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SUPER GT開幕直前、4年目の挑戦となる「SUBARU BRZ R&D SPORT」リポート

井口卓人選手と山内英輝選手の新コンビが今シーズンへの意気込みを語る

 2012年のデビューイヤーをシリーズ12位(チームランキング)でスタートしたSUBARU BRZ GT300(以下BRZ)。予選、決勝ともにレース中その速さを見せ付けるシーンが多いものの2013年は4位、2014年は6位と、チャンピオンの座にはまだ距離を残しながら迎えた2015年シーズンが、いよいよ4月4日~5日に開幕する。ニュルブルクリンク24時間レースに参戦する「WRX」とともに、スバルモータースポーツの中核を担うBRZの最新情報を、3月14日~15日に行われた岡山国際サーキットでの合同テストの模様とともにお届けしよう。

年初の東京オートサロンでマシンとチーム体制の発表

 毎年恒例となった、東京オートサロンでのマシンとチーム体制の発表。BRZのデビューから2014シーズンまでそのステアリングを握り、何度もポールポジションを獲得してきた佐々木孝太選手に代わって今シーズンは山内英輝選手が加入し、井口卓人選手とコンビを組む。そしてダンロップタイヤの採用。この2点が2014年からの大きな変更点だ。

 総監督にSTI(スバルテクニカインターナショナル)の辰己英治氏、監督にはR&Dスポーツの本島伸次氏、以下メカニック等の体制に大きな変更はないが、マシン製作については今まで以上にスバル/STI主導で行われることも明言された。

毎年恒例になった東京オートサロンでの参戦発表には、その関心の高さをうかがえるように多くの報道陣が集まった

新体制での岡山国際サーキット公式テスト

 岡山国際サーキット公式テストで井口卓人選手、山内英輝選手にコメントをいただいたので以下に紹介する。

井口卓人選手

井口卓人選手

──Car Watch読者に向けて一言お願いします。

井口選手:昨シーズンはあれだけ最高な体制でやらせてもらえて、チャンピオンを獲ると言っていたにも関わらず、なかなか思うようにレースが進められなくて応援してくれたファンの皆さんには申し訳なく思っています。

今年はパートナーもタイヤも変わって(レースに臨む体制が)ものすごく大きく変わりました。そういった意味では不安もありましたが、一方で大きな期待もしています。1月のセパンのテストから今日まで色々と試してきて、確実にクルマもタイヤもドライバーも向上してきています。今は上手く連携が取れていていい方向にきているので、今年も応援よろしくお願いします。

山内英輝選手
──山内選手は昨シーズンにメルセデス・ベンツSLS AMG GT3(以下SLS)で参戦されていましたが、BRZとの違いを教えてください。

山内選手:SLSはブレーキが強くトラクションもあるので縦方向を重視したドライビングでした。つまりコーナーを攻めるというよりブレーキをどれだけ早く終わらせて、どれだけ早くアクセルを踏めるかが重要。一方、BRZはコーナーリング重視のマシンです。もう進入から旋回中の速度もGも全然違う。つまりその旋回速度をどうやって速くしていくかがドライバーにとっても必要な要素になってきますし、マシンセッティングもそういう方向となります。

BRZには今日まで随分乗り、その能力を出し切れるだけのところまで慣れました。マシンセッティングに関しても改善ポイントはまだまだありますが、そのポイントは見えている部分も多く今はポジティブに考えられるほどいい1日だった思います。(BRZの潜在的なポテンシャルは)まだ見えていない部分もあると思いますが、とにかく今はトップを目指すチームとしてどんどん(ポテンシャルを)上げていくだけです。

新加入の山内英輝選手

 公式テストの結果は初日の午前中(セッション1)は4番手、初日の午後(セッション2)は14番手、2日目の午前中(セッション3)は12番手、2日目の午後(セッション4)は10番手と、現時点ではタイヤの変更に対するさまざまな対応はなかなか大変なようだ。今回の公式テストは初日の午前中がウエットコンディション、その後はすべてドライコンディションで行われたが、「コンパウンドと構造の組み合わせが数限りなくあり、すべてのタイヤを持ち込めず現状でのベストチョイスを見つけるのも一苦労」(辰己英治総監督)とのことだ。

 しかしながら、テスト2日目には28周もの連続走行を山内選手が行い、安定したラップを記録。後半にベストタイムを記録するなど、今までチームが抱えていた予選は速いものの決勝レースで結果が出ないジレンマを払拭するような走りも見られ、第1戦への期待が膨らむ好材料もあった。

テスト初日は走行とピット作業を何度も何度も繰り返す
セッション1はウエットコンディション、それ以降はドライコンディションとなった公式テスト

写真で見る2015年型SUBARU BRZ GT300

写真左が2015年型、写真右は2014年の最終戦のBRZ。カーボン地むき出しのフロントにわずかな違いが見られるものの、そのスタイリングに大きな違いは見られないようだ
写真左は2015年型、写真右は2014年型
写真左は2015年型、写真右は2014年型
今シーズンはトヨタ「86」デザインのマザーシャシのマシンも登場。そのフォルムは似ているが、量産車と同じ2.0リッター水平対向エンジンを搭載するのはSUBARU BRZ GT300だけだ(マザーシャシのマシンは4.5リッターV8)

 余談だが、レース運営に欠かせないFRO(First Rescue Operation)には今シーズンよりスバル「アウトバック」が採用され、公式テストから大忙しだったようだ。

あまり活躍の機会がない方が望ましいFROだが、今回の公式テストではその出番は非常に多かった

BREEZEも新体制に

 レースクイーン「BRZEEZE」も新体制だ。写真左から愛内ゆかりさん(ゆかるん)、菅原樹里亜さん(じゅりたん)、小笠原美穂さん(みぽりん)、南真琴さん(まこち)の4人がBRZのピットに華を添える。すでにオフィシャルWebサイトやFacebookページも開設されているのでチェックしてみよう。

 なお、3月22日13時より、スバル恵比寿ショールームにて「SUBARU 2015 モータースポーツファンミーティング」が開催され、STI総監督の辰己英治総監督をはじめ井口卓人選手、山内英輝選手、佐々木孝太選手も出演。BRZEEZEのメンバーも出演し、新しいコスチュームもここでお披露目される予定だ。

 また、4月4日~5日開催される岡山国際サーキットでの開幕戦では、例年通りSUBARUファンシートも設定される。新体制でチャンピオンを目指すSUBARU BRZ GT300の戦いを同じ想いを抱く仲間と観戦するのもよいだろう。

(高橋 学)