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CYBER DRIVE LABで、「圏央道開通取材レポート 道路の変化にカーナビはどう対応するのか」に登壇しました

 カロッツェリアのカーナビ「サイバーナビ」ユーザー個々に向けてパイオニアがコミュニケーションを図っていく試み「CYBER DRIVE LAB」(以下、CDL)。このCDLは、カロッツェリアユーザーであれば研究員としてエントリーすることができ、カーナビが切り拓くべき可能性を追求するなどのテーマが掲げられている。そのCDLの第1回ミーティングが6月29日に秋葉原UDXで開催された。この第1回ミーティングではさまざまなセッションが用意され、Car Watch編集長である自分にもパイオニアから道路と地図に関するセッションをとの要望があった。前日に圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の相模原愛川IC(インターチェンジ)~高尾山IC間が開通するため、取材データが豊富にあるとの見込みで参加依頼を引き受けた次第だ。

 CDLの第1回ミーティングについては高橋敏也氏のリポートを参考にしていただき、本記事では自分が担当したセッションを紹介していく。

●高橋敏也の「CYBER DRIVE LAB - 1st MEETING in Akihabara」に参加してきた
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140728_657663.html

 セッション名は「圏央道開通取材レポート 道路の変化にカーナビはどう対応するのか」。圏央道の取材レポートをCDLメンバーにお届けし、道路開通に対するカーナビの対応をパイオニアの矢野健一郎氏と、インクリメントPの伊藤輝彦氏に質問していくというもの。パイオニアの矢野氏はカロッツェリアカーナビの開発に携わっており、伊藤氏はカーナビ用の地図を制作するパイオニア関連会社のインクリメントPで、カロッツェリアを担当している。

左からパイオニアの矢野健一郎氏、インクリメントPの伊藤輝彦氏。右端が筆者

 セッションは、圏央道 相模原愛川IC~高尾山IC間の映像を自分が紹介するところから始めた。この圏央道延伸は約14.8kmとそれほど長くはないが、この延伸によって東名高速道路、中央自動車道、関越自動車道が高速道路で結ばれるインパクトのあるもの。Car Watchでの記事人気も高く、多くの人がこの開通に期待していることが分かるほどのものだった。

 この開通に対するサイバーナビの対応は、「モデルによって異なるのですが、早いモデルでは28日(開通日)当日に、そのほかの機種でも30日の昼以降であればルートを引けるようになります(伊藤氏)」とのこと。2014年モデル以前の多くの機種で28日に全データ更新が提供され、それを導入することで圏央道延伸のほかさまざまな情報が最新のものになる。2014年モデルに関しては、圏央道が予定では2014年3月に開通する道路だったが、遅れて6月28日に開通しため特別な処置をしたとのこと。「地図データの中に入れていたが、アプリケーションで未開通だと判断していた(矢野氏)」こともあって、30日の昼に更新データを提供することになった。

 会場にはその更新データを組み込んだ2014年モデルのサイバーナビを持ち込み、延伸開通した圏央道を表示。ルートまで表示できることを伊藤氏にデモしていただいた。

2014年モデルのサイバーナビで圏央道 高尾山ICを表示。南へとトンネルがつながっており、圏央道延伸に対応していることが分かる
パイオニアの矢野健一郎氏
インクリメントPの伊藤輝彦氏

 Car Watchでカーナビの記事を掲載して思うのは、「Web地図は更新が早いのでカーナビは不要」とか「スマートフォンで十分」という意見が届くこと。しかしながら、開通から2週間以上経ってもAndroid端末の標準地図であるGoogleマップには圏央道延伸は反映されておらず、iOS端末での標準地図である「マップ」に至っては圏央道は海老名ICどまりとなっている(相模原愛川IC開通は2013年3月30日のため、1年以上前の状態というわけだ)。Web地図サービスだと、Yahoo!地図は表示されているもののルートが引けないという状態。インクリメントPのWeb地図サービス「MapFan」は表示・ルート検索ともOKとなっていた。ただ、正直に書くとWeb地図ではGoogleマップが圧倒的な利用率を誇るため、Googleの早期対応を期待したいところだ。

 サイバーナビでは早期にアップデート対応するため、「道路会社などからデータ提供を受けて地図を作成している(伊藤氏)」という。2014年度は首都高速の中央環状品川線の開通、圏央道 相模原ICの開通などが控えているが、それらに関してもすでにデータは組み込まれているとのことだ。

 また、サイバーナビの地図には道路の傾斜のデータが入っており、これによって高速道路と一般道が併走するようなときに、どちらの道路を走っているのか分かるようになっている。この傾斜データに関しても開通前に用意されているが、より正確な地図を作るには実際のカーナビが出力する値を計測する必要があるため、開通後に実走して計測し直しているという。

 矢野氏によると、サイバーナビに限らずカロッツェリアのカーナビは、最短距離でのルートをお勧めとする一般的なナビとは異なり、最短時間でのルートを優先してお勧めする(もちろんユーザーの指定で最短距離も可能)ロジックが組まれている。これを算出するために必要なのが、区間ごとの時間データや、左折より右折が時間がかかるといった経験則からくる時間データ。カロッツェリアのカーナビは、このようなさまざまなデータも整備しており、それらによってよりよいルートを導き出すよう追求されている。

 このよりよいルートを追求するために欠かせないのが正しく道路が記載されているか(地図の鮮度)ということと、個々のクルマが道路をどのように利用しているかということ。

 セッションのシメの言葉としてインクリメントPの伊藤氏は、道路が開通した場合はカーナビにその道路がデータとして収録されていることが大事だと語る。「(カーナビの)地図に(開通した道路が)載っていないことになると、道路が世の中に知られないことが起こってしまうのではないかと思っている。そのため、道路の鮮度についてはすごくこだわりをもって、自信を持って制作している」という。

 一方、矢野氏はルートに対する思いでセッションを締めくくった。「本来であれば、パイオニアの人間として話をしなければならないと思いますが、今日は研究員の方々を前にして話すので、個人の思いを話させてもらえば」と切り出し、「年間2万kmくらいクルマを運転し、毎日ナビと接しているが、まだまだぜんぜん足りていないと思っている。とくにルートにはこだわりがあって、いいルートを出そうと思って日々もの作りをしている。『いいルートってなんだ?』というのは非常に難しいテーマ」「自分によいルートは分かっているが、皆さんにとってよいルートかどうかは分かっていない」という。

 カーナビを購入したお客さまによいルートを提供しようとして作ったのが「スマートループ」であるとし、このスマートループを搭載したカーナビを利用して、いろいろな走り方を教えてほしいと会場に語りかけていた。「答えは永久に出てこないかもしれないが、一人ひとりによいルートを提供していきたい(矢野氏)」と述べ、セッションを終えた。

 正味40分程度のセッションだったが、印象的だったのは、伊藤氏の地図に対するこだわりと矢野氏のルートに対するこだわり。このようなこだわりをもって作られているからこそ、道路の開通に対して早期に対応が行われ、道路の開通に対応したルートが提供されていくのだろう。

 なお、矢野氏によるとサイバーナビの渋滞予測は数年の単位で蓄積した渋滞情報がベースになっているため、東名と中央道、関越道がつながる今回のような開通でのドラスティックな変化は起きにくい。圏央道 相模原愛川IC~高尾山IC間の開通に関しては、短期(といっても半年~1年くらい)で渋滞情報を蓄積し、精度のよい新たな渋滞予測データを作り上げるかもしれないとのことだ。地図はもちろん、それらのアップデータにも期待したいところだ。

(編集部:谷川 潔)