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鈴鹿サーキット、佐藤琢磨選手も参加した新アトラクション「サーキットカート」開発現場を公開

ギヤチェンジを楽しめる「サーキットカート」は2016年春にリニューアル予定

2015年6月22日開催

佐藤琢磨選手が鈴鹿の新サーキットカートのプロトタイプをドライブ

 鈴鹿サーキット(モビリティランド)は6月22日、2016年春のリニューアルを予定しているアトラクション「サーキットカート」の開発現場を公開した。元F1パイロットで現在はインディカー・シリーズに参戦中の佐藤琢磨選手が開発に関わっており、当日はプロトタイプ車両に同選手が試乗して鈴鹿サーキットを走行し、開発陣らと議論しながらさまざまな調整を施していった。

EV車となった新しいサーキットカートのプロトタイプ
開発スタッフと意見を交わす佐藤選手

 鈴鹿サーキットのアトラクションの1つである「サーキットカート」は、鈴鹿サーキットの国際レーシングコース(東コース)をほぼ1周できるのが魅力。ヘルメットやグローブなどの装着が不要な2人乗り車両で、ドライバーは小学5年生以上(2人乗り時は中学生以上)、同乗者は0歳からでも乗車でき、家族で楽しめるカートとなっている。

現在のガソリンエンジン車のサーキットカート

 現在はガソリンエンジンを使用する車両だが、2016年春にはこの車両をリニューアルする計画で、ミツバ製の電動モーターを用いたEV車とし、親2人+子1人といったような形での乗車が可能な“2.5人乗り”仕様を想定して開発が行われている。完成車の導入台数は70台で、リニューアル後の料金は検討中(現在は1300円/周)、年齢制限などに変更はない予定。

 搭載するモーターは最高速80km/h程度まで対応するが、サーキットカートでは30km/hほどに抑えられる(現在のガソリン車のサーキットカートは最高速約28km/h)。電動モーターではあるものの、モーター制御により変速機をエミュレートし、4段変速をフルに使った“本物感”のあるドライビングを楽しめるという。

 開発現場が公開された当日の車両は外装がなく、モーターを含む電装系の部品がほぼむき出しの状態になったプロトタイプ。これに佐藤選手が乗り込み、モーター出力の制御マップを切り替えながら試走を繰り返した。最初に開発陣が4つ用意した制御マップのうち、南コースを数回走行して2つに絞り込み、次にサーキットカートの本来のコースとなる東コースで3周して感触を確かめていた。

南コースの試走に向かう佐藤選手
実際のサーキットカートの舞台となる東コースを試走
【動画】東コースの試走の様子

 安全などを考慮して30km/h程度にまで制限されたサーキットカートではあるが、開発時にどういったところが重要になるのか佐藤選手に話をうかがったところ、「あえてギヤチェンジ選択を難しくしている」と話す。「絶対的なスピードは抑えなくてはいけないので、その中でいかに操作した時の達成感を得られるか」に軸を置いているといい、「もちろん簡単に、安全に運転できないといけないが、簡単すぎては達成感が得られない。今回はギアチェンジするという画期的な機構があるので、それを積極的に使ってパワーバンドを外した時に適正なギアで走るという運転の楽しさを知ってもらいたい」とコメントした。

 当日の開発陣とのやりとりでも、この仮想的な変速機やパワー感の出し方に関わる部分の調整に時間を割いていた。鈴鹿サーキットの東コースは比較的勾配がきつく、モーターの制御マップによってはパワー不足が如実に走行に現れるようで、上り坂では「どのギアを選んでも気持ちよく走れない」といった課題も出ていた。こういった不満を制御マップの調整で解消していくという、やや地味ながらも“乗り味”にとっては重要な作業が進められていった。

データを見ながら調整していく

 また、現時点で正式な仕様は未確定ながらも、すべての操作をステアリングまわりで行えるようになっており、アクセルとブレーキはステアリングの裏側にあるレバーを両手で握り込んで操作する仕組みになっていた。これにより、従来のカートのように体格によっては足が届かなかったり、ペダルの位置調整が必要だったりといった課題をクリアしていたが、佐藤選手は「これだと小さな手の子供が握り替える必要があり、ステアリング操作に集中できない」と指摘。ステアリング操作自体も子供にとっては重く、半分くらいの軽さにしてほしいと注文していた。

プロトタイプのステアリングまわり。操作系はまだ仮の段階で、これから詰めていくことになる。ディスプレイは開発用のもので、メーター類も付かないが、シフトインジケーターは搭載されるとのこと
ハンドル裏側にあるアクセルとブレーキのレバー。今後の検討次第では従来のようなペダルになる可能性もある
子供も楽しく運転できるようハンドルの重さ、舵角についても具体的にアドバイスしていた

 佐藤選手が試乗し、調整する作業はこの日が最初でほぼ最後。今後鈴鹿サーキットで試走する予定は今のところないとのことだが、アトラクションが正式発表される9月の車両完成前に、チャンスがあればもう一度試走したいとも語ってくれた。

(日沼諭史)