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クラレ、高機能ポリアミド樹脂「ジェネスタ」の海外展開を加速
世界6拠点に販売、技術サービス担当を配置、グローバル体制を強化
(2015/8/25 20:14)
- 2015年8月25日開催
クラレは8月25日、同社が開発した高機能ポリアミド樹脂「ジェネスタ」に関して、自動車部品への採用事例を紹介するとともに、今後の海外展開など関して記者会見を実施した。
会見では、クラレのイソプレカンパニー ジェネスタ事業部 高井信彦事業部長がプレゼンテーションを実施。ジェネスタは自動車用部品に求められる、「耐熱性」「耐衝撃性」「耐摩耗性」「耐薬品性」「耐加水分解性」に対してバランスの取れた特性を持つ、金属のように強いプラスチック。
高井氏は自動車部品として燃料チューブやワイヤーハーネス保護チューブなどに採用されている事例を示し、最近ではマツダ「CX-5」「アテンザ」「アクセラ」に搭載する2.2リッターディーゼルターボのインタークーラータンクの樹脂部分への採用や、トヨタ自動車の燃料電池自動車「MIRAI」の「燃料電池スタック」の配管部品に採用されたことを紹介した。
自動車部品は、軽量化や燃費向上に向けて、従来の金属素材からの代替で樹脂部品の採用が拡大しているが、ジェネスタ事業も2010年ごろから自動車分野に参入を開始。
高井氏は「我々化学メーカーとして品質保証、品質管理は万全の態勢を整えていると思っているが、やはり自動車メーカーは人の命を預かっていることもあって、かなり厳しい品質管理システムを取り入れていると改めて強く感じた」と感想を話した。
加えて、高井氏は「今後、自動車メーカーや世界に通用する品質管理システムに見直そうと作業を進めていく。お客様と一緒に解決策を見つけ、社員教育により自動車工学の基礎知識を高めていき、徹底した生産管理とさまざまな法規対応を進め、自動車メーカーの方にも安心して使ってもらえる品質管理を目指す」との考えを示した。
クラレでは、こうした国内の自動車メーカーでの実績をもとに、今後海外の自動車メーカーへの展開を目指し、日本、上海、シンガポール、米国、ブラジル、欧州の世界6拠点に販売・技術・サービス担当を配置して、グローバル体制を強化する方針を示した。また、中期経営計画では、自動車用途におけるジェネスタ事業を2014年度~2017年度に年平均40-50%成長させることを目標に掲げている。
今後の展開に関して、伊藤正明社長は「自動車部品は信頼性や耐久性で評価を得られるのに時間がかかるが、これまでの採用実績で得られたノウハウを活かしてさらなる展開を進めていきたい」との意気込みを示した。