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ルノー、F1日本グランプリ前にF1ドライバーのフェルスタッペン選手がFSWで親子共演

新型車「メガーヌ ルノー・スポール CUP-S」「ルーテシア ルノー・スポール トロフィー」でFSWを走行

2015年9月22日開催

現役F1ドライバー マックス・フェルスタッペン選手と、父親で元F1ドライバーヨス・フェルスタッペン氏(右)のツーショット

 ルノー・ジャポンは9月22日、静岡県小山町の富士スピードウェイで記者会見を開催して、ルノーのスポーツブランドとなる“ルノー・スポール”が冠された2台のスポーツモデルを発表した。

 「メガーヌ ルノー・スポール CUP-S」は、ニュルブルクリンクの旧コースで当時FF車最速となるタイムを記録した「メガーヌ ルノー・スポール トロフィーR」の流れを汲む5シーターモデルで、トロフィーRと同じパワートレイン、オーリンズ社制ダンパー、ミシュランパイロットスポーツ カップ2などを装備、価格は456万円。

 また、同時に発表された「ルーテシア ルノー・スポール トロフィー」は「ルーテシア ルノー・スポール シャシーカップ」の後継車となるモデルで、従来モデルに比較して最高出力が20PS、最大トルクが20Nm高められるなどの強化がされている。価格は329万5000円。

 記者会見には、ルノーがエンジンを供給しているF1チーム「Scuderia Toro Rosso」(以下、トロロッソ)に所属し、今年史上最年少の17歳でF1にデビューした(かつレギュレーションの変更により今後は17歳ではデビューできなくなったため、半永久的に史上最年少記録を保持する)マックス・フェルスタッペン選手が、実際に両車にのってサーキット走行を行った。

強化されたエンジンや装備を採用したメガーヌ ルノー・スポール CUP-S

メガーヌ ルノー・スポール CUP-Sの前に立つ、フェルスタッペン選手と大極社長
ルノー・ジャポン 代表取締役社長 大極司氏

 発表会の冒頭、ルノー・ジャポン 代表取締役社長 大極司氏が挨拶して「今回発表するメガーヌ ルノー・スポール CUP-Sは、昨年発売したメガーヌ ルノー・スポール トロフィーRの流れをくむ製品。トロフィーRはニュルブルクリンクの旧コースでFF車として最速タイムを出したと話題になり、昨年出した時には発売日に抽選になるほどで、まさに瞬殺で売り切れたモデルを受け継ぐクルマ」と述べ、昨年ルノー・ジャポンが発売したメガーヌ ルノー・スポール トロフィーRを受け継ぐ製品だと強調した。

 その後、製品担当者から具体的な製品の説明が行われた。ルノー・ジャポンによれば、日本市場は世界で3番目にルノー・スポールモデルが販売されている市場で、昨年は1000台に近い992台だったという。今年も8月時点までで621台と順調に数を伸ばしており、今回の新モデル投入でさらに台数を伸ばしたいということだった。

 今回発売されるメガーヌ ルノー・スポール CUP-Sは日本専用のLimited Editionで、コンセプトとしては"ニュルブルクリンク最速の血統を持つ、究極の5シーターモデル"だという。

 というのも、メガーヌ ルノー・スポールは、過去に何度もニュルブルクリンクの最速タイムを塗り替えてきた歴史があるからで、2008年のメガーヌ R26.R(8分17秒)、2011年のメガーヌ ルノー・スポール トロフィー(8分7秒97)、そして昨年発売されたメガーヌ ルノー・スポール トロフィーRの7分54秒36は、今年に入りホンダ「シビック Type-R」に破られるまでFF車としては最速タイムとなっていた。今回発売されるメガーヌ ルノー・スポール CUP-Sはそうした製品の流れをくむ製品で、エンジンの出力やトルク、各種装備などがアップグレードされているという。

 具体的はエンジンは、ベースモデルとなるメガーヌ ルノー・スポールと比べて最高出力が265PSから273PSに、さらに最高トルクが5500回転で10Nm向上となっているという。その強化が行われたのも、ルノー・スポールのテストドライバーが、ニュルブルクリンクのようなサーキットでさらにタイムを縮めるには5000回転以上でのトルクアップが必要だとアドバイスしたからだという。なお、このパワートレインはメガーヌ ルノー・スポール トロフィーRと同じものだという。

メガーヌ ルノー・スポール CUP-Sのフロントマスク
リアハッチ
フロントホイール
フロント右ドア
車内の内装
コックピット
センターコンソールのインフォメーションディスプレイ
ギアシフト
メータークラスター
ペダル
レカロシート
リアエンドのマフラー
マフラーは1本だしで、カーボンカバーで巻かれている
リアホイール
エンジン部分、直列4気筒DOHC 2.0リッターターボ
エンジンフード
フロントライト
助手席からの車内
テールランプ
フロントのバンパーにはCUP-Sのロゴ
サイドにはルノー・スポールのロゴ

 装備に関しては、4kgの軽量化を実現したアクラポヴィッチ チタンマフラー、メガーヌN4 Rallyからのフィードバックを元にしたオーリンズ製調整式ダンパー、FF用に開発されたミシュラン パイロットスポーツ カップ2というタイヤ、スピードラインの19インチアロイホイール「Turini」などが装着されている。特にダンパーに関してはルノー・スポールのテストドライバーであるロラン・ウルゴン氏による奨励セットアップが用意され、そのデータに基づいて設定することで、ビギナーでもプロと同じセッティングで走りを楽しむことができるのも特徴の1つだ。

 内装はルノー・スポールのロゴ入りのレカロシートが装備されており、ボディーカラーはジョンシリウスM、ブナンナクレM、ノワールエトワールMの3色。価格は456万円で、10月30日よりルノーの正規代理店で60台限定で販売される予定。

ルノー・スポール モデルの販売台数は日本は世界で第3位
メガーヌ ルノー・スポール CUP-Sは日本専用モデル
2008年のメガーヌ R26.Rはニュル8分17秒
2011年のメガーヌ ルノー・スポール トロフィーは8分7秒97
2014年のメガーヌ ルノー・スポール トロフィーRは7分54秒36(当時のFF最速タイム)
メガーヌ ルノー・スポール CUP-Sはニュル最速の血統と専用仕様
エンジンの出力が273PSに
マフラーはアクラポヴィッチ チタンマフラー
オーリンズ製調整式ダンパー
テストドライバーの奨励セットアップが提供される
タイヤはミシュラン パイロットスポーツ カップ2、FF車専用設計
19インチアロイホイール
レザーでアルカンタラのレカロシート
ボディカラー
価格と発売日、10月30日より販売開始

220PS/260Nmのトロフィーとシャシースポールが用意されるルーテシア ルノー・スポール

フェルスタッペン選手(右)と大極社長(左)とルーテシア ルノー・スポール トロフィー

 ルーテシア ルノー・スポールは、"情熱的なエンスージアストに応える本物のスポーツカー"がコンセプトとされており、その上位モデルとなるルーテシア ルノー・スポール トロフィーは、従来モデルとなるルーテシア ルノー・スポール シャシーカップに比べて数々の強化がされている。

 エンジン面では、ターボチャージャーの大型化、排気周りの強化、さらには吸気効率の改善などにより、最高出力が220PSと20PSアップ、最大トルクが260Nmと20Nmアップ、許容回転数が6800rpmと300rpmのアップといずれも強化されている。ルノー・ジャポンによれば、競合他社の同クラスの製品では190~200PS前後となっているため、20PS強のアドバンテージがあるということだった。

 シャシーカップに比べて低めのシャシー、18インチアロイホイール「RADICAL」とミシュランパイロットスポーツの組み合わせ、さらにはステアリングギヤ比を14.5:1から13.2:1へと変更したよりダイレクトなステアリングラックの採用、シフトスピードをさらに短縮したデュアルクラッチなどの機能を備えている。また、日本では初めて採用したマットペイントとなるブランジーヴルナクレマットの新ボディーカラー(オプション、21万6000円)なども特徴となっている。

ルーテシア ルノー・スポール トロフィー
フロントホイール
センターコンソール
コックピット周り、ハンドルにはパドルシフトが用意されている
サイドブレーキ
メータークラスター
フロント右ドア
リアホイール
リアハッチ上部
フロント部分
フロントにはトロフィーの文字が入っている
リアドア

 ルーテシア ルノー・スポールは、従来のシャシーカップとシャシースポールの2本立てと同じく、トロフィーとシャシースポールの2本立てとなるが、トロフィーの位置づけとしてはシャシーカップよりもワンクラス上という扱いになる。シャシースポールにはブラックパックと呼ばれるホイールやF1タイプのエアインテークブレードなどをシルバーからブリリアントブラックへと変更したオプションが標準設定されたモデルも用意される。価格はトロフィーが329万5000円、シャシースポールが307万5000円で、11月12日よりルノーの正規代理店で販売される予定。

ルーテシア ルノー・スポールの最高峰はトロフィー
コンセプト
特徴は加速、ダイレクトなステアリング、正確なハンドリング、デザイン
エンジンの進化
他社が190-200PS前後なのに対して220PSを実現
ロー・トロフィー・シャシーを採用
ホイールは18インチ
ステアリングギア比は13.2:1
効率のよいデュアルクラッチを採用
マットペイントを日本で初めて採用
特徴あるデザインを各部に採用
下位モデルのシャシースポールにブラックパックを標準装備したモデルを設定
ルーテシア ルノー・スポールモデルのラインナップ
ボディーカラー
価格と発売日

ヨスとマックスが同じコースを走るという夢の共演が富士スピードウェイで実現

このイベントのために富士スピードウェイに集まったファンと記念撮影

 今回の記者会見には、特別ゲストとして今週末のF1日本GPに参戦するために来日しているトロロッソ所属のF1ドライバー マックス・フェルスタッペン選手が呼ばれており、ルーテシア ルノー・スポール トロフィーおよびメガーヌ ルノー・スポール CUP-Sを富士スピードウェイのレーシングコースで実際にドライブした。

 主にドライブしたのは、ルーテシア ルノー・スポール トロフィーで、撮影車としてルノー・ジャポンの関係者がドライブするメガーヌ ルノー・スポール CUP-Sが追いかけるという形で撮影が行われたのだが、1回目には、フェルスタッペン選手が速く走らせすぎて、メガーヌ ルノー・スポール CUP-Sが追いつけないという事態に……。

 これにはルノー・ジャポンの関係者も苦笑いだったが、降りてきたフェルスタッペン選手は「全然飛ばしてないよ、ブレーキも暖まってきたし、まだまだ」と発言して、これには関係者全員がびっくりしていた。結局、撮影のためにある程度の速度で走ってもらって撮影は無事完了。

 ちなみに、フェルスタッペン選手は現在17歳で、実はまだ公道を走る免許は取得できていない。ただ、本人によれば既に学科試験は通っているそうで、来週迎える18歳の誕生日をまって母国へ帰国し、公道の免許を取得する予定だという。

 一般公道を走行する市販モデルのルーテシア ルノー・スポール トロフィーをドライブした感想について、「ブレーキが凄くてちゃんと止まってくれる。特に1コーナーでステアリングがダイレクトで、シフトもスムーズに変わっていくので、ドライバーにとってはコントローラブルで楽しいクルマだと思う」と、F1ドライバーとしてしっかりとフィーリングを語ってくれた。

 実際、現場では市販車でここまでブレーキが使えるのかと思えるほど、ブレーキが焼けている匂いが漂い、本当に攻めて走ったのだなというのが伝わってきた。ルノー・ジャポンの関係者もプロモーションとは思えない真剣なドライブに感心しているようだった。

 その後、フェルスタッペン選手の父親になる、ヨス・フェルスタッペン氏(1990年代後半~2000年代前半にF1を走っていた元F1ドライバーでもある、1999年にホンダがフルコンストラクターとして参戦を検討してテスト走行までしていたときにテストドライバーを務めていた)も、走るフェルスタッペン選手を見てかつての血が騒いだのか「オレも乗る?」という話になり、フェルスタッペン選手がルーテシア ルノー・スポール トロフィーを、フェルスタッペン氏がメガーヌ ルノー・スポール CUP-Sを、そして1周してきた後にはクルマを交換してもう1周という大サービスを行った。

 なお、今回は一般のファンが参加できるイベントとしても公開されており、フェルスタッペン選手のファンが数十人、富士スピードウェイに駆けつけていた。このため、ファンとの記念撮影や、ファンへの即席サイン会なども行われた。連休中にもかかわらず富士スピードウェイに駆けつけたファンは十分エンジョイしているようだった。

 なお、今週末(9月25日~9月27日)には、フェルスタッペン選手も出走するF1日本グランプリが鈴鹿サーキットで開催される。フェルスタッペン選手は「鈴鹿は最高のコースの1つ。特に1コーナーからS字にかけてがエキサイティングで、そこを走るのが楽しみだよ」と語っており、初めてレースドライバーとして(昨年のFP1でテストドライバーとして鈴鹿は経験済み)走ることになる鈴鹿サーキットでのレースを心待ちにしているということだった。

マックス・フェルスタッペン選手
ルノー・ジャポンの関係者から説明を受けているフェルスタッペン選手
ルーテシア ルノー・スポール トロフィーに乗り込むフェルスタッペン選手
再びルノー・ジャポンの関係者から解説を受ける
コースイン、速度制限がないため、フルスロットルで加速していった
富士スピードウェイのストレートを、ルーテシア ルノー・スポール トロフィーで疾走するフェルスタッペン選手、タイムを示す看板にはRENAULT SPORTの文字が
帰ってきて関係者にインプレッションを伝えるフェルスタッペン選手
後ろから撮影のために追いかけるメガーヌがどんどん引き離されて近づけない
撮影のための機材をつけたメガーヌ ルノー・スポール CUP-S
"教育的指導?"の後は、このようにぴったりつけるようにゆっくり走行
ルーテシア ルノー・スポール トロフィーに乗り込む、ヨス・フェルスタッペン氏
車を交換して再度トライ
マックスとヨス、2人のフェルスタッペンによるルノー・スポールのデモ走行
イベント終了語にはファンの求めに応じてサインを行うフェルスタッペン選手

(笠原一輝)