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日産、「2015年モータースポーツ活動計画」発表会を開催

ル・マン参戦マシン NISSAN GT-R LM NISMO の4つのポイントを示す

2015年2月28日開催

 日産自動車とニッサン・モータースポーツ・インターナショナルは2月28日、日産グローバル本社において「2015年モータースポーツ活動計画」発表会を開催した。

日産系チームのドライバーが集合した

 一般参加のファンの前で、ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)宮谷正一氏は「2014は、NISMO創立30周年においてSUPER GTでチャンピオンになることができた。GT-Rが新型車になった年は、必ずチャンピオンを獲ってきた歴史があるが、(ジンクスどおり)チャンピオンを獲れてホッとしています」と挨拶した。

ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)宮谷正一氏

 続けて「今年は、様々なモータースポーツに参加するユーザー支援のほか、WEC世界耐久選手権のLMP1クラスに出場し、ル・マン24時間耐久レースに16年ぶりに復帰します。今年はさらなる飛躍の年になると思っている」と、ファンを前にル・マン復帰を宣言した。

 ル・マンへの挑戦について、宮谷氏は「我々は革新的なクルマで参戦します」と、参戦マシンについて触れるとともに、参戦予定のドライバー、松田次生選手、ミハエル・クルム選手、ルーカス・オルドネス選手、マルク・ジェネ選手、オリビエ・プラ選手、ハリー・ティンクネル選手を紹介、宮内氏は「ベテランと若手のバランスのとれたラインナップ」と、残り2名のドライバーについては「間も無く発表の予定」と明かした。

 加えて、「エンジンの開発拠点はアメリカとなっているが、NISMOからもエンジニアやメカニックを送り込んで、共に戦っていく体制を取る。(SUPER GT日産チーム総監督の)柿本さんにもこれまでの日産ル・マン参戦のノウハウを伝授してもらうため、アドバイザーとして参加してもらう」と今後の計画を示した。

SUPER GT GT500クラス参戦体制

Noチーム監督ドライバー車両名タイヤメーカー
1NISMO鈴木豊松田次生/ロニー・クインタレッリMOTUL AUTECH GT-Rミシュラン
12TEAM IMPUL星野一義安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラカルソニック IMPUL GT-Rブリヂストン
24KONDO RACING近藤真彦ルーカス・オルドネス、ミハエル・クルム/佐々木大樹D'station ADVAN GT-Rヨコハマ
46MOLA大駅俊臣本山 哲 / 柳田真孝S Road MOLA GT-Rミシュラン
GT-Rの新カラーリングを披露したNISMOチーム、左から松田次生選手、鈴木豊監督、ロニー・クインタレッリ選手
TEAM IMPUL、左からジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手、星野一義監督、安田裕信選手
KONDO RACING、左からミハエル・クルム選手、近藤真彦監督、ルーカス・オルドネス選手、佐々木大樹選手
MOLA、左から本山哲選手、大駅俊臣監督、柳田真孝選手

SUPER GT GT300クラス参戦体制

車番チーム監督選手マシンタイヤメーカー
3NDDP RACING with B-MAX長谷見昌弘監督星野一樹/高星明誠B-MAX NDDP GT-Rヨコハマ
NDDP RACING with B-MAX 左から星野一樹選手、長谷見昌弘監督、高星明誠選手

ブラパン耐久シリーズ

クラスNo.チーム監督ドライバー車両名タイヤメーカー
プロ23Nissan GT Academy Team RJNボブ・ネヴィルアレックス・バンコム/千代勝正/ウォルフガング・ライプNissan GT-R NISMO GT3ピレリ

ニュル24時間レース

チーム監督ドライバー車両名タイヤメーカー
Nissan GT Academy Team RJNボブ・ネヴィルアレックス・バンコム/フローリアン・シュトラウス/ウォルフガング・ライプ/ヤン・マーデンボロー/ミハエル・クルム/ルーカス・オルドネス/星野一樹/千代勝正NISSAN GT-R NISMO GT3ミシュラン
ブランパン耐久シリーズ、ニュル24時間レースに参戦する千代勝正選手

 一方、SUPER GTの参戦体制について、宮内氏は「戦う相手は日産勢の中にある」と、今年もチャンピオン獲得に自身を示し、そのほか、若手育成やレース活動のサポート体制を紹介した。

 締めくくりに、宮谷社長は「日産、NISMOは、今年も幅広いカテゴリでの参戦支援を続けていくが、昨年の好成績に甘んじることなく努力を続け、今年は、WECのLMP1クラスという新しい舞台に革新的なクルマで挑戦していきます。ル・マン、ニュル、GT500、GT300で”innovation&exciting”、今までなかったワクワクを提供すべく、さらなる飛躍を目指して挑戦を続けていく」と今シーズンへの意義込みを示した。

SUPER GT GT500クラスの日産系チームの総監督を務める柿元邦彦氏

 SUPER GT に参戦する監督を代表して、今シーズン柿元総監督が「SUPER GTはこの4年間での中で3回が、今年も開発は極めて順調に進んでおりますので、必ずチャンピオンを獲ります。去年は少しバタバタしましたが、今年は美しく勝ってチャンピオンを取りにいきたい。ピリピリとした緊張の中で美しさを出していきたい、今年のGT-Rは、美しく戦って、美しく勝つ、ことを皆さんに約束したい」と意気込みを語った。

 また、選手代表として松田次生選手が「GT-Rは、レギュレーションが変わった年は必ずチャンピオンになると柿本総監督が言ったように、2014年は何度か実行できました。それは、僕達の力だけでなく、ニスモの開発陣営のおかげでもあります。今年はテストも順調にきています。ここにいる全ドライバーが、僕たちチャンピオンドライバーをやっつけにくると思いますが、全レースでGT-Rが表彰台を獲れるように、今年も頑張っていきたい」と意気込みを語った。

左からニッサン・モータースポーツ・インターナショナル代表取締役最高執行責任者の松村基宏氏、ル・マン参戦ドライバーの松田次生選手、ミハエル・クルム選手、ルーカス・オルドネス選手

 発表会では続いて、ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル代表取締役最高執行責任者の松村基宏氏が、WEC、ル・マン24時間耐久レースに挑戦する参戦車両「NISSAN GT-R LM NISMO」について説明した。

ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル代表取締役最高執行責任者の松村基宏氏

 松村氏は、冒頭「なぜ、GT-Rの名がつくのか?」について触れ、「GT-Rのアイコンとなるヘッドライトやグリルの造形をフロントに採用することで、GT-Rを作っていくんだという動機付けにしている。同じくキャビンについてもGT-Rのラインを取り入れ、リアのテールライトに関しても丸いフォーリングテールが反映されています」と紹介。

FFレイアウトのNISSAN GT-R LM NISMO
NISSAN GT-R LM NISMO 車両設計コンセプト
レギュレーションの中で、最も効率のいいパッケージを考えたらFFになった
VRX30エンジン
フロントが太くリヤが細くなる特別なタイヤはミシュランと共同開発

 また、ル・マンで勝利するための4つのキーポイントがあるとし、松村氏は「1つ目は高効率のエアロダイナミクス。非常に効率の良いダウンフォースと走行抵抗の少ない形状をしています。2つ目が、この形状につながるユニークなFFレイアウトの採用。3つ目が、新開発の高効率、高出力のV6、3リッターツインターボエンジンで、現在あるSUPER GTのエンジンより熱効率のよいエンジンになっています。4つ目が、専用のタイヤをミシュランと開発していきます」と述べた。

 FF(フロントエンジン・フロントドライブ)を採用し、コックピットを後方に配置する特徴的なNISSAN GT-R LM NISMOのエアロダイナミクスと空力の特徴について、松村氏は「元々LMP1というカテゴリーはミッドシップを考慮した規則になっており、後ろ側にダウンフォースを発生するパーツに関しては規制が厳しく、前方のダウンフォースを発生させる装置に関しては規則が緩くなっています」と明かした。

 その上で、「今ある規則の中で最高に効率を上げるために考えた結果、フロントエンジン、フロントドライブで、空力の重心点と駆動輪の重心点を合わせるという考えで、このボディーシェイプになった。もちろん、解決しなければならない点があるが、他のライバルとは違うアプローチで技術的な解決をしていく」と話した。

 さらに、新開発のエンジン「VRX30A」について触れ、松村氏は「排気量は3リッター、60度角のV型6気筒で、現時点で大変良い燃費を記録しているエンジン。あとは、タイヤがどれだけ路面に力を伝えられるのかが重要になってくるので、専用タイヤの開発を進めている」と紹介。「4つのキーポイントを使って、今年の耐久選手権に挑戦していきたい。」とル・マン復帰に対する意気込みを示した。

 発表会の後、ドライバートークショーが開催され、各ドライバーたちが今シーズンへの意気込みを語ったり、ル・マン24時間耐久レースに参戦経験のある監督たちが集まり、NISSAN GT-R LM NISMOに対する期待感を語り合った。

SUPER GTの監督やドライバーが参加するトークイベントも開催された
歴代のル・マン参戦マシンも並んだ
日産グローバル本社で行われた発表会には大勢の日産ファンが駆けつけた

(椿山和雄)