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高橋敏也の「CYBER DRIVE LAB - 1st MEETING in Akihabara」に参加してきた
「研究員」として参加し、パイオニアの本気を感じた
(2014/7/28 00:00)
不肖・高橋、半世紀ほど生きてきた中で2回、「研究員」という肩書きを使用した。最初の研究員はまあ、昔の話なので割愛しよう。もう一つの研究員はというと、実はこれが成り立てのほやほやで、しかも現在継続中なのである。いや、これがもう真面目な話なのだから、自分でも驚いたり驚かなかったり(自分の意志でなったのだから驚くのもどうかと)。実は私「ドライブをエンタテインメントする研究所」の研究員なのである! そしてその研究所の名称こそ「CDL=CYBER DRIVE LAB」なのだ!
カーナビからドライブをエンタテインメントする
何やら不思議な用語が並んだので、ここで整理しておこう。まず「CDL」=「CYBER DRIVE LAB」(以下、CDL)だが、これはカーナビブランド「カロッツェリア」を誇るパイオニアが主催する「カーライフ探求の為の研究所」だ。カロッツェリアと言えば「楽ナビ」であったり、私の愛する「サイバーナビ」、そして高音質なカーオーディオシステムで有名な訳だが、そこがなぜ研究所? という疑問はもっともだと思う。
ここでキーになるのがパイオニアが、カーナビの役割は単に道案内をするだけではないと考えていることだ。カーナビを通じてカーライフはより楽しくなり、その価値が高まるとパイオニアは考えているのである。そしてそれを研究し追求するのがCDLであり、そのCDLに集うのが研究員という図式だ。ちなみに研究員は現在でも公募されており、カロッツェリアを使っているいないにかかわらずエントリーできる。まあ、私のようなサイバーナビ愛用者が飛びつくのは、当然の流れなのだが。
●CYBER DRIVE LAB
http://carrozzeria-cdl.jp/
そして去る6月29日、CDLにとって記念すべきイベントが開催された。CDL初となるミーティング、1st MEETINGが東京・秋葉原で開催されたのである。CDLの研究員100人限定、応募多数の場合は抽選となるこのイベント、サイバーナビの愛用者であり、CDLの研究員である不肖・高橋、もちろんこのイベントに参加した。
秋葉原UDXの地下駐車場はカロッツェリアで一杯
6月29日、1st MEETING当日。私はサイバーナビ、機種で言うとAVIC-ZH0009HUD(注:この型番を気に留めておいてほしい)を搭載したハチロクに乗り、会場となった秋葉原UDXへと向かった。秋葉原UDXには買い物などで来訪した人々が便利に利用できる、広大な地下駐車場がある。CDLはその駐車場の一角を、研究員のために貸し切っていた。そんなところからも、パイオニアのCDLに対する本気度が垣間見える。さらに地下駐車場の特設スペースにはカロッツェリアを搭載したデモカーが用意され、同シリーズの誇るハイエンドなオーディオシステムを視聴できるようになっていた。
メインの会場となったのは、秋葉原UDXの4階。そこにはトークセッションが行われるステージ、ドリンクやスイーツなどを楽しめるカフェ・ギャラリー、最新のカーナビを見て触ることができる展示コーナー、サイバードライブラボコーナーなどが用意されていた。
そんな中で注目を集めていたのは、やはり最新カロッツェリアの展示である。つい先日、パイオニアは新しいサイバーナビをリリースしている。その最新ラインアップの中にはサイバーナビ初の200mm幅ワイドモデルが含まれているのだ。私のようなトヨタ車ユーザーにとっては、これは大いに気になる存在である。また、AR HUD、サイバーナビのヘッドアップディスプレイを体験できるコーナーもあり、そちらも賑わっていた。
賑わっていたという意味では、カロッツェリアの歴代モデルを展示したアーカイブコーナーも大賑わい。特に昔からカロッツェリアの愛用者だった研究員にとっては、どれも懐かしい存在である。「これを愛用していた」とか「これはまだ家にある」とか、そういった話がそこここで聞かれた。中でも一際輝いていたのが世界初の一般向けGPSカーナビ、「AVIC-1」である。製品自体もエポックメイキングな存在だが、さらにそのキャッチコピー「道は星に聞く」を憶えている人も多いだろう。そんな懐かしい製品から、仮想現実を取り込んだ最新製品まで、展示内容も相当に充実したイベントである。
イベントのオープニングはパイオニア常務執行役員、仲野隆茂氏の挨拶で始まった。仲野氏は「パイオニアにはもともと世の中にないモノを送り出して、自ら市場を創造して行くというDNAがある」、さらに「サイトでの参加型企画や、このようなイベントを通じて研究員との交流を深めたい」と語った。そして最後にCDLの開設を宣言、記念すべき1st MEETING、キックオフミーティングが始まった。
次に登壇したのはパイオニア販売のマーケティング部、紺野賢一氏。紺野氏が語ったのは「フィロソフィー・オブ・カロッツェリア」、すなわちカロッツェリアの哲学に関してだ。といっても堅く考える必要もなく、要するにカロッツェリアとは何かという話だ。
ここでキーワードとなったのは「TRIP to the EDGE」という、「carrozzeria」ロゴの下に入っているコピー。意味的には「最先端を旅する」といったようになるが、このコピーにこめられているのは「先進の技術でお客さんを驚かせたい、魅了したい」といったことなのだそうだ。さらにキーワードとして紹介されたのが、私のサイバーナビで型番の一部となっている「AVIC」。これは「Audio Visual Information Communication」の頭文字をとったもの。カロッツェリアのカーナビ作りに対する思想を示しているのだという。オーディオやビジュアル、情報、そしてコミュニケーションを統合するのがカロッツェリアのカーナビ。そう、「カーナビの役割は単に道案内をするだけではない」という訳だ。
このほかにもカロッツェリア、カーナビの歴史などが紹介されたのだが、会場の雰囲気は上々。これはむしろ当然のことと言える。なぜならそこに集まっているのは、私も含めてCDLの研究員たちであり、そもそもカロッツェリアの製品、カーナビであったりカーオーディオに興味のある人々の集まりなのだから。
アニメとカーナビ、異色のコラボ
さて、ステージのメインイベントとなったのは、2つのトークセッションとカーオーディオ講座である。このほかサイバードライブラボコーナーでは「クルマをかっこよく見せる撮影術」講座などが行われた。撮影術講座はセッションやセミナーの合間に行われるようになっており、その気になれば参加者は全プログラムを楽しむことできる。ちょっと疲れたなと思ったら、カフェコーナーで休憩を取ってもいいだろう。
そうこうしているうちに最初のトークセッションが始まった。テーマは「カーナビの未来、ドライブの未来」。ゲストはアニメ「攻殻機動隊ARISE」の制作総指揮を執るProduction I.Gの石川光久氏、そして同じくProduction I.Gで「攻殻機動隊ARISE Border:2」を監督した竹内敦志氏。そこに司会としてモータージャーナリストの高山正寛氏、パネラーとしてパイオニアのカーエレクトロニクス事業統括部 山下元之氏が参加してトークが始まった。
「なぜ攻殻機動隊ARISEが、カロッツェリアのイベントに?」と疑問に思う人がいるかも知れない。だが、テーマである「カーナビの未来、ドライブの未来」に「攻殻機動隊ARISE Border:2」は、まさにぴったりマッチするのである。そもそも「攻殻機動隊」シリーズは近未来を舞台にしたストーリーであり、AR HUDといった先進技術を搭載したサイバーナビはイメージ的に限りなく近い。さらに(ネタバレになるので詳細は避けるが)「攻殻機動隊ARISE Border:2」ではストーリーの中で、その近未来の交通管制システムを扱っているのである。
ストーリーの中で交通管制システムが重要な役割を果たす上に、舞台は近未来。もちろん監督の竹内氏はそうしたことを念頭に、「攻殻機動隊ARISE Border:2」の世界をデザインした。劇中ではクルマのフロントガラスにホログラフ(立体視できる映像)やナビゲーションなどが表示されるシーンがあり、それが偶然にもAR HUDを採用したサイバーナビと感覚的、絵的に近いものとなった。これには竹内氏も、パイオニアの山下氏も驚いたという。竹内氏はサイバーナビを搭載したクルマを試乗した際、AR HUDを見て「近未来だと思ってデザインしたのに、もうここにあるじゃないか」と思ったとのこと。
いや、私の場合も似たようなものである。サイバーナビを導入したきっかけは、機能や性能をさておきAR HUDの存在だった。「あのヘッドアップディスプレイ(HUD)を自身で使うことができる!」ということは、私にとって近未来に飛び込むようなものだった。戦闘機乗りでもない自分が、HUDを使うことができる。その昔、SF小説などを書いていた私には、どれほど魅力的な誘いだったか。手が届きそうで届かない、近しい未来をサイバーナビなら手に入れられる。実際、AR HUDを運転席で見た時、それは興奮というより快感だった。深夜、鮮やかな表示をAR HUDの中に確認しつつ「システムリンク完了」とか呟いたのは、おっさんの遅れてきた中二病だったに違いない。
ちなみに私自身、攻殻機動隊は原作のマンガからのファンなので、その存在は攻殻機動隊ARISEも含めてよく知っている。個人的には人体の電脳化というポイントを理解した上で楽しんでほしいのだが、近未来のストーリーということもあり、そうした予備知識なしでも充分に楽しめる作品だと思っている。まあ、個人的には大好きなキャラクターであるサイトーとか、バトーとか、イシカワとか(渋いキャラが好きなんだって!)の話もしてほしいなと思ったり、思わなかったり……。
それとは別にアニメファンにとっては嬉しいコンテンツも出てきた。監督である竹内氏が自身でデザインしたクルマやバイク、はたまたジャンクションの設定原画などが登場し、それに関して竹内氏が自ら解説してくれたのである。先ほども書いたが竹内氏が監督した「攻殻機動隊ARISE Border:2」では、交通官制システムが重要な要素として登場する。そういったこともあって竹内氏はジャンクションをデザインした訳だが、当人曰く「ちょっとやりすぎた」というぐらい複雑。実はこれもちゃんと意味があり、恐ろしく複雑になった道路やジャンクションであるが故に交通管制システムが完備、それを逆手に取られるという……(ネタバレ自粛)。
セッションの内容に戻るが、さすがにアニメ業界とカーナビ業界、異色のコラボセッション。話題の方向性は多岐に渡る。例えば石川氏から飛び出したのは「カーナビと声優さんの接点」。そう、カーナビの音声はプロの声優さんがしゃべったものを収録し、組み合わせて利用しているのである。その量は膨大で、山下氏によればカロッツェリアの場合、全てを収録しようと思うと1カ月以上はかかるのだそうだ。
まとめに近づいたところで、話題はカーナビの未来に「3D+時間=4D」。サイバーナビのAR HUDであったり、画面上で見られる3Dグラフィックス。現在、カーナビは3Dまで進化した。ならば次はもう一つの次元を取り込み4D、4次元まで踏み込みたいということである。その際、キーワードとなるのが「時間」、詳しい説明はなかったがカロッツェリアのカーナビを通して、少し先の未来が見えるといったことを考えているらしい。それが渋滞予測なのか、天候予測なのか、はたまたスマートループ アイで蓄積されたデータを元にした何かなのか、現時点では分からない。いずれにしてもカーナビの進化は止まらないということだ。
ここであえて個人的な要望を言わせてもらうと、「情報共用」と「コミュニケーション」に力を入れてもらいたい。まず1つはネットを介したドライバー間の情報共有。すでにスマートループ アイは画像データの共有を果たしているが、例えばそこにコメントをつけることができて(具体的には音声だろうか?)、それを共有することができる。共有するデータの深度を深めてほしいということだ。
「コミュニケーション」に関しては2つ要望がある。1つはドライバー同士のコミュニケーション。カーナビを介したSNSというのもあるだろうし、安全面をクリアできるなら、匿名ドライバー同士の音声チャットというのもありだろう(匿名というのはどうかと自分でも思うけど)。そしてもう1つが「カーナビとのコミュニケーション」だ。某ナイト2XXXじゃないが、カーナビと会話できるようになるまではあと一歩のところにいる。居眠り感知システムと連動して「大丈夫ですか? 休憩を取りましょう!」とカーナビが発声する。サイバーナビは高度な音声認識機能を持っているのだから「天気は?」とか、「今日の運勢は?」と聞かれたらそれに答えられるところまで、あと一歩なのだ。
道路に関する濃いお話
2つ目のトークセッションは「圏央道開通取材レポート 道路の変化にカーナビはどう対応するのか」をテーマに、パネラーとしてカロッツェリアのマップデータを扱っているインクリメントP(MapFanの地図を作っている会社)の伊藤輝彦氏、パイオニアの矢野健一郎氏が壇上に。ゲストは我らがCar Watch編集長である谷川潔氏なのだが、谷川氏は同時にセッションの進行役も務めた。内容はテーマどおり、開通したばかりの圏央道、相模原愛川IC~高尾山ICの現場レポートを中心に「新しい道路にカーナビ、マップはどう対応するのか?」である。
ちなみに私の世代のサイバーナビにはロードクリエイターという機能が搭載されており、地図にない道路であっても、実際にそこを走行すると道路を自動生成し、その結果を反映させればルート探索の対象とすることができる。だが、さすがに圏央道の区間開通といった大きなイベントは、マップデータの更新で対応する。しかも今回は全データの更新という形で、2014年度 第1.0.0版が提供された。あ、しばらく更新やっていないという人は、アップデートマネージャーをチェックしてみてほしい。なお、データが大きいのでダウンロード予約をしなくてはならないが。
圏央道開通レポートに関しては、本サイトの別記事で詳しく紹介されているのでそちらを参照してほしい。セッションの方はまず実際に開通した区間の映像が流され、それを見ながら谷川氏が解説するという流れから始まった。さらに上記のマップデータ更新の話があったのだが、それと共にデータを更新してあるサイバーナビを使って、更新後のルート探索が実演されたのは面白かった。
●祝!!圏央道開通、東名高速と中央道を結ぶ圏央道を写真で紹介
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140703_656328.html
興味深かったのは今年の5月に発売された新型サイバーナビと、圏央道開通の話。実はこの圏央道の区間、当初の計画では昨年度内(つまり2014年3月まで)に開通する予定だった。ところがそれが延期されたため、いろいろ裏技的なことを行った(仕込んだ)というのである。要するにマップデータに関しては最新サイバーナビの場合、すでに開通区間のデータは入っており、それをアプリケーション上で使わない状態にしてあったのだという。もちろん開通後は、それをアップデートで使えるようにする訳だ。
さらに面白かったのは、サイバーナビのルート探索に関わる話。知っている人は知っていると思うが、カロッツェリアのカーナビは基本的に「最短時間」をベースにルート探索を行う。他社のカーナビでは「最短距離」をベースにしているものも多く、この「最短時間」というのは一つの特徴となっているのだ。このため例えば右折の場合、十字路よりもT字路の方が経験則として早く曲がることができるといったことも考慮されるのだという。
ほかにもカロッツェリアのマップデータには、さまざまな要素が詰め込まれている。その具体例として紹介されたのが、道路の高さ、分かりやすく言うと道路の傾斜に関するデータだ。ではこれを何に使うかというと、一番分かりやすいのは自車位置の判断、自分が一般道にいるのか高速道路にいるのかといった判断である。私は都内の通勤にクルマを使っており、ご存じのように都内を走ると一般道と高速道路が重なっている道路が多々見られる。以前、サイバーナビを導入する前は、そういったところで一般道なのに高速道路を走っていたりその逆だったりということが発生した。確かにサイバーナビに変更してから、そういった混乱はほとんどなくなった。
個人的に面白かったのは、谷川氏が「カーナビ、マップ作りに対するこだわりを締めの言葉も兼ねて教えてください」とお願いしたところ、伊藤氏から「男の人がもてる条件というのは3つあると思っていまして……」という発言が。えっ? もてる条件? さらに話を聞くと「一つ目は車の運転が上手いこと、二つ目は道路に詳しいこと、三つ目は電化製品の配線ができること」なのだそうだ。そして二つ目の「道路に詳しいこと」に寄与することにこだわり……というのは冗談で、「地図の会社として道路の鮮度にこだわりを持っている」ということだ。
矢野氏は「本来であればパイオニアの人間として、カロッツェリアの担当として話をすべきなのですが個人的な思い入れも含めたところで」と話を進めた。矢野氏は年間で2万km走るほどのクルマ好きということだが、日々個人的にカーナビと接していて「まだまだ」と感じることがあるという。もちろん仕事柄、さらに上を目指す訳だが、そこで悩むのが「いいルート」という課題。個人的に思う「いいルート」はあるが、それが利用者にとってもいいかは話が別。そこで行き着いたのがスマートループなのだという。スマートループを通して利用者のニーズ、さらには交通情報などが具体的に得られ、そこから一人ひとりが思う「いいルート」を導き出して行きたいとのこと。「まだまだ道は長いのですが」という言葉が印象に残った。
内容的には道路とマップデータにフォーカスした、かなり濃い内容のセッションとなったが、興味を持ってイベントに参加したCDLの研究員にとっては、むしろこれぐらい濃い内容がちょうどいいのかも知れないと思った。
私も設定しました、AUTO TA & EQ
ステージの最後を飾ったのはパイオニア販売の末次武志氏、テーマは「カーオーディオ講座」。カロッツェリアと言えば「サイバーナビ」「楽ナビ」に代表されるカーナビゲーションシステムに目を向けがちだが、実は高音質なカーオーディオシステムでも知られた存在なのだ。ちなみにそのカロッツェリア、カーオーディオシステムの試聴が地下駐車場のデモカーで出来るようになっていた。私ももちろん試聴した訳だが、BMW 320iに搭載されていたフラグシップ、カロッツェリアX RSシリーズの音のよさといったらもう。ちなみにお値段もかなりのものだが、一見ならぬ一聴の価値はある。
さて、末次氏のカーオーディオ講座は極めてシンプル。「こんなドライブをしてみたいとは思いませんか?」との問いかけから始まった。「クルマのオーディオならではの醍醐味」「クルマの音がいいとドライブがさらに楽しくなる」、そして「何気なく聞こえていた音楽から聴く音楽へと変わる」のがカロッツェリアのシステムなのだという。
そのために提供される機能として真っ先に紹介されたのが「タイムアライメント」機能だ。これは左右のスピーカーから発する音のタイムラグを補正し、左右のスピーカーの中央で聞いている状態にするというもの。さらに紹介された機能が「イコライザー」。こちらは車室内の乱れた周波数特性を補正して、高音から低音までバランスよくする機能だ。だが、これらの機能を使いこなそうとすると、素人にはハードルが高いのではないだろうか? いやいや、そんなこともあろうかと! カロッツェリアには「AUTO TA & EQ」という機能が用意されているのだ!
この機能、サイバーナビを導入した当初は私も気づいておらず、サイバーナビの先輩に教えてもらって実行したという経緯がある。もちろんサイバーナビを入れ替えた際にはちゃんと実行しているのだが、その時の状況は86連載を参考にしてほしい。ほかにも末次氏からは音質アップのポイントとして、まずはスピーカーの見直しから始めるといったアドバイスがあった。
●高橋敏也のトヨタ「86(ハチロク)」繁盛記 / その9:サイバーナビ、入れ替えました
http://car.watch.impress.co.jp/docs/longtermreview/86/20140217_634698.html
最後に末次氏の考える「こんなドライブシーンには、この曲がピッタリ」という楽曲が、カロッツェリアX RSシリーズでデモ再生された。個人的には「ワインディングロードにピッタリ!」と紹介されたEXTREMEというバンドのアルバム「Pornograffitti」から選ばれた楽曲、「Decadence Dance」に大いに共感した。後で友人に「古い」と言われてショックを受けたが、まあそれは別の話。
ユーザーの声をダイレクトに聞きたいという姿勢
今回の1st MEETINGでは、まず何よりパイオニアの「やる気」を感じることができた。イベントの内容が充実していたということもあるが、何よりもスタッフの数がそれを物語っていた。募集人数100名のイベントに、それに近い数のスタッフ。もちろん全員、カロッツェリアに何かしらの関係がある人々だ。そして参加した研究員には繰り返し、パイオニア側から「ぜひスタッフに話しかけてほしい。疑問や要望があったら、遠慮なく言ってほしい」と呼びかけられていたのだ。
1st MEETINGにはさまざまな目的があったのだろうが、その一つとして「ユーザー(あるいはその予備軍)と、ダイレクトに話がしたい。何を求めているのか、どう考えているのかを知りたい」ということがあったのだと思う。そのためのスタッフ大量動員であり、細かく細かく、一人ひとりの話に耳をかたむけた訳だ。実際、地下駐車場の試聴コーナーでも、4階のメイン会場でも、研究員(参加者)と話し込むスタッフの姿を見ることができた。また、カロッツェリアのユーザー同士、CDLの研究員同士の交流が進んだことも見逃せない。特に地下駐車場では、ユーザー同士が自慢の愛車を前に談笑している姿が印象的だった。
つくづく思うのは「好き者(よい意味で)が集まったなあ」ということ。CDL自体、研究員として自らエントリーするシステムなので、そもそもカーナビに興味が無いいうのは考えづらい。サイバーナビに代表されるカーナビが好きで、その未来に興味がある人々が研究員となり、1st MEETINGに集った。参加した研究員は、ベーシックな価値観を共有できるのである。まったくの初対面であっても互いにカーナビ好き、カーオーディオ好きということは共通しているのだから、会話が盛り上がらないはずがない。
メーカーとユーザー、そしてユーザー同士のコミュニケーション。そして目指すはカーナビ、カロッツェリアを通してカーライフの楽しみと喜びを切り拓くこと。今回、開設が宣言されたサイバードライブラボすなわちCDLは、その目指す目的地へのルートの一つである。ほかにもざさまなルートがあるのだろうが、パイオニアはCDLの活動に関してかなり本気である。
それは研究者一人ひとりに配られたネームプレートからもよく分かる。ネームプレートとともに配られた、1st MEETINGに参加した証のシール。そのシールはネームプレートの裏に貼るのだが、空きスペースを見ると、あと十数枚は貼り付けられそうだ。ネームプレートの裏がシールで一杯になるまでミーティングは続くのか、はたまた違った形へと進化するのか? どちらにしてもカロッツェリアとCDLの今後が楽しみである。私? もちろんミーティングがあれば積極的に参加しますよ、なんといっても研究員ですから。
私はサイバーナビを通して、近未来を手に入れた。ほんの少し先の未来だから、もう現実に追いつかれているのかも知れない(新機種も出たし)。そんなことを、攻殻機動隊ARISEのトークセッションを通して思ったりもした。だが、カーナビの進化が止まらないのであれば、再び私はカーナビを通して近未来を手に入れるだろう。それが情報共有なのか、はたまたコミュニケーション機能なのか、あるいは新しいサービスなのかはまだ見えてこないけれども。
そうだ、CDLには「近未来カーナビチーム」を作ってもらいたい。現実的、非現実を問わず、今ではなく近未来にこそ実現できるカーナビとその機能を考える特務班(笑)のような存在である。「そんなの無理」は禁句、SFやアニメの世界を、こちら側に無理矢理引っ張ってくるようなチームとじっくり話し合いたいものだ。あ、それからもう1つだけ……分かっていたことなのだけど、女性の参加者が少なかったのは残念でした。私には参加資格はないけれど、女性だけの研究チームがあってもいいかなと思う。
ほかの研究員の熱気というか、真剣な態度にあおられたかなのか、私はもう一度自分のサイバーナビを見直してみようと思っている。使っていない便利な機能があるかも知れないし、よりサイバーナビを使いやすくできる設定があるかも知れない。それを徹底的にやってから、サイバーナビ新機種のことを考えよう。といってもねえ、旧機種のユーザーはやっぱり気になるんだよな、新機種のことが。