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ブリヂストン、2015年シーズンのモータースポーツ参戦体制を発表

近い将来にWECやフォーミュラEなどのレースに進出することを検討

2015年3月13日開催

プレゼンテーションを行ったブリヂストンの役員とトークショーに参加したドライバー、ライダーのフォトセッション
ブリヂストンの石橋秀一専務執行役員

 ブリヂストンは3月13日、2015年のモータースポーツ活動計画の発表会を行った。

 記者会見でプレゼンテーションを行ったのは、グローバルマーケティング戦略を担当している石橋秀一専務執行役員で、「ブリヂストンが先日発表した中期経営計画の大きなテーマとして、グローバルでブランド力を強くするということがあります。“真のグローバルNo.1ブランド”を目指すためには4つの柱があって、その1つとなるのがお客様とのタッチポイントの多様化になります」といい、そのタッチポイントがまさにモータースポーツになる。

 モータースポーツにおけるグローバル展開を見ると、オーストラリアで2年おきに開催されている「ワールドソーラーチャレンジ」と、今年がラストイヤーになる「モトGP」が挙げられる。そして、国内へ目を向けるとSUPER GTやスーパーフォーミュラ、GAZOO Racing 86/BRZレースなどの4輪レースと、8耐やロードレースなどの2輪レースへのサポートがあり、北米ではFirestoneブランドによってインディーカーシリーズにタイヤを供給する。これらのカテゴリーへの支援が2015年のモータースポーツとの関わりとなる。

 また、モータースポーツ以外では、北米のNFLとNHL、南米のリベルタドーレス杯、欧州ではアルペンスキーワールドカップ、国内のブリヂストンオープンゴルフトーナメントと、数多くのスポーツに支援することでブランドをアピールすることも強化している。

 その象徴となるのが、2016年~2024年までのオリンピックとの公式パートナー契約で、2020年に開催される東京オリンピックも含めて2024年の夏季大会までの長期に渡ってスポンサーになることが発表されている。

会場にはスーパーフォーミュラやモトGP、ジムカーナのマシンが展示されていた
4輪と2輪の各モータースポーツのカテゴリーで装着されているタイヤも紹介された
Car WatchでGAZOO Racing 86/BRZレース参戦記(http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/gazoo/)を連載しているモータージャーナリスト・橋本洋平氏の86。新たなカラーリングになり会場に展示されていた。今年は「POTENZA RE-71R」を装着してクラブマンシリーズに出場する

 続いて、ブリヂストンにおけるモータースポーツの位置づけについての説明があり、タイヤビジネスに直接関わる重要なビジネスプラットフォームとのことだった。「クルマ社会は大きく進化していて、サステイナブルなモビリティ社会が構築されつつあります。自動車メーカーと一緒になって環境技術へ貢献するとともに、技術向上を突き詰めていきます。そのためにモータースポーツへの参戦は必要だと考えていて、WEC(世界耐久選手権)やフォーミュラEなどのカテゴリーは注視している状況です」と、現在はワールドソーラーチャレンジへのサポートで環境技術を高めているが、近い将来の展望としてWECやフォーミュラEなどのレースに進出し、さらに技術向上することを検討しているそうだ。

 また、自動車メーカーが積極的に行っているクルマやバイク好きを増やすという活動にも、タイヤメーカーとして貢献していきたいと語り、見て楽しむ「See Sport」、乗って楽しむ「Do Sport」の両面ともに多くの支援を行っていくとのことだった。

真のグローバルブランドになるべく、今シーズンも多くのモータースポーツカテゴリーへサポートを行っていくことや、モータースポーツへ参戦する意義などが解説された

 また、ブリヂストンがサポートするモータースポーツの各カテゴリーとチーム、ドライバー、ライダーについても紹介が行われた。

ワールドソーラーチャレンジ
モトGP
SUPER GT
スーパーフォーミュラ
全日本ジムカーナ選手権
GAZOO Racing 86/BRZレース
ロードスターパーティレース
レーシングカート
鈴鹿8時間耐久レース
全日本ロードレース選手権
全日本モトクロス選手権
ニュルブルクリンク24時間レース
アジアタレントカップ
インディーカーシリーズ

現役ドライバーとライダーによるトークセッションを開催

トークセッションは、自らも多くのレースに参戦しているピストン西沢氏の司会によって行われた

 プレゼンテーションの後に実施されたのは、現役ドライバーとライダーによるトークセッション。伊藤大輔選手、影山正彦選手、中須賀克行選手、久保凜太郎選手という参戦カテゴリーが異なる4人によって行われた。

 2014年のSUPER GTでは惜しくもランキング2位となった伊藤大輔選手は、「SUPER GTのシーズンの戦い方としてポイントの取りこぼしをなくすことが重要で、シーズン後半まで理想的な展開で進みました。ですが、最終戦で取りこぼしてしまって悔しい思いをしました。F1やDTMなどタイヤがワンメイクなレースが多い中、SUPER GTは多数のタイヤメーカーが参戦しているので、開発競争によりレベルの高いレースとなっています。そんなレースで戦える魅力があるので、ぜひともチャンピオン奪還を目指します」と語った。

また、2014年のニュルブルクリンク24時間レースで86に乗りクラス優勝を果たした影山正彦選手は、「ニュルブルクリンクのコースはアップダウンがあるため、タイヤへの入力が激しく過酷なレースです。しかも、路面コンディションや気温などの環境も変化するなかで、守備範囲とレベルの高いタイヤを供給してもらいました。ブリヂストンタイヤでは何十回も勝たせてもらいましたが、強いタイヤを作ってくれるメーカーだと感じています」と、勝てるタイヤの重要性について語った。

 そして唯一の2輪ライダーとなった中須賀克行選手は、「2012年からブリヂストンにサポートしてもらい、全日本ロードレース選手権で3連覇することができました。マシンが100%の性能を発揮しても、路面と接しているタイヤが性能を発揮しなければ勝つことができません」と語るとともに、参加型モータースポーツとして人気を博しているGAZOO Racing 86/BRZレースにエントリーする久保凜太郎選手は、「ワンメイクレースはタイヤの性能がもっとも重要で、タイヤ開発が過熱しているシリーズです。プロドライバーが多く参戦しているのですが、ぜひとも勝ちたいです」と、それぞれブリヂストンタイヤへの思いや今シーズンの豊富を語っていた。

SUPER GTに参戦する伊藤大輔選手
ニュルブルクリンク24時間レースに参戦する影山正彦選手
全日本ロードレース選手権に参戦する中須賀克行選手
GAZOO Racing 86/BRZレースに参戦する久保凜太郎選手

(真鍋裕行)