「リアルな目線」で撮影してリポートするというもの。私もさっそくチャレンジしてみた。
ウェアラブルカメラは頭部にバンドで装着するタイプで、このためカメラアングルはレポーターの視線とほぼ一緒になる。要するにレポーターの視線がそのまま映像になるというもので、そのレポーターが例えばデモカーのどこに注目しているかが一目瞭然となるのである。ブースにしろデモカーにしろ、カロッツェリアの担当者が解説をしてくれるので、レポーターとのやり取り、すなわち会話がリポートとなる。
ちなみにこの様子は「後日編集」されてから、CDLのサイトにアップされるとのこと。編集されるということは、高橋研究員渾身のリポートが「まるまるカット」される可能性もあるということだ。ああ、もっと何かこう、いいこと言っておくべきだったと後悔している今日この頃。
さて、人生初の東京オートサロン、じっくりという訳にはいかなかったが、カロッツェリアブースを中心にしっかり楽しませてもらった。私個人の感想を言わせてもらうと、なんというか基本的に「活気溢れる」イベントだと思う。クルマのカスタマイズ好きにはたまらないイベントであることは当然だが、単純にクルマ好きというだけでも充分に楽しめるイベントだ。なお、会場は広く、出展ブースもとんでもなく多いので、時間配分を考えないと1日で回りきることは不可能なので注意すること。
オフィシャルレポーター体験を終え、今回のイベント参加ステッカーを貰って、今回のCDL研究員としての役割は完了。さっそくイベント参加ステッカーを、CDL研究員証の裏に貼り付けて悦に入る高橋研究員。私のイベント参加ステッカーは、今回のもので3枚目である。まだまだステッカーを貼る余裕はある訳だし、次のCDLイベントが楽しみだ。